こんにちわ
imok株式会社の小林俊夫です
本日は生命維持に重要な役割を持つ、脳幹について皆で学んでいきましょう
脳幹とは
脳幹は、大脳を支える幹という意味を持ち、上から順に中脳、橋、延髄と続き、その3つを合わせて脳幹と言い、脊髄を大脳や小脳と連絡する神経の通り道となっています
また、系統発生学的には、最も古い脳であり、呼吸や血液循環、嚥下、睡眠や覚醒レベル、自律神経系のコントロールといった、生命が生きる上で必要な活動を司る中枢です
中脳、橋、延髄といった形で、3つの部位に分かれていますが、基本的な構造は脊髄を含めて全て同じであり、被蓋と呼ばれます
被蓋の基本的な構成は以下の様になります
翼板:感覚神経の通り道であり、上行性と下行性の感覚神経が通る
基板:運動神経の通り道であり、上行性と下行性の運動神経が通る
蓋板:翼板や基板を包む
脳幹では上記の被蓋の外側に、様々な核と神経ネットワークが集まった網様体と呼ばれる領域が存在します
中脳
中脳は直径約2㎝と脳幹で最も短い部位であり、大脳皮質、小脳、脊髄との中継地点
動眼神経(Ⅲ)、滑車神経(Ⅳ)の神経核が存在し、三叉神経の一部も中脳に存在するだけでなく、聴覚、視覚、瞳孔反射に関わる中枢が存在します
中脳水道と呼ばれる細い管が存在し、脳脊髄液が前脳の脳室から第4脳室へ流れる唯一の経路
中脳水道より後方の部分を中脳被蓋と言い、赤核と黒質は中脳被蓋に存在する。中脳被蓋は上丘と下丘によって作られ、上丘は視覚、下丘は聴覚機能に関わります
橋
橋は延髄と中脳の間に位置し、小脳、大脳、脊髄との中継地点
小脳とは中小脳脚で繋がっていて、正中の浅い溝を脳底動脈が走ります
脳底動脈:脳の中心を走り、脳幹や小脳をはじめ、大脳皮質の側頭葉や後頭葉に血液を送る重要な動脈。左右の椎骨動脈が、橋や延髄の境界付近で合流。その後、橋の上部で左右の後大脳動脈に分岐する
橋には、三叉神経(Ⅴ)、外転神経(Ⅵ)、顔面神経(Ⅶ)、内耳神経(Ⅷ)が位置し、その他にも、咀嚼、眼球運動、表情、まばたき、唾液分泌、平衡感覚、聴覚に関わる中枢が存在します
延髄
延髄は橋と脊髄の間に位置し、下小脳脚により小脳と繋がっています
小脳と橋、延髄で囲まれた空間を第4脳室と呼び、その中は脳脊髄液で満たされている
延髄には、舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)、副神経(Ⅺ)、舌下神経(Ⅻ)の神経核が存在し、その他にも、平衡感覚、聴覚、嚥下、嘔吐、咳、唾液分泌、舌の運動、呼吸、循環に関わる中枢が存在します
副神経の延髄根は、迷走神経に合流して、一緒に迷走神経の支配域に分布をする為、副神経の延髄根という呼び方は誤りであり、迷走神経と呼ぶべきであるという意見が多い
また、その為、内臓-体性反射などにより、内臓に問題があると迷走神経を介して、副神経および副神経が支配する僧帽筋や胸鎖乳突筋などにも影響が出ることが考えられる
脳幹と12対の脳神経
脳幹の大きな特徴として、脊髄を通らずに脳と末梢を直接結ぶ、脳神経が存在します
脳神経は12対ありますが、そのうちのⅢ~Ⅻ番に該当する10対の脳神経が、頭蓋骨底面にある孔や裂激から出入りしています
脳幹の部位 | 脳神経 | 主な機能 |
中脳 | Ⅲ 動眼神経 | 眼球運動 |
中脳 | Ⅳ 滑車神経 | 眼球運動 |
橋 | Ⅴ 三叉神経 | 顔や口腔の知覚、咀嚼 |
橋 | Ⅵ 外転神経 | 眼球運動 |
橋 | Ⅶ 顔面神経 | 表情筋、唾液や涙の分泌 |
橋 | Ⅷ 内耳神経 (前庭神経+蝸牛神経) | 平衡、聴覚 |
延髄 | Ⅸ 舌咽神経 | 唾液、味覚、咽頭筋群 |
延髄 | Ⅹ 迷走神経 | 内臓機能、味覚 |
延髄 | Ⅺ 副神経 | 僧帽&胸鎖乳突筋 |
延髄 | Ⅻ 舌下神経 | 舌筋 |
ちなみに第Ⅰ脳神経にあたる嗅神経は、大脳半球の嗅球に入り、第Ⅱ脳神経にあたる視神経は、その大部分が間脳に入ります
12対の脳神経は、脊髄神経とは異なり、神経根に前根や後根といった区別がなく、求心性神経線維だけから構成される脳神経が、嗅神経、視神経、内耳神経の3対であり、遠心性神経線維だけから構成される脳神経が動眼神経、滑車神経、外転神経、副神経、舌下神経の5対になります
脳神経が脳幹のどの部位から出ていて、各脳神経がどの様な働きに関わるのか?を理解する事で、ベロの運動を通して延髄を活性化したり、眼の運動を通して中脳を活性化するなど、脳幹へのアプローチを行う事が出来る様になります
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