神経系と感覚器のしくみ

小脳の活性化エクササイズ

 こんにちわ

前回は、小脳の構造や機能について書かせて頂きました

小脳の機能を活性化することは、姿勢や筋緊張のコントロール、運動の制御などに関わりますので、今日はエクササイズを通して、どの様に小脳を活性化していくのか?を考えていきましょう

前回の内容を読まれていない方は、先ずはコチラをご覧ください

https://imok-academy.com/cerebellar-structure-and-division/

現代人のライフスタイルと小脳の機能低下

小脳は、全身の感覚器からの入力が多い事を書かせて頂きましたが、位置覚や運動覚、抵抗覚などの深部感覚をはじめ、触圧覚などの表在感覚や特殊感覚など、様々な情報が小脳に送られます

 しかし、デスクワークが中心の働き方で、移動も車や電車がほとんど。スマートフォンに表示されている1日の歩数は、平均して3000歩程度といった様な生活を送っていると、各感覚器からの情報量が著しく減少します

 更に、小脳は運動の学習に重要な役割を担っていて、運動のトライ&エラーの調整機能に関わりますが、日常の中で「起き上がる」、「歩く」、「座る」、「パソコンを打つ」、「スマホを使う」、「食べる」、「お風呂に入る」、「寝る」くらいしか行っていないと、そうした機能も使われず、現代人のライフスタイルは、小脳の機能が低下しやすいと考えられます

小脳の活性化と運動

小脳の機能が低下をすると、姿勢や筋緊張のコントロール、巧緻動作のコントロールや運動学習など、様々な影響が出ることが考えられます

 そして、小脳の基本的な症候としては「運動失調」や「筋緊張の低下」、「協調運動障害」、「企図振戦」などが上げられますが、トレーニングの現場では、「病気」まではいかないけれど、小脳が機能低下を起こしている現代人が多い様に感じます

 その為、姿勢の改善や運動能力の向上を考えると、小脳を活性化することが重要なポイントになりますが、どの様に活性化をするか?というと、先ずは運動を通して「入力」を増やすということが上げられます

 先述の様に、小脳は求心性の線維が多い事が分かっていますので、全身を動かすことで、各感覚器から多くの情報が小脳に入力され、活性化されることが考えられます

 また、運動学習に関わり、新たな運動を行う際に、トライ&エラーを繰り返す中で、より良い運動プログラムに調整をしていってくれますので、新たな動作やエクササイズ、スポーツなどに挑戦をすることも、小脳の活性化に効果的だと考えられますので、パーソナルトレーニングなどにおいては、いつも同じエクササイズを繰り返すだけではなく、ある程度、運動が自動化をされたら、新たな要素を加えたり、新たなエクササイズを取り入れたりすることがおススメです

エクササイズによる活性化

小脳は、機能的な分類で言うと、前庭小脳、脊髄小脳、大脳小脳の3つに分かれることを、前回の記事でお話させて頂きました

前庭小脳:名前の通り、前庭からの入力を受けますので、頭部の回転や傾き、水平法や垂直方向への加速が加わるエクササイズなどを行うことで、活性化されると考えられます

具体的には、寝返り動作であるローリングやエッグロール、トライポッドツイストなどに始まり、フォワードランジ(水平方向への加速)やスクワット(垂直方向への加速)などがおススメです

高齢者の方で、転倒などが心配な場合、ピラティスリフォーマーなどを活用して加速を掛けると安全です

脊髄小脳:肩関節や股関節などの近位関節をメインに、回転運動や回旋運動などを行う事で、筋や関節からの情報が脊髄小脳へと伝わり、活性化すると考えられますので、アームサークルズやレッグサークルズ、シンボックスなどのエクササイズがおススメですね

大脳小脳:四肢末端の巧緻動作のコントロール、動作学習などに関わりますので、手首や足首を使う様なリストサークル、アンクルサークルなどに始まり、手の巧緻動作が必要なエクササイズであったり、新たな動作、エクササイズなどを取り入れていくことで活性化出来ると考えられます

 遊びも兼ねて、バランスビームの上を歩いたり、ウォーミングアップに卓球のラケットとボールを使って、ポンポンと上に打ち上げながらスクワットをして貰ったり、ピラティスリフォーマーでジャンプをしながら指鼻運動をしたりしますが、皆様、楽しみながら行ってくださいますので、個人的には遊びを取り入れた様なエクササイズがおススメです