栄養&消化&免疫

グルコースをつくり出す | 糖新生

和食

こんにちは。
分子栄養学認定カウンセラーの千野ひとみです。

今日は、糖新生についてお伝えしていきます。

糖は身体に必要不可欠

私たちの身体には「糖(グルコース)」が欠かせません。

私たちが生きていくためのエネルギーは、3大栄養素である、炭水化物(糖)、脂質、タンパク質からつくられます。

脂質とタンパク質は、エネルギーとなるまでの消化や代謝の過程が複雑で、栄養が不足していたり、身体の機能が低下している人にとっては、使いにくいエネルギー源ともいえます。

一方で、炭水化物(糖)は、脂質やタンパク質と比べて、エネルギーになりやすいという特徴をもちます。

筋肉等の組織は、糖だけでなく、脂質やタンパク質をエネルギーとすることができる一方で、脳や赤血球は、糖しかエネルギーとして使えません。

つまり、私たちの身体には、糖は必要不可欠の栄養素なんです。
糖の必要性や、糖質制限については、コチラの記事でもお伝えしました。

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「糖新生」とは

糖新生とは、「糖以外のものから、糖をつくる」ことです。
私たちはエネルギーを生み出すために、グルコースを出発点とした解糖系、TCA回路、そして電子伝達系といった化学反応でATPを合成します。

ですが、長時間食事が摂れない場合や飢餓状態の時には、解糖系を逆行して、グルコース以外の物質からグルコースをつくり出し、エネルギー源を生み出します。
外部からの糖質の供給がなくても、グルコースが血中に一定濃度で存在し続けるためのシステムこそが「糖新生」です。

糖新生とは、血中のグルコース量を一定に保つため、解糖系を逆行してグルコースを合成すること

糖をつくる材料としては、乳酸、アミノ酸、グリセロールが挙げられます。

乳酸からの糖新生

激しい運動をした時など、十分な酸素が行き渡らない場合、嫌気性代謝となりピルビン酸から乳酸が生じます。
筋肉に溜まった乳酸は、そのままではエネルギーとして利用できないため、糖新生でグルコースにつくり直されます。

乳酸をグルコースにつくり直す場合、解糖系のルートを逆行します。
解糖系の反応の多くは、化学反応を両方向に進める酵素が働いていますが、1カ所だけ、逆方向に進めない箇所があります。
それが、ホスホエノールピルビン酸⇒ピルビン酸の部分です。

そのため迂回ルートが存在します。
まず乳酸をピルビン酸に変えた後、オキザロ酢酸に変えます。さらにリンゴ酸に変えることで細胞膜を通過し、もう一度オキザロ酢酸に戻して、ホスホエノールピルビン酸となることができ、グルコースが合成されます。

 

アミノ酸からの糖新生

グルタミン酸というアミノ酸から、アミノ基と水素原子をとって、代わりにケトン基をつけるとαケトグルタル酸になります(グルタミン酸⇒αケトグルタル酸)。
同様に、アスパラギン酸⇒オキザロ酢酸、アラニン⇒ピルビン酸といった代謝が行われます。

変換されたαケトグルタル酸やオキザロ酢酸、そしてピルビン酸は、解糖系やTCA回路の代謝物質であり、TCA回路を回りながら解糖系の回路へ組み込まれ、グルコースの合成にもつかわれます。

グリセロールからの糖新生

絶食に備えて貯蔵してあったグリコーゲンが枯渇すると、身体に蓄えられてあった中性脂肪の分解がはじまります。
中性脂肪は、グリセロールと脂肪酸に分解され、グリセロールはジヒドロキシアセトンリン酸に変換されて、解糖系を逆行してグルコースとなります。

 

このように、私たちには、グルコースが枯渇した場合、糖以外のものからグルコースをつくり出す機能が備わっています。

ですが、これらの化学反応は無条件で行われるわけもなく、酵素や補酵素が触媒となり、物質の変換が行われます。

例えば、
アミノ酸のアラニンがピルビン酸へ変換される場合は、アミノ基転移酵素である「ALT」が必要であり
そもそも、グルコースがピルビン酸になるためにはビタミンB₁が欠かせないといったように
化学反応には、多くの栄養素やエネルギーが使われます。

そのため、栄養が不足していたり、そもそも糖新生が行われる肝臓機能が低下していたりする場合、糖が枯渇してもグルコースをつくり出すことができず、エネルギー不足に陥ってしまうこともあります。