ヘルスリテラシーの向上&健康経営(一般の方向け)

理想的な呼吸獲得の為のパーフェクトガイド~理論編~

鼻腔

 こんにちは。

パフォーマンストレーナーの小林俊夫です。

 本日は、姿勢を良くする上でも、健康的な毎日を過ごす上でも、パフォーマンスを向上する上でも重要な「呼吸」について、お話していきたいと思います!

 

呼吸のチェック

 先ずはご自身の呼吸の状態を知って頂ければと思いますので、初めに以下の呼吸のチェックを行ってみてくださいませ。

  1. 鼻から自然に息を吸います
  2. 息から自然と息を吐きます
  3. 息を止め、手で鼻をつまみます(空気が入るのを防ぎます)
  4. 息をしたいと感じたら、鼻から手を離します
  5. 鼻から息を吸い、自然な呼吸に戻ります

 

息を止めてから、息をしたいと感じるまでの秒数を計測します

※呼吸を再開した時に、ゼーハーゼーハーと大きく息をしなければならない場合は、息を止める時間が長すぎた感じです

 

呼吸チェックの結果と傾向

 上記の呼吸のチェックを行い、息を止めて何秒くらいで苦しいと感じたでしょうか?

ご自身の結果と以下の内容を照らし合わせてみてみましょう!

10秒前後:口呼吸や重度の喘息、鼻づまりなど呼吸に問題を抱えている場合が多く、日頃から息苦しさを抱えていることが多い。健康な毎日を過ごす為にも、先ずは呼吸の改善が重要

20秒前後:日ごろ、適度な運動を行っている場合、20秒前後になりやすい。少しずつ適切な呼吸に近づいているが、まだ呼吸過多の状態。ランニングや筋力トレーニングなどを始める前に、呼吸を改善することが重要

30秒前後:無理の無い自然な呼吸になり、呼吸は静かでゆっくりしている

40秒以上:理想的な呼吸の状態

 

 時間が短くても、改善出来る可能性が高いですので、ご安心ください。

 他にも日頃から「緊張している」のをよく感じたり、朝起きると口の中がカラカラに乾いていたり、手足などの末端が冷たい方などは、呼吸にエラーが起きている可能性が高い為、要注意です!

では、何が起こっているのかを見ていきましょう!

呼吸過多になりやすい現代人と呼吸の誤解

  呼吸において重要なのは、じつは「酸素」よりも「二酸化炭素」なんですね!

 そして、現代人の多くは、「呼吸過多」であり、「酸素」が余り、「二酸化炭素」が足りていない状態になっていますが、「深呼吸」で「酸素」をたくさん取り入れることが身体に良いと思い、酸素が過剰な状態にも関わらず、酸素を大量に取り込もうとしています。

 

赤血球

 私達の身体は、酸素が血液中に溶け込むためには、赤血球のヘモグロビンとくっ付く必要があり、赤血球にあるヘモグロビンのうち、どれくらいが酸素とくっ付いているかを示すのに「血中酸素飽和度」という言葉が使われますが、一般の方の血中酸素飽和度は95~99%の状態の為、ほとんどのヘモグロビンが酸素とくっ付いている状態であり、酸素が足りていない人はほとんどいないんですね。

 そして、この「血液中の酸素」を、各細胞に受け渡す為には、「二酸化炭素」が重要なのですが、「運動不足な生活」が続いていたり、「加工食品などの大量摂取」や「深呼吸が身体に良いという思い込み」や「口呼吸」などによって、二酸化炭素が足りていない為に、血液中には酸素がいっぱいあるのに、各細胞には酸素が行きわたらないという状態になっています。

 それによって、日頃の「疲労感」や「炎症反応の促進」、「免疫システムの低下」であったり、身体へ様々なマイナスの影響が出ることが分かってきています。

理想的な呼吸を妨げる脳のエラー

 私達の身体には、血液中に溶けている「二酸化炭素の濃度」や「血液のPh」などを図るセンサーがあります。

 少し専門的になりますが、延髄(えんずい)と呼ばれる脳の部分に、呼吸の司令塔であるコントロール中枢が存在します。

 

