機能解剖学&運動生理学

循環器6|脳の脊髄液と循環

脳

こんにちは!

鍼灸あん摩マッサージ指圧師&トレーナーの小林です。

今回は「脳の循環」がテーマとなりますが、「脳の循環って何ぞや?」と思いの方もいるのではないでしょうか。

今回の脳の循環は、脳脊髄液の循環となります。

脳を直接見たことがある方も少ないと思いますが、豆腐やゼリーの様に柔らかい器官である為、傷付かない様に衝撃などから保護をすることが重要です。

その為、髪の毛や硬い頭蓋骨などはもちろんですが、三層構造の膜と、今回お話させて頂く、脳脊髄液という液体に浸かった状態にあることで、浮力が発生し、重力などからも守られています。

本日は、脳の構造と脳脊髄液についてご説明していきます。

脳を囲う骨と膜とは

私達が生きる為には大切な脳は、頭蓋骨という硬い骨によって取り囲まれています。

この頭蓋骨は、「前頭骨(ぜんとうこつ)」、「頭頂骨(とうちょうこつ」、「側頭骨(そくとうこつ)」、「後頭骨(こうとうこつ)」、「蝶形骨(ちょうけいこつ)」、「篩骨(しこつ)」の6種類、8個の骨から構成されています。

頭蓋骨のイラスト

更には、三層構造の膜によって包まれており、内側から脳の表面に密着して脳を保護している「軟膜(なんまく)」、クモの巣の様な構造をしていることから、その名前が付けられた「クモ膜(くもまく)」、最も硬くて強靭な「硬膜(こうまく)」になります。

くも膜下出血という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは「くも膜の下」という意味になり、軟膜とくも膜の間には、クモ膜下腔と呼ばれる場所がありますが、ここで出血があり、血液が溜まることで脳を圧迫してしまう傷害となります。

そのため、対応が遅れると脳へのダメージが大きくなり、身体の麻痺や言語障害などを引き起こしてしまうのです。

脳脊髄液とは

「脳脊髄液(のうせきずいえき)」とは、脳室と呼ばれる場所にある「脈絡叢(みゃくらくそう)」で、1日に約400~600mlほどつくられる液体で、脳から脊髄を循環する液体であり、栄養を供給すると共に、脳や脊髄のクッションの役割を担っています。

ちなみに脳の重さは、約1200~1400gですが、この脳脊髄液の浮力によって、50g程度にしか感じられない様になっていると言われています。

脳の一部から産生と吸収が行われるので、こちらの液体も循環を繰り返しており、また、字の如く脳と脊髄の液となりますので、脳だけでなく脊髄までも包括しています。

まだ完全には解明されておらず、諸説ありますが、脳脊髄液の多くは、脊髄も含めたクモ膜下全域を巡った後に、内頚動脈を経由して心臓へと戻っていくと言われています。

少し話は変わりますが、神経には中枢(ちゅうすう)神経末梢(まっしょう)神経という分類があり、中枢神経は脳と脊髄を指し、中枢神経から出たり、入ったりしている神経が、末梢神経となります。

ちなみに、脳神経とは「脳」と名前がつくので中枢神経と勘違いしやすいのですが、末梢神経に分類されます。

つまり、中枢神経系がダメージを受けると、末梢は機能しなくなるという事になります。

脳脊髄液は、大事な中枢神経を衝撃から守る役割をしていると考えられそうですね。

まとめ

血液と同じく、脳にも循環という機能が備わっています。

血液が循環をすることで、栄養や酸素などを送り、炭酸ガスや老廃物などを回収するのと同じ様に、脳脊髄液が循環をすることで、脳や脊髄に栄養を与えながら、保護する役割を担っています。

身体の循環システムは体循環や肺循環以外にも、脳循環があるということを覚えておきましょう!

最後までお読み頂き有難うございました。