こんにちは。
トレーナーの小林です。
段々と寒さが増し、室内と外の気温差が大きくなると、自律神経の乱れを引き起こしやすくなることが考えられます。
自律神経の乱れは、「肩こり」などにも繋がることが考えられますので要注意ですね!
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今日は、内臓をはじめ、身体を自動的にコントロールしてくれている自律神経と姿勢の関係についてみていきましょう!
神経系と自律神経
最近は健康番組なども増え、テレビや雑誌などを通して、「自律神経(じりつしんけい)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
自律神経を深く理解をする為に、「神経」とは、そもそも何か?といった根本から考えていくと、神経とは、身体の各器官と中枢(脳や脊髄)を繋げるネットワークのことを指します。
例えば、「知覚神経(ちかくしんけい)」という神経を介して、皮膚や筋肉、関節などにある「感覚器(かんかくき)」と呼ばれるセンサーからの情報が脳へと伝わります。
また、脳で創られた運動のプログラムなどは、「運動神経(うんどうしんけい)」と呼ばれる神経を介して筋肉へと伝わり、腕や脚が動くということが起こっています。
そして、「神経系」を見ていくと、以下の中枢神経と末梢神経に分類されます。
「中枢神経(ちゅうすうしんけい)」:脳(大脳、間脳、脳幹、小脳)や脊髄
「抹消神経(まっしょうしんけい)」:脳や脊髄から出入りする神経(体性神経、自律神経)
今回ご紹介する「自律神経」は、末梢神経に分類され、末梢神経は、「体性神経」と「自律神経」に分けられ、体性神経は「知覚神経」と「運動神経」からなります。
「自律神経」とは、名前の通り自律した神経であり、24時間、自動的に活動し、呼吸や血流、内臓などをコントロールしています。
交感神経は闘う&逃げる為の緊張モード
自律神経の働きには、様々な脳の部位が関わりますが、主なコントロールセンターは、間脳の「視床下部(ししょうかぶ)」という所に存在します。
この自律神経は、気管や肺などの呼吸器、心臓および血管といった循環器、胃腸や肝臓などの消化器、腎臓や膀胱などの泌尿器をはじめ、多くの方が耳にしたことのある内臓をコントロールしていたり、汗腺、唾液腺、瞳孔、内分泌線など、広範囲にわたって分布しています。
私達は、常に身体の内外の状態を「感覚器」というセンサーを通して観察しており、その時の環境や状態に合わせて、交感神経と副交感神経のスイッチを入れ替え、自動的に内臓などをコントロールしているのが自律神経です。
例えば、街中を歩いている時に、段差につまづいて転びそうになり、心拍数が一気に上がると共に、汗をかいた経験はありませんか?
少し専門的になりますが、これは「前庭自律神経反射(ぜんていじりつしんけいはんしゃ)」などといって、転びそうになって、身体が急激に傾いたりした時に、「耳の奥にあるセンサー=前庭」からの情報によって、交感神経がスイッチONになり起こる反応です。
交感神経は「闘争or逃走」反応。副交感神経は「生殖or摂食」反応と言われ、交感神経は緊張モードの為、交感神経が優位になると、いつでも戦ったり、逃げたりできる様に、心臓の拍動や血流量が増加をします。
副交感神経は食べる&子孫を残すリラックスモード
それに対して副交感神経が優位になると、食事の消化や吸収に関わる胃腸の働きなどが活発化されます。
例えば、私達は食べたものを細かく消化することで、体内に吸収が出来る訳ですが、この消化の為に大切なのが、唾液や胃液、膵液の様な「消化液」になります。
こうした消化液は、基本的に副交感神経が優位な状態では、分泌量が増加し、交感神経が優位な状態では分泌量が減少します。
会議や講演などで緊張し、口の中がカラカラになった経験がある方は多いと思いますが、これは交感神経が優位になることで、唾液などの分泌が減ったり、粘り気の強い種類の唾液の割合が増えたことにより起こる現象です。
その為、如何にリラックスした空間で心を許せる家族や仲間とのんびり食事を摂るか。言い換えると副交感神経が自然と優位になる状態にするかといったことが、消化吸収の観点からも重要なんですね。
