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不眠や食いしばり | 原因は低血糖かも

眠れない女性のイラスト

こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。

今回は、低血糖についてお伝えしていきます。

低血糖とは

低血糖とは、血糖値が低い状態のことです。

血糖値とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)の量のことです。
グルコースは、生体に最も必要なエネルギー源であり、食事をすると血糖値が上昇します。そしてインスリンが分泌されることで肝臓や筋肉など全身の細胞に取り込まれ、血糖値は下がります。

血糖値は、70~130mg/dlの範囲が適切とされています(検査機関によっては多少の変動あり)。食後30~60分後には最大値となり、血糖値は日内変動があるため、夕方4時頃には最低値になります。そのため、おやつの時間があるんですね。

血糖値は、夕方に最も低くなる

この血糖値が70mg/dlを下回ると、低血糖と言われます。
実際には、もう少し高くても低血糖症状のある方も多いです。

血糖値を維持するもの

血糖値の維持に必要なのは、食事と糖新生能力です。

血糖値は下記の順番で保たれます。

  1. 食事からのグルコース
  2. 肝臓に蓄えられているグルコース
  3. 糖新生

日中は食事からのグルコースで血糖値が維持されていますが、このグルコースは食後2~3時間で無くなります。そのため、食間を空け過ぎずに、1日3食の食事が重要になります。

血糖値維持には1日3食が大切

そして、食事からのグルコースが枯渇すると、膵臓からグルカゴンというホルモンが分泌され、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解しグルコースがつくられます。肝臓には、約200gのグリコーゲンが貯蔵されており10~18時間で枯渇します。

さらに肝臓のグリコーゲンが無くなると、糖新生でグルコースをつくりエネルギーを生み出す必要があります。
糖新生とは、アミノ酸や脂肪などの糖以外のものから糖をつくることです。

低血糖によって起こる症状

興奮、イライラ、キレる、不安、頭痛、過食、不眠
寝付きが悪い、食いしばり、悪夢を見る、起床時の疲労感、慢性的な肩こり

血糖は生命維持に重要であるため、低血糖を引き起こすと、血糖値を上げるためにアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。
すると、上記のような、興奮したりイライラしたりといった症状が現れます。

さらに、夜間は食事からのグルコース供給がありません。
そのため夜間に低血糖症状が起きる場合が多く、不眠障害を訴えます。赤ん坊の夜泣きも血糖値が下がっている状態と言えます。

 

夜間に血糖値が維持されるのは、ホルモンのおかげです。

血糖値の低下は生命維持に関わるため、血糖値を上げるホルモンはたくさんあるのですが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。

血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ
血糖値を上げる 血糖値を下げる

グルカゴン
アドレナリン
ノルアドレナリン
コルチゾール
成長ホルモン
甲状腺ホルモン
ソマトスタチン
アルドステロン

インスリン

血糖値を上げるホルモンの中で、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールは、副腎から分泌されます。

コルチゾールは、糖新生を行う上で必要不可欠なホルモンです。
オキザロ酢酸がホスホエノールピルビン酸に変化する際に必要な、ピルビン酸カルボキシラーゼがコルチゾールによって発現されるためです。

つまり、コルチゾールの分泌が低下している副腎疲労の場合、糖新生が行えずに低血糖に陥りやすいということです。
副腎疲労については、コチラをご覧ください。

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朝起きられない | 副腎疲労とは?こんにちは。 imok株式会社の千野ひとみです。 突然ですが、こんな症状ありませんか? 一見、怠けているだけに見え...

夜間は食事から糖を摂取することができないため、低血糖に陥りやすいです。
すると、アドレナリンを分泌して血糖値を上げようとするため、眠りが浅かったり、夜中に目が覚めてしまったりします。

さらに、成長ホルモンとコルチゾールがお互いにバランスを取って分泌されることで血糖値が維持されています。
成長ホルモンはノンレム睡眠時に放出されますが、眠りが浅い場合には成長ホルモンが出ません。

低血糖の原因

低血糖の根本原因は、副腎疲労や内臓脂肪による炎症、インスリン抵抗性と考えられます。

副腎疲労によりコルチゾール分泌が低下していると、糖新生が行われず、血糖値が上がりません。
そして、脂肪細胞(特に内臓脂肪)は炎症を引き起こし、インスリンの効きを悪くさせます。インスリンの効きが悪いと、血糖値がすぐに下がらず血糖値の調整がうまくいきません。

血糖値を安定させるには、適切な食事、適切にホルモンが分泌されることが大切です。

ですが、ストレスが長期間に渡ったり、糖質の多い食事を続けたり、日中にアドレナリンを過剰に分泌されるような状態だった場合、低血糖(特に夜間)に陥りやすくなります。

低血糖と副腎疲労は、どちらも原因にも結果にもなり得ます。
副腎疲労があると糖新生がうまくいかず、副腎疲労治すためにはストレスと炎症をとらないとならないため、どちらの症状も一緒に改善する必要があります。

低血糖改善策

欠食しない

欠食をすると、血糖値維持のためにコルチゾールやアドレナリンが消耗されてしまいます。
副腎疲労の場合は、ただでさえコルチゾールが分泌されないにも関わらず、需要が多くなり、副腎はさらに疲弊していきます。
そして、アドレナリンが分泌されるため、精神症状も出てきます。
「朝は食欲がない」という方もいるかと思います。ですが、これも低血糖症状です。アドレナリンが分泌されると空腹感を感じなくなります。

こまめに捕食を摂る

血糖値を維持するために、こまめに捕食を摂りましょう。
捕食で食べるものには、当然ですが糖質が含まれていることがポイントです。
その際には、血糖値を急上昇させてしまうお菓子やチョコレートなどではなく、小さなおにぎりや甘栗、干し芋など、良質なでんぷんがおすすめです。

アルコールやカフェインを控える

アルコールを代謝する時に肝細胞で増加するNADHは、糖新生を抑制してしまいます。
カフェインは副腎を直接刺激し、コルチゾールを分泌させます。ですが、カフェインの摂取が無くなった時に強い疲労感に襲われます。
副腎疲労のある方はコーヒーを飲むことで元気になっている場合が多いので、コーヒーの代わりに紅茶にしたり、徐々に減らしていくことが大切です。

ココナッツオイルやMCTオイルを使うのも良いですね。
これらのオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、消化酵素や胆汁酸がなくても吸収されるため、身体に負担をかけずにエネルギーとして利用することができます。

 

このように、普段悩んでいる症状の原因が、実は低血糖症状かもしれません。
血糖値は、高過ぎも低すぎも良くなく、一定の水準を維持することが大切です。