神経系と感覚器のしくみ

体性感覚の伝導路とは

こんにちわ

imok株式会社の小林俊夫です

本日は、体性感覚が伝わる仕組みについてみていきたいと思いますが、その前に簡単な復習を!

感覚は、大きく特殊感覚と一般感覚に分類され、特殊感覚とは、視覚や嗅覚をはじめとする、いわゆる五感のことであり、一般感覚は、体性感覚と内臓感覚に分かれます

感覚について詳しく知りたい方はコチラ

https://imok-academy.com/sensory-organs/

体性感覚と伝わり方

 体性感覚は、皮膚などの表面にセンサーが埋まっていて感じる、触圧覚、温度覚、侵害受容刺激と筋肉や腱などの深部にセンサーが存在して感じる、位置覚、運動覚などをはじめとした深部感覚に分かれます

 上記の様に、全身に様々な感覚を感じ取るセンサーである感覚受容器が存在します。そして、こうした受容器が感知した情報は、知覚神経を介して、まずは脊髄へと送られます

 その後、脊髄へと送られた情報は、脊髄を上行して、間脳にある視床へと至り、最終的に大脳皮質の頭頂葉に存在する、体性感覚野へと伝わります

感覚は反対側の脳へ伝わる

感覚器から大脳皮質に至る過程で、じつは経路が左右に交叉をする為、右半身の感覚情報は左半球の大脳皮質へ、左半身の感覚情報は右半球の大脳皮質へと伝わります

 どこで交叉をしているかというと、これは感覚が伝わる経路によって部位が異なりますので、後で感覚が脳へと伝わる経路である伝導路の所で見ていきたいと思いますが、感覚が交叉をして伝わるということは、外傷や疾患などによって、脳が損傷をすると、傷害した側の脳とは反対側の身体に感覚異常などが現われます

 右の脳を損傷すると左半身に感覚異常が現われ、左の脳を損傷すると右半身に感覚異常が現れるということですね

 別の観点から考えてみると、手技療法やストレッチなど、私達トレーナーや治療家、医療従事者がお客様や患者さん、選手の身体に触れた時、右半身に触れると左半球へ情報が伝達され、左半身に触れると右半球へと情報が伝達をされるということになります

 ストレッチなどで筋肉や筋膜などに対してアプローチしている様に見えても、じつは脳へのアプローチにもなっているということですよね

体性感覚と伝導路とは

体性感覚の感覚器からの情報は、脊髄の後覚に入りますが、そこから「脊髄視床路」と「内側毛帯路」と呼ばれる2つの経路に分かれて、脳へと伝わります

脊髄視床路とは

脊髄視床路は、冷覚や温覚などの温度覚、粗大な触圧覚、侵害受容刺激などを伝える経路になります

ちなみに「粗大な触圧覚」とは、明確に何が当たっているのかは分からないけれど、何かが触れたり、当たっているのは分かるという感覚であり、体表の毛のある部分の受容器が感じとっています

それに対して、「詳細な触圧覚(無毛部の受容器)」というのは、触れているの部位や物の形状などが鮮明に分かる精密な触圧覚のことを指し、掌や唇などの毛が無い部分の受容器が感じ取っています

 話は戻りますが、脊髄視床路では、脊髄に送られた感覚情報は後角から入ると、二次ニューロンに乗り換えてスグに、左右に交叉をして上行します

下肢からの情報は、腰髄から入るとスグに左右に交叉し、上肢からの情報は頚髄から入るとスグに左右に交叉をして上行する様になっています

内側毛帯路とは

それに対して、詳細な触圧覚や位置覚、運動覚などの深部感覚を伝えるのが、内側毛帯路になります

 脊髄に入るとそのまま同側を上行し、脳幹の延髄にある薄束核と楔状束核、あわせて後索核と呼ばれる部位で二次ニューロンが交叉をし、脳へと上行しています

特殊感覚の伝達と脳神経

そして、視覚や味覚、嗅覚、聴覚、平衡覚などの特殊感覚は、何によって伝わるのか?というと、脳神経を介して大脳皮質へと伝わります

例えば、嗅覚は脳神経1番の嗅神経によって伝わり、視覚にあたる視細胞からの情報は、脳神経2番の視神経によって伝達されるといった感じですね

脳神経について詳しく知りたい方はコチラをご覧ください

https://imok-academy.com/main-functions-of-each-cranial-nerve/

 

 運動というと、「筋肉を鍛えるもの」というイメージになりがちですが、身体を動かすということは、様々な感覚情報が脳へと送られ、脳の活性化にも効果的なんです

 骨や関節、筋肉だけではなく、神経系についても学ぶことで、今までとは違った考え方や見方を通して、お客様に価値提供が出来そうですよね

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