健康経営について

労働生産性の評価方法

こんにちは。

imok株式会社で活動している、健康経営アドバイザーの中北です。

近年、社会保障費が増加の一途を辿る中で、企業には健康経営が求められています。従業員の健康を守ることは、社会全体の利益となるだけでなく、企業にとっても利益となります。

ところが、2016年の経済産業省による健康経営に関する調査では、中小企業経営者の43.1%は「何をしたらよいか不明」と回答しており、まだまだ健康経営が認知されていないことが窺えます。

健康経営を普及するためには、従業員の健康増進が企業の利益にどの程度つながっているのか、という企業側へのメリットを提示する必要があり、そのためには投資対効果を客観的に評価できる定量データが必要です。

そこで本日は、労働生産性の指標となる「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーイズム」を評価する方法をご紹介いたします。

アブセンティーイズムとプレゼンティーイズム

アブセンティーイズムとは、体調不良によって会社を休むことを言います。

そして、プレゼンティーイズムとは、出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態のことを言います。

アブセンティーイズム(病気休業)による生産性低下は想像に難くありませんが、実際にはプレゼンティーイズムによって生じる労働生産性の低下の方が、アブセンティーイズムよりも経済的損失が大きいとされています。

プレゼンティーイズムに関しては、健康リスクの上昇に伴って増加する傾向があることが分かっており、健康リスクが低い段階からの介入が大切になります。

アブセンティーイズムの評価方法

それでは、アブセンティーイズムの評価方法からご紹介いたします。

アブセンティーイズムに関しては、病欠や病気休業の状態を評価しますが、企業によって取り扱いが異なるため、3つの評価方法の中で企業ごとに実施しやすい方法で行うことが推奨されています。

アブセンティーイズムの評価方法

①従業員へのアンケート

「昨年1年間に、自分の病気で何日仕事を休みましたか」という質問ををする。

有給休暇を含む休暇取得において、病気によって休んだ日数を把握することができる。

②欠勤・休職日数の把握

有給休暇取得後の欠勤や休職は、病気が主な理由であることから代替指標として利用できる。

③疾病休業者数・日数の把握

休業開始日、休業終了日、疾病名の提出を義務付けることで、把握することができる。

※経済産業省 企業の「健康経営」ガイドブックを参考に作成

以上の3項目によってアブセンティーイズムを評価することが出来ます。ただし、有給休暇の理由を正確に把握できていないと、病気による欠勤や休職日数が過少評価になるため、②と③の方法では注意が必要です。

プレゼンティーイズムの評価方法

続いては、プレゼンティーイズムの評価方法です。

プレゼンティーイズムの評価方法

①WHO-HPQ
WHO(世界保健機関)で世界的に使用されている「健康と労働パフォーマンスに関する質問紙」を用いた評価方法。

https://www.hcp.med.harvard.edu/hpq/info.php

②東大1項目版
東京大学政策ビジョン研究センターが作成したもの。

「病気やケガが無いときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事を評価してください」という質問に対し、1~100%で答える。

③WFun
健康問題による労働機能障害の程度を予測するための調査票。

7つの質問に答え、合計得点(7~35点)で点数化し、点数が高いほど労働機能障害の程度が大きいことを示唆する。
http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/kosyueis/wfun/entry4.html

④QQmethod
何らかの健康問題の症状がある場合、4つの質問に答え、「仕事のパフォーマンス低下の程度」や「仕事のパフォーマンス低下分の損失額」を計算することが出来る。

※経済産業省 企業の「健康経営」ガイドブックを参考に作成

これらの評価方法をもとに、定期的に労働生産性が改善されているのかをチェックすることで、適切に健康経営に取り組めているのかを判断することが出来ます。

健康経営への取り組みは、会社の利益を上げるだけでなく、健康寿命の延伸に寄与して社会貢献につながりますね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

imok株式会社

中北貴之