ピラティスとは&ピラティスの効果

こんにちわ

imok株式会社の小林俊夫です。

新潟県で制作しているMade in Japanのピラティスリフォーマー「Reformer for Motor Learning」を販売していると、「「ピラティス」って何ですか?」といった質問や「ピラティスの効果」について質問を受けることも多い為、こちらにピラティスについて書かせて頂きたいと思います

ピラティスの歴史

「ピラティス」の創始者:ジョセフ ヒューベルトゥス ピラティス氏

ピラティスとは、創始者である「Joseph Hubertus Pilates(ジョセフ ヒューベルトゥス ピラティス)」氏の名前からきています。

現在は、日本人が多い事でも有名な、ドイツのデュッセルドルフ近郊にある、メンヒェングラートバッハにて、1883年12月9日にピラティス氏が生まれました。

ピラティス氏の石碑

※メンヒェングラートバッハでのピラティス氏のセレモニー

ピラティス氏の石碑と記念撮影する男女

幼少期はリウマチ熱やくる病を患うなど病弱であったことや、いじめにあっていたことから、「強く成りたい」という想いが生まれ、体操や身体に良いとされる運動を実践したり、独学で解剖学などを学びながら病気を克服し、健康的な身体を手に入れたと言われています

戦争により多くの記録が失われている為、ピラティス氏の若い頃に関しては諸説ありますが、サーカスの一員として活動を行ったり、ボクシングインストラクターとして活動をしたりしていたと言われています

「ピラティス(コントロロジー)」は負傷した兵隊のリハビリテーションから生まれた

第一次世界大戦が始まる1914年に、ピラティス氏はイギリスで防衛術などを教えていて、ドイツとイギリスが敵国同士だった為、イギリスとアイルランドの間に位置するマン島に4年間拘留をされていたと言われています

そのマン島での生活中に、他の拘留者にもエクササイズを教える様になったり、看護師として働く様になり、戦争で負傷した兵士のリハビリテーションを担当する様になりました。

これが現在の「ピラティス」の源流となる訳ですが、ジョセフ氏自身は「コントロロジー」と呼んでいました

ピラティスマシン原型の誕生

日本でピラティスというと、「マットの上で行うヨガみたいなエクササイズ」と思われている場合が多くありますが、ピラティスには「アパレイタス」と呼ばれる多くのマシンが存在し、「ピラティスリフォーマー」もその1つです

ピラティスリフォーマー

そして、ピラティスアパレイタスの原型になったと言われる器具(キャデラック)が、このマン島において誕生し、ベッドにスプリングを取り付け、スプリングによって動きに「サポート」や「抵抗」を加え、リハビリを行ったと言われているのです

ピラティスのキャデラックでトレーニングする男性

キャデラック

アメリカにおけるピラティスの拡がり

その後、1926年にピラティス氏はアメリカのニューヨークへと渡ります。アメリカに渡る船の中で、ピラティス氏を支え、共に「コントロロジー(ピラティス)」の普及に尽力した、奥様のクララと出逢います。

その後、1930年代前半に働いてジムを買い取り、クララと共にスタジオを開業。そのスタジオが入居していたビルには、ダンスのリハーサルスタジオがあり、当時、アメリカではダンスが流行していたことから、バレエ団のダンサーなどを中心に、ピラティスが拡がっていきました。

上記の様に、ダンサーの方々を中心にピラティスが拡がったこともあり、ピラティスは女性が取り組むメソッドの様に思われがちですが、当時は男性が半数以上を占めていたと言われています。

ピラティス氏の考えと著書および歴史

 ピラティス氏は、体と心のバランスについて触れ、それは体の筋肉の動きすべてを意識的にコントロールすること、体の骨格を構成する骨によって働く梃子の原理を正しく活用すること、体のメカニズムについて完全に理解すること、そして、活動中や休息中、あるいは睡眠中の体の動きに、均衡の法則と重力の法則がどの様に働いているかをよく理解することだ。これらの知識を「コントロロジー」と名付けたとあります。

そして、コントロロジーの技法と原理が広く受け入れられ実践されれば、精神的苦悩と身体的苦痛が世代を追うごとに軽減し、人生が真の喜びとなるはずだ。

(上記 コントロロジー ピラティスメソッドの原点 万来舎より抜粋)

ピラティス氏は、上記の様な考えを述べており、「ピラティスとは、ボディ、マインド、スピリットの統合」とし、カラダにもココロにも働きかけるものとしています。

そして、ピラティス氏は自らの考えをまとめた、以下の2冊の書籍を出版していますので、ピラティスの原点や歴史について、より深く知りたい方は、これらの書籍をおススメ致します。

「ユア・ヘルス」 1934年

「リターン・トゥー・ライフ・スロー・コントロロジー」 1945年

 

日本語では2冊が合本となっている以下の書籍や翻訳本

「コントロロジー~ピラティスメソッドの原点から」

ジョセフ・H・ピラティス原著 川名昌代翻訳 万来舎

 

「リターン・トゥー・ライフ・スロー・コントロロジー」

ジョセフ・H・ピラティス原著 武田淳也監修 現代書林

 

あとは、ピラティス氏の公式認定者であるロリータ・サン・ミゲェル氏推薦の「ピラティスバイブル」があり、ピラティスの歴史や本質について分かりやすくまとめられています。

「ピラティスバイブル」

櫻井淳子 著 現代書林

 

学び溢れる書籍の数々となっておりますので、宜しければぜひご覧くださいませ

ピラティスの効果とは

ここからは、ピラティスの効果についてご紹介させて頂きます

ピラティスの効果というと、「インナーマッスルを鍛える」、「体幹の強化」といった言葉を耳にすることが多くありますが、本当にそうなのでしょうか?

