機能解剖学&運動生理学

脊柱の機能解剖1|脊柱の弯曲とは

こんにちは。

理学療法士の中北貴之です。

本日は脊柱の弯曲についてお話いたします。

脊柱の構成と特徴とは

まずは脊柱の構成を確認しましょう。

脊柱を頚椎、胸椎、腰椎に分類したイラストVISIBLE BODYで作成

 

脊柱は頚椎、胸椎、腰椎から構成されています。

そして、頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個の椎骨からなります。

同じ椎骨でも頚椎、胸椎、腰椎それぞれの形態には特徴があり、役割も異なります。

頚椎、胸椎、腰椎の違いのイラストVISIBLE BODYで作成

 

例えば、頚椎と腰椎の椎体の大きさを比べてみると、腰椎の方が大きい構造をしていて、重量も腰椎の方が重いです。その差はなんと、腰椎5個の合計重量が、頚椎7個の合計重量の約2倍にもなると言われています!

なぜそんなに違うかといえば、腰椎の方が下位にあるため、体重を支持する役割を担うからではないかと推察されます。

ちなみに、第1頚椎には椎体も存在していません。

頚椎についての詳細は↓をご覧ください。

https://imok-academy.com/cervical-spine-structure-breathing/

椎体による得意な動きの違いとは

続いて、それぞれの得意な動きも確認していきましょう。

どの方向に動くことが得意なのかは、関節面の形状が大きく影響します。

脊柱でいうと椎間関節の形状ということになりますので、順番に確認していきましょう。

下位頚椎(上位頚椎は特別な形態をしているため除く)は水平面に対して約45度の傾斜があり、下位になるほど傾斜が大きくなります。

下位頚椎の動きとしては、屈曲ー伸展が最も得意で、次いで側屈、回旋の順番となります。なお、回旋に関しては環軸関節(C1/C2)が頚椎全体の50%を担うとされています。

胸椎は前額面に対して平行に近くなるため、屈曲ー伸展よりも回旋や側屈の動きが得意です。ちなみに下位胸椎は腰椎の構造に近くなるため、屈曲ー伸展の動きが得意になります。

最後に腰椎ですが、矢状面に対して平行に近くなるため、屈曲ー伸展が得意な動きとなります。一方で、回旋の動きは不得意で、腰椎全体でも10度前後しか動かないと言われています。

脊柱の生理的弯曲とは

続いて、脊柱の生理的弯曲について確認していきましょう。

頚椎には前弯、胸椎には後弯、腰椎には前弯があり、これを脊柱の生理的弯曲と言い、それぞれのカーブの頂点は、頚椎では第4頚椎、胸椎では第7~8胸椎、腰椎では第3腰椎になります。

なぜこのような弯曲が存在するのかというと、負荷を分散するために必要であると言われています。

つまり、脊柱の生理的弯曲があることで、ヒトは重力に負けずに直立二足歩行が可能となったり、長く立っていたりすることが可能なわけですね。

加齢とともに脊柱を支持する組織は変性していきますので、ご高齢者になると生理的弯曲が失われていくのは至極自然な現象と言えますから、姿勢を維持したり長く歩いたりすることが大変になるのも当然といえます。

ところが、最近は若い方でも生理的弯曲が失われているケースが非常に多いと言われています。

特に多いパターンとして、骨盤が前方へ変位し、上半身は後方へ反らせ、頭はまた前に出てバランスをとっている姿勢です。

不良姿勢の女性の写真

このような姿勢になると、胸椎の後弯の頂点が本来の第7~8胸椎よりも上位に変位してしまうことが多いです。

すると、胸椎と関節を成す肋骨の位置も崩れ、肋骨の上に張り付くように存在する肩甲骨も崩れ、さらには上腕骨の位置も・・・というように連鎖的にどんどんアライメントが崩れていってしまいます。

なぜこのような姿勢の方が増えているのか?

様々な要因が考えられますが、スマホやゲーム機などの操作をする機会の増加が考えられるかと思います。街中で立ってスマホを操作している人々を見てみると、大半の方は骨盤に対して胸郭が後方に位置し、頭が前方に変位している光景がご覧いただけるかと思います(笑)

スマホ操作で不良姿勢の男性の写真

※写真は弊社トレーナーですが、わざと不良姿勢をつくっています!

スマホやゲーム機を使うことが悪いわけではありませんが、そこから抜け出せることや、リセットできることが大切ですね!

最後に、脊柱の生理的弯曲改善におすすめのエクササイズはこちら↓

https://imok-academy.com/hiplift/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

imok株式会社

中北貴之