延髄

 ここで血液中の二酸化炭素濃度やPhなどを監視し、一定のラインを超えると、「呼吸」を促す指令を出す様になっています。

 しかし、呼吸過多な状態が24時間以上続くと、この呼吸の司令塔がエラーを起こしてしまい、「呼吸過多な状態」がその人にとっての「普通」になってしまいます。

 最初に行ったチェックでは、息を止めることで、少しずつ体内の「二酸化炭酸濃度」が高くなっていきますが、日頃から呼吸過多になっている人は、本来であれば許容できる範囲の濃度でも、エラーが起こっている為に、スグに呼吸をしたくなってしまう訳ですね。

 その為、日頃から理想的な呼吸を行うには、一旦、この呼吸の司令塔にあたる「呼吸中枢」をリセットすることが重要です!

 

鼻呼吸と口呼吸

 それでは、理想的な呼吸に戻していく為にはどうしたら良いのでしょうか?

 まず1つ目のポイントは「鼻呼吸」になります。

 「鼻呼吸」と言うと、当たり前の様に感じるかもしれませんが、じつは現代人の多くは「口呼吸」になっています。

 電車の中でスマホを使っている人やデスクワーク中の同僚の顔を見て頂ければと思いますが、パソコンやスマホを使っている時、頭が前に出て、口が開き、口で呼吸をしている場合が多く見られますので、今度こっそりと周りを見てみてください。

 鼻呼吸でも、口呼吸でも、同じ呼吸の様に捉えがちですが、鼻呼吸と口呼吸では身体への影響が大きく異なりますし、この後の鼻呼吸のメリットの部分で記載しておりますが、口呼吸よりも鼻呼吸の方が、呼吸量が減少します。

「鼻呼吸のメリット」

  1. 鼻には、鼻毛による異物の除去や加温や加湿機能が備わっている為、鼻の穴を通過する際には、30度近くまで空気の温度があがり、肺に到達する時には体温と同じ37度前後まで上昇します
  2. 鼻呼吸と口呼吸では、鼻呼吸の方が空気の抵抗が50%程度増加する為、自然と呼吸量が減少し、細胞へ酸素が届けられやすくなります
  3. 鼻は一酸化窒素の貯蔵庫になっている為、鼻呼吸を行う事で、殺菌や消毒をしたり、血管を拡張させる作用のある一酸化窒素が体内に取り込まれます

「口呼吸のデメリット」

  1. 消毒・殺菌効果のある唾液が渇いてしまう為、雑菌が大量に繁殖し、口臭の原因にもなる
  2. 口の中が渇くことで口の中が酸性になりやすく、歯周病など歯や歯頚の病気になりやすい
  3. 一酸化窒素が体内に吸収されない
  4. 呼吸量が増加し、炭酸ガスの量が減少することで、血液中の酸素を細胞に上手く渡せない
  5. 鼻の下が伸びてしまい、馬面になりやすい

 

 「たかが鼻呼吸、されど鼻呼吸」ではありませんが、これぐらい「鼻呼吸」と「口呼吸」では身体への影響が異なりますので、先ずは「鼻呼吸」に戻すことから始めていきましょう!

スマートフォンと鼻呼吸と舌のポジション

 ここから更に踏み込んでいくと、鼻呼吸を行う上で重要になってくるのが、「舌」の位置になります。

「舌の位置」なんて、意識をしたことが無いと思いますが、じつは「舌」にも理想的な位置というものが存在します。

 どこかというと、前歯の手前の上顎に付いているというのが、「舌の本来の位置」になります。

 ここに舌が位置することで、重たい頭を支えるのにも一役買っていますし、特に成長途中のお子さんに関しては、ここに舌があるかどうかで、上顎の発達や歯並びに大きく影響します。

 舌が上顎に付かずに、下に落ちている状態で成長をしていくと、鼻の下が伸びてしまい、いわゆる馬面になりやすいだけではなく、鼻の空気の通り道である鼻腔が狭くなる為、益々口呼吸になりやすいことが考えられます。

 それではなぜ、現代人はこんなに「口呼吸」が多いかと言うと、1つはパソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスが関係していると考えられます。

