こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。
本日は股関節の運動学についてお話していきます。
骨盤大腿リズムとは
股関節は寛骨と大腿骨からなる関節ですので、当然ながら股関節が動く時には寛骨も大腿骨も動きます。
寛骨と大腿骨が連動して動くことを「骨盤大腿リズム」といいます。
例えば、股関節を屈曲する際は必ず骨盤の後傾を伴います。
背臥位であれば、片側の股関節完全屈曲の約26%が骨盤後傾によるもの、立位であれば約18%が骨盤後傾によるものといった報告もあります。
なにはともあれ、股関節の動きには骨盤の動きが伴うということですね。
ところが、股関節屈曲時に骨盤の後傾が連動しないと、股関節前方のつまり感などが生じやすくなります。
股関節前方のつまり感が構造的な問題ではないとすると、骨盤の動きが連動していない可能性があります。
そのような場合は下記のピラティスリフォーマーのエクササイズがおすすめです!
坐位と骨盤大腿リズムとは
さて、ここまでお話してきた骨盤大腿リズムは座位姿勢においても考慮する必要があります。
研究者により報告されている角度に多少のバラつきはありますが、股関節屈曲5度から骨盤の後傾が始まり、股関節屈曲90度では約10度骨盤が後傾するという報告もあります。
股関節屈曲90度で骨盤が10度後傾しているということは、一般的なイスに座っている時は骨盤が後傾していることが前提となります。
そのため、そこから骨盤を前後傾中間位にしようとすると、脊柱起立筋群が過緊張してしまう方もいます。
そうなると、骨盤の中間位を長時間保つことは難しそうですよね。
そういった方に座位姿勢を指導する際は、イスの高さも考慮する必要があるかと思います。
大腿骨頭の後方滑りとは
最後にもう一つ、股関節屈曲つながりのお話を。
股関節が屈曲するときは、大腿骨頭は後方に滑ります。
ところが、前方組織が弛んでいたり、後方組織が硬くなっていたりすると、股関節屈曲時に大腿骨頭が後方ではなく前方に滑ってしまうことがあります。
すると前方の組織を挟み込んでしまい、つまり感が生じることがあります。
スウェイバック姿勢で股関節前方の靭帯に寄りかかるようにして姿勢保持する時間が長くなると、前方の靱帯は徐々に弛んでしまいます。
姿勢も股関節のつまり感に関連する要素だということですね。
今回はなんだか「股関節のつまり感」が多発しましたね(笑)
今回の「つまり感」は機能的問題や軟部組織性の問題という視点からお話しました。
次回は構造的問題という視点からFAIについてお話していきたいと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※参考文献
福林徹:骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎.ナップ.2013.
股関節および周辺疾患の機能解剖学的病態把握と理学療法.理学療法31(9).2014.
スポーツ股関節痛ー診断と治療ー.Monthly Book Orthopaedics31(6).2018.
山嵜勉:整形外科理学療法の理論と技術.メジカルビュー社.1997.
小関博久:外来整形外科のための退行性疾患の理学療法.医歯薬出版.2010.