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姿勢制御に重要な感覚器

こんにちは。
理学療法士の中北です。

本日のテーマは『姿勢制御に重要な感覚器』について。

不良姿勢によって、スタイルや肩こり、腰痛などにお悩みの方は多いので、感覚器が姿勢制御にどのうように関わっているのかを理解し、姿勢改善の糸口にしていきましょう!

姿勢制御は3段階

そもそも我々の姿勢は、『インプット→統合→アウトプット』という3段階に分かれて制御されています。

インプット、統合、アウトプットの解説イラスト森岡周:リハビリテーションのための神経生物学入門を引用改変

第1段階の「インプット」というのは、情報を集める段階。

具体的には、視覚・前庭覚・体性感覚などのセンサーにより、自分の身体の状態と、外界の環境を把握しています。

これらの情報が、脳や脊髄といった中枢神経系に伝達され、統合されるのが第2段階である「統合」です。

インプットされた身体や外界の情報をもとに、生命維持や動作効率を高めるための適切な姿勢を選択します。

そして、その結果が筋肉などの効果器に伝達され、実際の姿勢として表現されるのが、第3段階の「アウトプット」です。

このように、「インプット→統合→アウトプット」という流れで、我々の姿勢は常に微妙にコントロールされているわけですね。

例えば、同じAさんという人であっても、真っ平らな道と、急な上り坂を登る時では姿勢が変わります。

真っ平らな道を歩くときは比較的地面に対して垂直に近い姿勢だとしても、1秒後に急な上り坂を登る時には、地面に対して前傾姿勢になることでしょう。

なぜなら、急な上り坂を登るためには、前傾姿勢にならないと重心が後方に移動して転倒してしまうからです。

上り坂を登る人のイラスト

これは、「上り坂」という外界の環境を視覚によって感知(インプット)し、「上り坂を登る」という動作を効率良くするための姿勢を選択(統合)し、それに必要な筋発揮(アウトプット)が実行されるためです。

そのため、同じ人でも1秒後には全く異なる姿勢を選択しているということも、多々あるわけですね。

なお、センサーからインプットされる情報の精度が低ければ、その情報を基にして中枢神経系は統合するわけですから、当然ながらアウトプット結果は悪くなりますので、そもそも身体の感覚受容器が適切に働いているのか、というのは非常に大切です。

どんなに優れたプログラミングソフト(統合)をダウンロードしても、コードを間違って入力してしまえば、”エラー”という出力結果にしかならないですからね。

姿勢制御に重要な視覚・前庭覚・体性感覚

このように、適切な感覚器からのインプット情報は姿勢制御において不可欠です。

なかでも重要なのが、視覚・前庭覚・体性感覚からの情報。

感覚器のイラスト

体性感覚は、表在感覚(触圧覚・温痛覚など)と深部感覚(位置覚・運動覚・重量覚など)に分かれ、体性感覚情報によって、『自分は今どうなっているのか』かが分かります。

そして、視覚や前庭覚からの情報によって、『自分は今どこにいるのか、動いているのか止まっているのか』などを理解し、中枢神経系は適切な姿勢を選択できるわけですね。

これら感覚器からの情報によって、どのような路面に立っているのかを理解したり、物にぶつからないように動いたり、といった日常の動作を行えています。

そのため、よく物にぶつかる、バランスをとるのが苦手、などの自覚がある人は、感覚器からのインプット情報の精度が低下している可能性が考えられますので、以下のような評価をしてみると良いかもしれません。

体性感覚の評価であれば、関節位置覚テストや二点識別テスト、筋の知覚テスト。

視覚であれば、両眼視テストや固定視、周辺視のテスト。

前庭覚であれば、マンテストやフクダステップテストなどが、簡単に行えておすすめです。

それぞれの評価方法の詳細は、Googleで検索して頂ければすぐに出てきますので、ここでは省略いたします。

今回は感覚器をテーマにお話しいたしましたが、感覚器からの情報を処理する中枢神経系が適切に働いていなくても、姿勢は適切にコントロールできないので、次回は中枢神経系についてお伝えさせて頂きます。

さらに身体に関する学びを深めたいという方は、『Pilates As Conditioning Academy』もご覧ください。
https://pilates-as-conditioning.com/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。