機能解剖学&運動生理学

顎関節の機能解剖①~筋~

こんにちは。
imok株式会社で活動している、理学療法士の中北です。

今回は、顎関節の機能解剖についてお話いたします。

顎関節については、理学療法士養成の学校でも習うことがなく、日本では書籍もあまり多く出版されていないため、臨床では介入していないという方も多いかもしれませんが、顎関節は咀嚼や嚥下、発語だけではなく、頭部位置のコントロールや平衡機能にも関与しているため、姿勢や頚椎機能にも大きな影響を及ぼします。

顎関節の構造

まずは、顎関節全体の構造から確認していきましょう。
顎関節は、下顎骨関節突起上端の下顎頭と、側頭骨の下顎窩と関節結節によって構成されている複関節です。

※複関節とは、3個以上の骨が1つの関節を構成している関節のことです。典型的な例としては、「上腕骨」「橈骨」「尺骨」によって構成される肘関節が分かりやすいですね。

顎関節

関節を安定させるために、関節包・靱帯・筋に加えて関節円板があることも顎関節の特徴の一つです。

関節円板によって上関節腔と下関節腔に分けられ、上関節腔では側頭骨の関節隆起と関節円板との間で滑走運動が生じ、下関節腔では下顎頭と関節円板との間で回転運動が行われます。

靱帯では、主靱帯となる外側靱帯が顎関節の外側方向への安定性や、下顎頭の前後の動きの制限に関わり、副靱帯として蝶下靱帯・茎突下顎靱帯も顎関節の安定性に寄与しています。

咀嚼筋群

それでは、今回の主題である筋についても確認していきましょう。
顎関節機能に直接的に関与する筋は「閉口筋」と「開口筋」に分かれ、閉口筋には咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋があり、”咀嚼筋”なんて呼ばれたりもします。

①咬筋
咬筋は咀嚼筋の中で最も強大な筋で、主に下顎の挙上に作用し、下顎骨の挙上と前突に関わる浅部線維と、挙上と後突に関わる深部線維に分かれます。

咬筋

②側頭筋
側頭筋は下顎の挙上に作用し、咬筋に次ぐ強大な筋で、前部線維は下顎骨の挙上、後部線維は下顎骨の後突に関与しています。

側頭筋

③内側翼突筋
内側翼突筋は下顎の挙上や前突、反対側への側突に作用し、外側翼突筋の補助として働きます。

内側翼突筋

④外側翼突筋
外側翼突筋は、咀嚼筋の中では最も小さく、下顎の前突に作用し、関節円板にも付着しています。

外側翼突筋

開口筋

閉口筋と対をなす開口筋は舌骨筋群とも呼ばれ、嚥下時に舌骨と喉頭を挙上する役割の、「顎二腹筋・顎舌骨筋・茎突舌骨筋・顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋」などの舌骨上筋と、嚥下の終わりに舌骨と喉頭を下制させる、「胸骨舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋」などの舌骨下筋があります。

なお、開口筋の補助筋には「僧帽筋・斜角筋・胸鎖乳突筋・後頭下筋群」などがあり、顎関節症になって開口機能の低下が生じることで、これらの筋の過緊張にもつながるといわれています。

顎関節機能に関与している筋は、舌骨から下顎骨・側頭骨・甲状軟骨・胸骨・肩甲骨などに付着していることからも、姿勢と顎関節機能は深く関わっていることが分かりますね。

例えば、食べる時などのように、大きく口を開く時にはこれらの開口筋が働くため、開口筋の機能低下があると、頭部の前突や頚椎の伸展によって代償することがあり、代償動作の繰り返しは頚椎の痛みやフォワードヘッド姿勢にもつながる可能性があります。

口を3横指分開けるか?
を開口機能の一つとして評価しますが、この時に頭部の前突や、頚椎の伸展が生じていないかもチェックしましょう。

そして、今回お話してきた閉口筋(咀嚼筋)と開口筋(舌骨筋)に加え、頚部の筋肉がそれぞれ拮抗することで、咀嚼や嚥下、頭部の支持などに関わっていますので、「顎関節・頚椎・胸郭・肩甲帯」はセットで考えて介入していくと良いですね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

imok株式会社
中北貴之

ABOUT ME
中北貴之
中北貴之
理学療法士/健康経営アドバイザー/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして、パーソナルトレーニング指導や専門家向けのセミナー講師として幅広く活動中。