カラダのお悩み

香りがもたらす作用

こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。

近年では、「アロマセラピー」が一般的になり、香りによる効果が注目されてきていますね。
また、アロマオイルやディフューザーも手軽に手に入れることができるため、気軽に香りを楽しんでいる方が多いように感じます。

今日は、香りが、私たちの身体にもたらす作用についてみていきましょう。

嗅覚は脳に直接届く

私たち人間には、視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚といった、五感と呼ばれる感覚が備わっています。

五感

例えば、遠くから聞こえる外敵の声を聞き分けたり、食料として口にするものが安全かどうかを匂いや味で判断したり
五感は、私たちが生き抜くために必要なセンサーの役割を果たしています。

この五感の中でも、「嗅覚」は、その他の感覚とは異なり、脳にダイレクトに届くために、その影響が素早く伝わるという特徴を持ちます。

嗅覚以外の視覚、聴覚、触覚、味覚は、まず脳の視床と呼ばれる部分に届き、その後に大脳皮質に入ることで、見たものや聞こえた音などの感覚が認識されます。

脳

一方、嗅覚は2つのルートがあり、先程の視床を通って大脳皮質に伝わるルートの他に、大脳辺縁系と呼ばれる部分に直接届くルートがあるんです。

大脳辺縁系とは、脳の中心部に位置しており、記憶や学習、喜怒哀楽の感情などを管理している場所です。そして、大脳辺縁系のすぐ下にある視床下部や下垂体は自律神経や免疫、ホルモン分泌に大きく関わります。

そのため、匂いを感じると、無意識に感情が湧き出たり、ホルモンが分泌されたりというように、すぐさま身体の反応が起こります。

 

瑛人さんの「香水」からみる、「プルースト効果」

2020年大ヒットした楽曲「香水」、これはまさに嗅覚の特徴を表している歌詞でしたね。

♪「別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
  君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ」

同じ香水の香りを嗅ぐことで、忘れていたはずの昔の恋人を思い出す
そんな経験、みなさんもあるのではないでしょうか?

香水をつける女性

「ある特定の匂いにより、それに関係する記憶や感情が蘇る」現象のことをプルースト効果と呼びます。

先程お伝えしたように、匂いは、記憶に関わる海馬や感情を支配する偏桃体に直接伝わるため、「香り」を引き金にして、過去の情景やその時の感情が呼び起こされるんですね。

匂いを感じる仕組み

私たちが香りを嗅ぐと、匂い成分が、鼻の奥の上側にある嗅上皮に達します。
嗅上皮には、嗅覚細胞と呼ばれる細胞が約1,000万個存在しています。匂い成分が、嗅覚細胞から分泌された粘液にくっ付き、匂い成分を受け取る受容体に結合することで、匂いを嗅ぎ分けます。

嗅神経

香りに含まれる成分

植物から、香りの成分を抽出すると、幾つもの種類が存在しています。

例えば、真正ラベンダーと呼ばれるラベンダー品種には、下記のような成分が含まれています。
酢酸リナレル、リナロール、(Z)-β-オシメン、酢酸ラバンジュリル、テルピネン-4-オール、β-カリオフィレン・・・などです。

さらに、同じ真正ラベンダーでも、国が変わると、成分や成分の量に違いが出ることがあります。

これらの成分の違いにより、匂いが異なるんですね。

例えば、先程の真正ラベンダーに含まれるリナロールという成分は、穏やかでフローラルな印象といわれ、ラベンダーだけではなく、ゼラニウムやジャスミン、イランイランなど多くの植物に含まれています。
リナロール

香りの効用

良い香り、自分が好きだと思う香りを嗅ぐことで、癒しを感じたり、気分がすっきりしたことがあるといった方は多いと思います。

このように私たちをリラックスさせてくれる働きを持つ香りですが、さらに実用的な面もあると考えられてきています。

20世紀初頭、ルネ・モーリス・ガトフォッセという人物が、実験中の爆発事故で負った火傷をラベンダーオイルで治療し、精油に消毒作用や鎮痛作用があることを見出したのです。
そして、ラベンダーからのアロマ精油を配合した石鹸を製造し、第一次世界大戦時、兵士の衣服や包帯の洗浄に使われました。

「アロマテラピー」という言葉は、このガットフォッセによって作られたものです。

 

そして現代では、ラベンダー精油の主成分であるリナロールが、血圧を下げるという結果が得られた実験や、ラベンダーの香りは交感神経の活動を抑え、胃の副交感神経の活動を活発化させ食欲を増進させるといったラットでの実験も報告されています。

まだ、科学的データは十分とはいえませんが、「香り」には、私たちの身体へ様々な効果、効用をもたらすと考えられてきています。