現代人の猫背と自律神経の繋がり
少し話は変わりますが、肺と肺の間の空間を「縦郭(じゅうかく)」と呼び、この中には心臓や大動脈、大静脈、気管、食道などをはじめとする重要な臓器が存在します。
更には、器官より前を「前縦郭(ぜんじゅうかく)」、縦郭の後部にあたる部分を「後縦郭(こうじゅうかく)」と呼びますが、この「後縦郭」には交感神経や交感神経節が通っています。
その為、街中で多く見られる写真の様な姿勢の方は、胸の背骨がフラットになり、背骨に付着している肋骨も、外旋という前に突き出した状態となります。肋骨が外旋といって前に突き出した状態では、「後縦郭」と呼ばれる空間が狭くなります。
後縦郭が狭くなることで、その中にある交感神経が圧迫され、常に刺激された状態になってしまいます。
本来は、必要に応じて、交感神経と副交感神経のスイッチを入れ替えられることが重要ですが、こうした姿勢から抜け出さないことで、常に交感神経が優位な状態が続きやすくなると、消化液が適切に分泌をされない為、消化吸収が上手くいかなかったり、緊張モードの為、眠りが浅くなったり、長時間眠っているけれど、なかなか疲れがとれにくかったりすることが考えられます。
姿勢と自律神経の調整エクササイズ
日々の満員電車などで心理的なストレスレベルも高く、交感神経が優位な状態になりやすい現代の生活においては、日頃の身体のケアが重要なポイント。
お風呂上りなどに以下のエクササイズを行って頂く事で、現代人に多く見られるスマホ猫背などを改善すると共に、圧迫されている交感神経を開放し、自律神経のバランスを整えていきます!
《ローオブリークサイドリーチ》
《目的》
骨盤や背骨を反らせる筋肉のストレッチを行い、骨盤や背骨、肋骨の位置を整える
ももの前側、背中のサイドラインなどを伸ばします
《エクササイズのポイント》
- 肩の下に肘をつき、下側の脚を前に、上側の脚を後ろに曲げ、90度-90度の形になる様にします
- 下側の肘で地面を押し、脇腹を天井方向へ引き上げます。この時、腰が反らない様に気を付けましょう
- 上側の腕を大きく伸ばし、上側の背中のサイドラインが伸びるのを感じます
- 左肩を支点にして、右肩が地面と平行になる様に、身体を回旋させていきます
- この姿勢のまま、ゆっくりと2回呼吸を繰り返します。呼吸をしている間、下側の左肘で地面を軽く押し、背中を丸める様にしましょう
- 1~5を4回繰り返したら、反対側を行います
《アルマジロ呼吸》
《目的》
背中を丸め、前に突き出している肋骨を内側にしまうことで、背中側の空間(後縦郭)を拡げ、圧迫されている交感神経を開放する
《エクササイズのポイント》
- 肩の真下に手をつき、股関節の真下に膝をついて四つ這いになります
- 前方へ少し体重を移動しながら、手の付け根で地面を押し、背中を丸めます
- 背中を丸めたまま、5秒で息を吸い、10秒かけて息を吐きます
- 1~3を4回繰り返します
呼吸と自律神経
最後に、エクササイズを行う際の呼吸についてですが、呼吸と自律神経は密接に繋がっていて、息を吸うと交感神経を活性化し、息を吐くと副交感神経を活性化します。
その為、今回のエクササイズでは、後縦郭を拡げて圧迫されていた交感神経を開放するだけでなく、息を吸うよりも、吐く時間を長くすることで、呼吸からも副交感神経の活性化を行っていきます。
普段は、呼吸は無意識に行って頂く事が多いのですが、今回のエクササイズでは、頑張らずにリラックスしながら行いながら、吐く時間を長くすることを少し意識してみてください。
上記のエクササイズを行う事で、姿勢が良くなるだけではなく、自律神経のバランスが整い、睡眠や消化吸収などにも影響します。
現代人は、日頃から多くのストレスにさらされ、その上、スマホ猫背に代表される様に、姿勢からも交感神経が優位になりやすい毎日を過ごしていますので、日頃のケアがキレイな姿勢を作る上でも、健やかな毎日を過ごす上でも重要なポイントになりますので、先ずはこの2種目だけでも、ぜひ毎日行ってみてください
さらに身体に関する学びを深めたいという方は、『Pilates As Conditioning Academy』もご覧ください
https://pilates-as-conditioning.com/