機能解剖学&運動生理学

腰部の機能解剖2|椎間関節とは

こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。

今日は腰椎の椎間関節についてお話します。

腰椎椎間関節の特徴とは

腰椎の椎間関節の解剖イラスト椎間関節(腰椎) VISIBLE BODYで作図

 

関節面の形状は矢状面にて平行に近いので、屈曲・伸展は得意ですが、回旋は不得意な構造です。

例えるなら、2本の棒が床に対して垂直に寄り添って立っている感じの関節面です。

そのため、個人差はありますが回旋可動域は第1腰椎~第5腰椎までを合計しても10度前後といわれています。

ちなみに、胸椎は前額面にて平行に近くなるので、屈曲・伸展よりも回旋が得意な構造になります。

よくゴルフなどの回旋系のスポーツでは「腰を回して!」などの声かけがありますが、実際には胸椎や股関節が回旋運動では主役になります。

そもそも回旋が不得意な腰椎を過剰に回旋させてしまうと障害につながりやすそうですね。

実際に「腰椎分離症」は椎間関節突起間部の疲労骨折であるといわれています。

適切な回旋動作を遂行するには胸椎や股関節の可動性が大切ですが、胸椎の可動性は肋骨の内外旋によっても左右されます。

腰椎に負担をかけないためには肋骨の状態も関わるので、併せて覚えておきましょう!

椎間関節には侵害受容器が豊富

「回旋動作で腰椎に負担をかけないようにしましょう」という話が出たところでもう一つ覚えておきたいのが、椎間関節周囲の受容器についてです。

受容器とは体外や体内からの刺激を感知するセンサーです。

椎間関節とその周囲には受容器が豊富に存在するといわれています。

この受容器は外部刺激を感知する侵害受容器と、位置覚や運動覚を感知する固有感覚受容器に大別されます。

この受容器の割合が、椎間関節周囲の組織には侵害受容器が約3%しか存在しないのに対し、椎間関節では侵害受容器が30%を占めるといわれています。

どうやら椎間関節は腰痛の発生源にもなりやすそうですね。

椎間関節の神経支配とは

椎間関節は脊髄神経後枝内側枝により支配されていますが、この脊髄神経後枝内側枝は皆さんご存知の多裂筋も支配しています。

椎間関節の支配神経の解剖イラストVISIBLE BODYで作図

そのため、以下のような悪循環が生じる可能性も考えられます。

椎間関節由来の疼痛発生

多裂筋の出力低下

腰椎安定性低下

二次災害的な疼痛発生

 

実際には、腰痛の原因は多岐に渡りますので可能性の一つとして捉えて頂ければと思います。

障害は過剰に負担が掛かる部分に発生しやすいので、腰部への負担を減らすためにも胸郭や股関節といった隣接関節の機能も重要ですね。

おススメのエクササイズ

広背筋が硬くなると、胸郭の可動性低下や腰椎の過伸展につながりますので、広背筋の抑制エクササイズをご紹介いたします。

http://exercise-four-stance-stretch

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※参考文献
非特異的腰痛で知っておきたいこと.Monthly Book Orthopaedics26(12).2013.
腰椎・腰部の機能解剖.理学療法28(5).2011.
福林徹:腰痛のリハビリテーションとリコンディショニング.文光堂.2011.
坂井健雄監訳:グラント解剖学図譜第6版.医学書院.2011.