 目と舌は連動していることが多いのですが、パソコンやスマートフォンなどを使用していると、「眼球下転(がんきゅうかてん)」といって、目が下を向きやすくなります。

 日頃私達が本を読んだり、外の景色を見たりする場合と、パソコンやTV、スマートフォンなどの、自らが光を発するデジタルデバイスでは、「透過光(とうかこう)」と「反射光(はんしゃこう)」といって、光の種類が異なる為に起こるのですが、「透過光」を発するデジタルデバイスを使用する機会が多い現代では

目が下を向く→舌が落ちる→口呼吸になる

といったことが起こりやすいのですね。

 更には、スマートフォンやパソコンのモニターを見ようとして、頭が前に突き出た姿勢をとることによって、顎や首周りの筋肉の長さが変わり、更に舌が落ちやすくなります。

 しかし、「スマートフォンやパソコンなどを使うのをやめましょう!」ということは、現実的ではありませんので、日頃のケアによって舌の位置や口呼吸の改善を目指していきたいと思います。

理想的な呼吸と横隔膜

 そして、「鼻呼吸」と同様に忘れてはいけないのが、呼吸において最も重要な筋肉である「横隔膜(おうかくまく)」を使える様にすることです。

 焼肉屋さんで出てくる、いわゆる「ハラミ」が「横隔膜」なのですが、この呼吸において最も大切な筋肉が上手く使えなくなっている方が多くいます。

※肋骨の中に横隔膜が付着しています

 この「横隔膜」という筋肉が上手く使えないと、呼吸の効率が悪いだけではなく、代わりに首の筋肉などを使って呼吸を行う為、「肩こり」や「首こり」を起こしやすかったりします。

 更にこの横隔膜は、いわゆる「コア」と呼ばれる部分の安定性にも大きく関わっている為、横隔膜が上手く使えないと、呼吸に悪影響なだけではなく、コアの安定性も失われ、そこから腰への負担が増加をしたり、頭や首の位置がズレやすくなったり、更には横隔膜は食べ物の通り道である「食道」を締める役割も持っていますので、「逆流性食道炎」などに影響してくることも考えられます。

 それではなぜ、現代人が横隔膜が上手く使えなくなっているかというと、運動不足や心理的なストレス、偏った食事などによって、緊張状態が強くなり、緊張状態が強くなることで、背骨や肋骨の位置がズレてしまうからなんですね。

 その上、過剰な緊張によって肋骨の位置がズレて横隔膜が上手く使えないことで、誤った呼吸になると、誤った呼吸になっていることで、更に過剰な緊張状態を生み出し…..と負のサイクルに入ってしまいます。

理想的な呼吸を獲得する為のエクササイズ

 それでは、どうやって理想的な呼吸を獲得していくか?というと、以下のステップに沿って改善をしていきます。

  1. 過剰に緊張している背中やももの前の筋肉をリラックスさせる
  2. 肋骨の柔軟性や弾力性を獲得する
  3. 骨盤と背骨、肋骨の位置を整え、呼吸の要となる横隔膜などを働きやすくする
  4. ベロを上顎に付ける意識を持つ&マウステープなどで睡眠時の口呼吸を防ぐ
  5. 脳をリセットする呼吸トレーニングや有酸素運動を行う

 上記の段階を踏んで、エクササイズを行っていくことで、本来の呼吸へと改善していきます

 具体的なエクササイズについては、「実技編」にてご紹介をさせて頂きますので、お楽しみに♪

小林俊夫

Toshio Kobayashi

 

 

ABOUT ME
Toshio Kobayashi
Toshio Kobayashi
imok株式会社(アイモック)代表取締役/猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」代表。  トレーナーとして活動をしながら2008年、2009年にアメリカへピラティスの研修を受けに行き、マスタートレーナーの認定を取得。その後、2010年に医療系国家資格を取得。  現在はスタジオの経営、メディアの監修及び出演、全国での研修及び講演、ピラティスリフォーマーの製造及び販売をしながら、姿勢&機能改善、パフォーマンスアップ専門のトレーナーとして、世界中に「I am OK You are OKな人」を増やす為に活動中。