こんにちは!
柔道整復師
imok株式会社の池田です。
今回は、呼吸を行う上で欠かせない、横隔膜のお話をしたいと思います。
皆さんが何気なく行っている「呼吸」は、横隔膜という筋肉が働くことで行われています。
呼吸と聞くと、「鼻でしている」や「口でしている」、または「肺でしている」と解釈は様々ですが、基本的に鼻も口も肺も、呼吸をするための運動を行うことは出来ません。
口も鼻も肺も、空気が通る道にしか過ぎないのです。
つまり、呼吸は横隔膜の働きによって行われているという事になります!
横隔膜とは?
横隔膜を一度おさらいしておきましょう!
横隔膜の場所はこんな感じです!
・正面から見た横隔膜
・下から見た横隔膜
・上から見た横隔膜
・横から見た横隔膜
12対の肋骨で囲まれた空間を「胸郭(きょうかく)」と呼びますが、胸郭は、12対の肋骨と12個の胸椎(きょうつい)と胸骨で構成されるため、とても堅牢な構造をしています。
胸郭の中には、大事な大事な心臓や肺などが入っており、胸郭によって守られています。
横隔膜は胸郭の下を蓋するような形で付いており、胸郭内のスペースである胸腔(きょうくう)を真空状態に保ちます。
ちなみに、循環器でも触れましたが、胸腔内を通る太い動脈を「胸大動脈(きょうだいどうみゃく)」と呼び、横隔膜を境に「腹大動脈(ふくだいどうみゃく)」と名前が変わります。
そのため、横隔膜は食道が通るための穴や、動脈や静脈が通るための穴が開いていて、「食道裂孔」「大動脈裂孔」「大静脈孔」と呼ばれて構造を持ちます。
これらが、横隔膜に開く穴になります。
横隔膜がどうなったら呼吸ができるのか?
横隔膜の写真を見て、およその形のイメージは付いたと思います。
横隔膜は骨で付着している部分以外の所は、胸郭内に収まっており、帽子のように窪みがある構造です。
横隔膜が働くという事は、この窪んでいる部分が下に落ちてきて、横隔膜が平らに近づくという事になります。
通常、筋肉は2つ以上の骨の関節部分を跨ぐように存在し、その筋肉が働くことによって、2つの骨の距離を近づけて、関節を動かすことになります。
なので、骨がある程度自由に動くことが前提となります。
しかし、横隔膜という筋肉は、堅牢な胸郭に付着しているので、横隔膜が収縮しても肋骨は大きく動いてくれません。
前者の2つ以上の骨の間に位置する筋肉でしたら、筋肉の働きによって骨が動く。
つまり関節運動が行われます。
しかし、後者の横隔膜の場合、堅牢な胸郭によって胸郭を動かすことはあまりできないので、横隔膜の中心部が下に向かって引っ張られるように動くことになります。
イメージが難しいと思いますが、もう少しかみ砕いてみましょう。
筋肉を細いゴムのようなものだと思ってください。
横隔膜の筋肉の繊維は、中心から外側に向かって伸びています。
筋肉が働く=筋肉が収縮する(短くなる)
の方程式に当てはめると、
横隔膜の中心部から、外側の胸郭に向かって伸びる筋肉の繊維達は、胸郭を中心に持ってこようと引っ張りますが、胸郭は堅牢であまり動きません。
すると、横隔膜の筋繊維の外側を引き寄せられないため、中心部が外側に引き寄せられていきます。
横隔膜において中心部が引き寄せられるという事は、中心部が外側部分に近づくことになりますので、中心部が下がるという事になります。
実際にはもう少し複雑な動きを行うのですが、横隔膜が下がりながら動くことに関しては理解できたでしょうか?
横隔膜と肺
横隔膜が下がる事で何が起こるかというと、肺が陰圧になります。
陰圧とは物体の内部の圧力が、外部の圧力よりも低い状態を指します。
気圧は高いところから、低いところには移動するように出来ています。
その為、空気が外から肺に流れ込んでくるんですね!
そして、肺胞内よりも肺胞外の方が気圧が低いため、肺胞内の方へ大気圧が留まりやすいことになります。
横隔膜が下がり空気が肺胞内に流入してくると、肺胞が膨らんでいき、肺胞外(胸膜腔)はどんどん陰圧になっていきます。
この状態では、肺胞外の陰圧が強いので、肺胞内の表面張力により潰れようとする力よりも、陰圧と陽圧の高低差により、膨らもうとする働く力が大きい状態となります。
しかし、横隔膜が上昇し元の位置に戻ると、肺胞外の陰圧は減少するため、肺胞が表面張力によって潰れようとします。
このように、横隔膜による呼吸と、陰圧と陽圧の関係性と、肺胞の表面張力によって潰れる力が、うまくバランスを取り合って呼吸が行われているのです。
ちなみに、気胸とい病気と言いますか、怪我をご存知でしょうか?
陰圧でないと・・・
この気胸は、肺胞外(胸膜腔)の膜に穴が開いてしまったことにより、肺胞外が大気圧と同じになり、陰圧を保てなくなって肺胞が潰れてしまうという病気になります。
つまり呼吸ができないという恐ろしい状態になります。
肺は2つあるので、その場で窒息してしまうことは無いようですが、苦しくて倒れてしまうほどなので、緊急の対応が求められます。
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