こんにちは。
健康経営アドバイザーの中北です。
新型コロナウイルスの流行を機に、免疫力アップの方法について興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は「免疫力を高める食事術」についてお話いたします。
免疫の基礎知識
具体的な食事の話に入る前に、免疫機能について簡単に確認しておきましょう。
免疫とは”自己”と”非自己”の分別のことで、仮に病原生物が体内に侵入してきても、病気にならないように備わっている防衛機能です。
そして、免疫は3段階に分かれて私たちの身体を守ってくれています。
第1段階は皮膚と粘膜で、体内に病原体が入らないように”バリア”として機能しています。
中でも、皮膚は人体最大のバリアとも言われ、①物理的、②微生物的、③化学的な機能によって、体内への病原体の侵入を防いでいます。
物理的なバリアとは、汗をかいたり、皮膚のターンオーバーによって角質細胞が脱落したりすることで、病原体が繁殖しないようにすることです。
そして、微生物的バリアとは、皮膚に存在する常在細菌(表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、コリネ型細菌など)のバランスが保たれていることで、特定の菌が繁殖しにくいようになっているバリアです。
最後の化学的なバリアとは、皮脂に含まれる脂肪酸や乳酸による抗菌作用のことです。
このようにして、我々の身体は皮膚という最初の防衛ラインによって、病原体の侵入を防いでいます。
そして、皮膚と同様に「口・鼻・気管・胃・腸」などの粘膜も病原体の侵入を防いでおり、中でも気管や腸管の粘膜には免疫細胞が多く存在しており、腸管には全身の約60%もの免疫細胞や免疫グロブリンが集まっていると言われています。
つまり、体内に侵入してきた病原体を退治する機能も大事なのですが、そもそも病原体を侵入させないことも大切なので、防衛の最前線である皮膚や粘膜の状態を健康に保つことが免疫力向上には重要ですね。
腸は人体最大の免疫器官
前述のとおり、粘膜はとても重要な免疫器官なのですが、特に腸管は人体最大の免疫器官と言われているように、免疫力向上のためには、腸管の粘膜バリアが適切に機能していることが大切です。
通常、隣接する腸の細胞同士が密着して結合していることで、バリア機能が保たれています。
ところが、過度なストレスや薬物の使用、食生活の乱れによって腸の細胞同士の結合が緩み、細胞間に隙間が出来てしまうと、ウイルスや細菌が体内に侵入して免疫機能を障害してしまいますので、食習慣を良くすることは免疫力を高める重要ポイントですね!
ということで、腸管バリア機能の維持に必要となる、栄養素や食材についてみていきましょう。
ビタミンA
【おススメの食材】
かぼちゃ、人参、ほうれん草、レバー、うなぎ、卵など
ビタミンAは、粘膜の強化に必須の栄養素で、外から侵入したウイルスが、粘膜に付着する前に撃ち落とすたんぱく質の原料でもある為、免疫力を高めるのに重要です。
脂溶性ビタミンなので、油と一緒に調理すると身体へ吸収されやすくなります。
脂に溶ける性質を持つ為、体内に蓄積されるという特徴がある為、摂り過ぎると過剰症になることもあります。
ただし、ビタミンAは動物性食材に含まれる「レチノール」と、植物性食材に含まれる「β-カロテン」があり、摂り過ぎて問題になるのは前者の「レチノール」だけです。
そのため、レバーや鰻などの動物性の食品の食べ過ぎに気を付ければ、心配はしなくてよいと考えられます。
亜鉛
【おススメの食材】
牡蠣(約3個ほどで必要量)、ヘンプシード(麻の実)、ナッツ、卵、レバー、赤身肉、大豆、大豆製品など
亜鉛は、ビタミンAとセットで働いて粘膜の強化に関わります。
白血球にも多く含まれているミネラルである為、白血球の機能を維持する為にも重要ですね。
なお、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がUPします!
特に、日頃からストレスを多く抱えている人は、ストレスに抵抗するホルモンの産生に亜鉛が使われる為、不足しやすい傾向にありますので、亜鉛は現代人に必須のミネラルといえますね。
食物繊維
【おススメの食材】
・水溶性食物繊維:オクラ、ワカメ、アボカド、玉ねぎ、昆布、なめこなど
・不溶性食物繊維:エリンギ、えのき、大豆、枝豆など
腸内環境が悪いと、どれだけ良い食材を食べたとしても、体内に上手く吸収することが出来ないことに加え、悪玉菌の増加に繋がる可能性もある為、食物繊維を摂って善玉菌を増やす事が大切です。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、便秘の時などに便の”カサ”を増やす不溶性食物繊維を摂りすぎてしまうと、かえって便秘を悪化させてしまうことがありますので、便秘の際は便の通りを良くする水溶性食物繊維を摂る事がおススメです。
免疫細胞を活性化させる栄養素と食材
ここまでは、腸管の粘膜強化に必要な栄養素や食材についてお話してきましたが、同時に体内に侵入してきた病原体と戦ってくれる免疫細胞(免疫の第2段階・第3段階の部分)を活性化させる食材も大切ですので、そちらも確認していきましょう!
ビタミンC
【おススメの食材】
赤パプリカ、ピーマン、ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワーなど
風邪をひいたらビタミンC!
というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実際に、ビタミンCは免疫に重要な役割を持つ白血球やリンパ球に多く含まれており、免疫機の強化に貢献しています。
赤パプリカの方が、ピーマンよりも100gあたりのビタミンCが豊富ですが、パプリカは加熱すると栄養価が損なわれやすい為、赤パプリカはサラダなどに生で使い、ピーマンは「肉詰め」など、加熱調理におススメです。
ビタミンD
【おススメの食材】
鮭、青魚(イワシ、アジ、サンマなど)、舞茸、きくらげなどのキノコ類、卵など
ビタミンDは、体内に侵入した細菌やウィルスと戦う「白血球」と結合をすることで、免疫機能を活性化します。
なお、食品からだけではなく、日光浴をすることで皮膚でも生成される為、昼間のお散歩なども重要です。ビタミンDを太陽光で生成する為には、ガラス越しでは効果が得られない為、外に出て太陽に当たりましょう。
マグネシウム
【おススメの食材】
大豆、大豆製品(豆腐、納豆)、海藻(ワカメ、あおさ)、ナッツ(くるみ、カシューナッツなど)、ピュアココア、にがりなど
マグネシウムは、前述のビタミンDを活性化させて体内で利用をするために必要なミネラルです。
そのため、マグネシウムが不足してビタミンDが働かなければ、白血球も活動が低下して免疫力の低下を招きます
加工食品をよく食べる人やストレス過多な人、アルコールやカフェインをよく摂る人に不足しやすいので、積極的に摂っていきましょう。
日常では、調味料のお塩を「ぬちまーす」など、マグネシウムを多く含む塩に替えたり、お味噌汁を食べる時に、にがりを数滴加えたりすることもオススメです。
本日は、免疫力を高めるための栄養素と食材についてお話いたしました。
良い食習慣によって、健康な身体を維持していきましょう♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。