専門的な観点から、1つ1つ考えていきたいと思います

片脚のヒップリフトを行う女性

ピラティスとインナーマッスル&アウターマッスル

先ず、ピラティスと言えば「インナーマッスル」というくらい、よく聞かれる言葉かと思いますが、結論を先に言ってしまうと、ピラティスでは「インナーマッスル」も「アウターマッスル」も両方使います。

そして、ピラティスのどの様なエクササイズを行うかと、行う人によって、その割合は異なります。

その理由を、「機能解剖学」や「運動生理学」の観点から、1つ1つ紐解いていきたいと思います。

インナーマッスルとは

そもそも、インナーマッスルとは何か?ということを考えていくと、医学的に明確な定義は存在しません。

一般的には、「身体の深部にある筋肉」を指して「インナーマッスル」ということがほとんどです。

腹筋群の解剖図Visible Bodyより引用

 

そして、いわゆる「体幹部(頭部と四肢を除く部位)」においては、深部に存在する、呼吸に関わる「横隔膜」、骨盤の下から内臓を支える「骨盤底筋群」、お腹の周りをとりまく「腹横筋(ふくおうきん)」、背骨を支える「多裂筋(たれつきん)」の4つを指して、「インナーマッスル」と言ったり、それら4つの筋肉は1つのまとまりとして活動をすることから、「インナーユニット」などと言ったりします。

骨盤底筋群の解剖図Visible Bodyより引用

※骨盤の底から内臓を支える骨盤底筋群

インナーユニットと筋肉の種類

少し専門的になりますが、筋肉の種類について解説させて頂きます。

筋肉には主に白い色をした「速筋」と、赤い色をした「遅筋」があります(両者の能力を併せ持つ、「ピンク筋」や「中間筋」と呼ばれる筋肉もありますが)。

簡単にまとめると、以下の表の様な感じに成ります。

速筋 大きな力の発揮、素早い動作、持久力は乏しい
遅筋 小さな力の発揮、ゆっくりとした動作、高い持久力
中間筋 速筋と遅筋の中間的な作用

いくつか例外がありますが、基本的には大きな力の発揮や、素早い動作には「速筋」が主に使われ、ゆっくりとした動作や小さな力の発揮には「遅筋」が主に使われます。

そして、いわゆる「インナーマッスル」は、姿勢の制御などに関わることもあり、「遅筋線維」が豊富と言われています。

エクササイズの種類とインナーマッスル

「ピラティス」と一言で言っても、数百種類以上の様々なエクササイズが存在する為、大きな力の発揮が必要なエクササイズや、素早く動くエクササイズも存在します。

その為、一概に「ピラティス=インナーマッスルを鍛える」と言う事は難しく、正確には「インナーマッスル」も「アウターマッスル」も両方使っています。

ピラティスリフォーマーでプランクする女性

※上記の様なエクササイズでは、一般的に「インナーマッスル」だけでは、身体を支えることが出来ない為、「インナーマッスル」も「アウターマッスル」も両方使っていると考えられます。

更に言えば、Aというエクササイズを行う際に、主に遅筋線維を使うか、速筋線維を使うかは、その方の「筋力レベル」などによっても異なります。

例えば、100㎏のバーベルを楽々持ち上げられる方が、10㎏のバーベルを持つとしても、その方にとっては軽い負荷の為、主に遅筋線維が働きますが、12㎏のバーベルを持つのがやっとの方が、10㎏のバーベルを持つ場合、主に速筋線維が働くと考えられます。

上記からも分かる様に、たしかにピラティスにおいて、遅筋線維が豊富な「インナーマッスル」は使いますが、同様に「アウターマッスル」も使いますし、エクササイズ種目やその方の筋力によっても、使う割合は異なるということになります。

ピラティスの効果に関するまとめ

  • 「インナーマッスル」は使うが、「アウターマッスル」も使う
  • 「インナーマッスル」や「アウターマッスル」を使う割合は、エクササイズの種類やその方の筋力レベル、動きの速さなどによって異なる
  • 先ずは強度の低いものからはじめて「インナーマッスル」を活性化し、その後、少しずつ高い強度のエクササイズを行っていくと良い

ピラティスをコンディショニングとしてより多くの人に活用できれば、との想いから弊社が運営している『PILATES AS CONDITIONING ACADEMY』も、よろしければご覧ください。
https://pilates-as-conditioning.com/

imok株式会社

代表 小林俊夫