機能解剖学&運動生理学

膝関節の機能解剖7|膝関節の矢状面の評価

こんにちは。
理学療法士の中北です。

今回のテーマは『膝関節の矢状面の評価』について。

国内における変形性膝関節症の患者数は約3,000万人ともいわれており、膝は腰痛症と共に代表的な運動器疾患ですので、治療や運動指導の現場でも接することが多いのではないでしょうか。

そこで今回は、膝関節の矢状面における評価方法についてお話いたします。

矢状面の評価

膝関節が適切に機能している状態であるか否かは、他動的に完全屈曲できるか、完全伸展できるか、ということが大事です。

関節可動域制限がある状態というのは、何かしらの原因によって脛骨大腿関節か膝蓋大腿関節の動きが制限されているわけですので。

特に、伸展制限は要チェック。

なぜなら、膝関節は軽度屈曲位が最も不安定になるため、痛みを誘発しやすいからです。

そのため、膝関節が完全伸展位をとれるようにすることは、歩行時痛の改善にはとても大事ですね。

そして、可動域制限と合わせて評価しておきたいのが、膝関節の過伸展の有無。

膝関節の10度以上の伸展は過可動性がある状態で、関節としては不安定な状態になりやすく、障害のリスクも高まりますので、合わせて確認しておきましょう。

可動域制限になりやすい脂肪体

膝関節の可動域制限になる組織には、腓腹筋やハムストリングスなどの後方の筋だけではなく、膝関節周囲の脂肪組織も関わります。

脂肪組織は、関節が円滑に動くために重要な役割を担っているので、脂肪組織が硬くなると、当然ながら可動域制限につながります。

prefemoral fat pad の解説イラスト運動器超音波機能解剖より引用

上図のように、膝蓋上包の浅層には大腿四頭筋、深層には「prefemoral fat pad」という脂肪組織が存在していて、膝関節伸展時には、prefemoral fat pad の幅は表層方向に広がり、屈曲時は幅が縮小するように動きます。

そのため、prefemoral fat pad が硬くなってしまうと、膝蓋上包や大腿四頭筋の収縮が阻害されてしまいます

そして、もう一つ重要な脂肪組織が膝蓋骨の下部にある膝蓋下脂肪体。

膝蓋下脂肪体の解説イラスト運動器超音波機能解剖より引用

膝蓋下脂肪体は、膝関節伸展時には近位および前方に移動し、膝関節屈曲時には膝蓋靱帯によって前方から圧迫され、ACL・PCLによって後方からブロックされるため、膝蓋骨の後方に滑り込むように動きます。

そのため、膝蓋下脂肪体も滑動性というのも、膝関節が適切に可動するためには非常に重要です。

膝蓋骨の動きも大事

膝関節が完全屈曲ー完全伸展するためには、膝蓋骨も円滑に動くことが求められます。

膝蓋骨の可動性は以下の通りです。
・上下に0.8~1.0cm
・左右に0.8~2cm
・約7度の回旋
・11度以上の傾斜

このように、膝蓋骨は膝関節の保護や大腿四頭筋の伝達効率を高めるだけでなく、屈曲ー伸展にも大きく関わります。

現場では、何cm動いた、何度動いた、という評価はできませんので、上下・左右・斜めの8方向に、滑らかに動いていればOKです!

なお、膝蓋骨の可動性評価ですが、必ず膝関節伸展位でチェックします。

これは、膝関節伸展位に比べ、膝関節屈曲位になると膝蓋骨と大腿骨の間隙が狭くなり、膝蓋骨が動きにくくなるためです。

膝蓋骨の可動性の解説イラスト

今回は、膝関節の矢状面における評価について、可動域制限になりやすい脂肪組織や、膝蓋骨の可動性と合わせてお話いたしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。