こんにちは。
理学療法士の中北です。
本日は「頚椎の可動域改善の考え方」について考えていきたいと思います。
まずは頚椎の基本的な機能解剖から確認していきましょう。
上位頚椎の機能解剖
頚椎は上位頚椎と下位頚椎に分かれており、形態学的にも機能学的にも異なります。
上位頚椎は第1頚椎と第2頚椎から成り、一般的な椎骨とは大きく異なる形状をしています。
第1頚椎(環椎)には棘突起や椎体が無く、第2頚椎(軸椎)には歯突起と呼ばれる突起が存在します。
第1頚椎と後頭骨によって構成されている「環椎後頭関節」の特徴は以下のとおりです。
①椎間板が存在しない
②屈曲-伸展、側屈動作に主に関与
③初期の屈曲動作に関わる
約8~10度の屈曲初期の動きに関与すると言われている為、アゴを引く”チンイン”エクササイズへの影響が考えられますね。
続いて、第1頚椎と第2頚椎で構成されている「環軸関節」の特徴は以下のとおりです。
①環軸関節にも椎間板は存在しない
②主に回旋動作に関与し、頭頚部回旋の約50%を担う
環軸関節は、なんと頭頚部回旋の約50%も担っているんですね!
そのため、猫背姿勢や長時間のデスクワークなどで頚椎伸展筋群が硬くなってしまうと、頚椎の回旋可動域の低下につながることが予想されます。
下位頚椎の機能解剖
下位頚椎は第3頚椎~第7頚椎によって構成され、それぞれ同じような構造をしており、特徴は以下のとおりです。
①ルシュカ関節が存在する
②横突起があり、横突孔がある
ルシュカ関節は鈎椎椎体関節とも呼ばれ、椎体上面の後外側面にある上下の鈎状突起によって構成されており、回旋や側屈の動きの安定性に寄与しています。
そして、横突孔には脳に栄養供給をしている椎骨動脈が通っていますが、第7頚椎には横突孔が存在しません。
頚椎のカップリングモーションは、上位頚椎では「回旋側と反対側への側屈」が生じ、下位頚椎では「回旋側と同側への側屈」を伴います。
このように、上位頚椎と下位頚椎では異なるカップリングモーションを有するので、結果として相殺されて純粋な回旋動作や側屈動作に見えるようになっています。
頚椎の可動域改善の戦略
頚椎の可動域改善を図るうえで大切なのが、ここまでお話してきた「上位頚椎」と「下位頚椎」に加え、「上位胸椎」の協調性です。
頚椎に限らず、関節というのは過剰に動き過ぎる部分に障害が生じやすいものです。
そのため、頚椎においても上位頚椎・下位頚椎・上位胸椎がバランスよく動くようにすることが、可動域改善に介入するうえでも重要となります。
もちろん個人差はありますが、上位頚椎と上位胸椎の可動域が低下し、下位頚椎の過剰に動くことで痛みが生じ、可動域の低下につながっているケースが多いように感じます。
頚椎椎間板ヘルニアの好発部位がC5/C6、C6/C7、C4/C5の順番で多いことからも、下位頚椎に負担が掛かっていることが推察できますね。
そのため、まずは上位頚椎と上位胸椎の可動性を改善していくことが大切ですが、おすすめのエクササイズがこちら↓↓
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また、頭部や頚椎を支持する筋の多くは、胸椎・肩甲骨・鎖骨・肋骨に付着しますので、胸郭のアライメントを整えることも大切ですね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。