栄養&消化&免疫

肥満が、身体に及ぼすリスク

こんにちは。
分子栄養学認定カウンセラーの千野ひとみです。

今日は、肥満が身体に及ぼすリスクについてお伝えしていきます。

「太る」=脂肪細胞がパンパンな状態

「太る」とは、体重が増えたり、お腹周りが大きくなったり、腕や脚が太くなったりすることを指しますね。
この太った状態は、体内の「脂肪細胞がパンパンに膨らんでいる」んです。

私たちが太るメカニズムをみていきましょう。

食事から摂取した過剰な糖質やタンパク質、脂質は、脂肪細胞に「中性脂肪」として蓄えられます。
脂肪を取り込んで蓄えているのは「白色脂肪細胞」と呼ばれる、白くて丸い細胞です。

この白色脂肪細胞は、細胞の中に「脂肪滴」という油の塊りがあり、脂肪を取り込むと、この脂肪滴がどんどん膨らんでいきます。
白色脂肪細胞は、通常は直径0.08mm程の大きさですが、脂肪を取り込んで脂肪滴が膨らむと、細胞全体が限界まで膨らみ、直径は1.3倍、体積は2.2倍程に膨らみます。

この普通の体型の人で、250億~300億個程あるといわれているので、これらの細胞がパンパンになったら・・・身体もパンパンです。

この白色脂肪細胞は全身にありますが、特に、下腹部やお尻、太もも、二の腕、背中、内臓周りに多いため、これらの箇所は太りやすいんですね。

さらに、今ある脂肪細胞に脂肪を取り込めなくなると、今度は新しい脂肪細胞をつくって、またさらに脂肪を溜め込んでいきます。
太っている人の白色脂肪細胞は、800億個にもなるといわれています。

 

脂肪細胞から分泌される「メッセージ物質」

脂肪細胞は、「メディエーター」と呼ばれるメッセージ物質を分泌し、身体に様々な指令を出していることがわかってきています。

脂肪組織から分泌される物質を総称して「アディポサイトカイン」といいます。
アディポサイトカインには種類があり、痩せている時と太っている時とで、「どんな種類のアディポサイトカインが多く分泌されるか」が変わります。

・肥満の人の脂肪組織では、「炎症を引き起こす」アディポサイトカインが増える
・通常の人の脂肪組織では、「炎症を抑える」アディポサイトカインが増える

炎症を引き起こすアディポサイトカインは、TNF-αやインターロイキン-6など、
炎症を抑えるアディポサイトカインは、アディポネクチンです。

TNF-αはインスリンの効きを悪くして糖尿病の原因を生み出し、インターロイキン-6は免疫異常を引き起こすなど、脂肪細胞から分泌されるメッセージ物質により病気のリスクが上がります。

太ると、病気のリスクが高くなる

肥満は、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった病気のリスクを高くします。

・糖尿病

先に説明したように、大きくなった脂肪組織から分泌されるTNF-αなどのアディポサイトカインは、ブドウ糖を細胞に取り込むのを抑制してしまうため、インスリンの効きが悪くなり、糖尿病の原因となります。

・脂質異常症

脂質異常症とは、LDLコレステロールや血中の中性脂肪が必要以上に増えるたり、HDLコレステロールが減った状態のことです。

食べ過ぎが続き脂肪細胞に脂肪が過剰に蓄積されると、「遊離脂肪酸」として血液中に放出されてしまいます。
それが、エネルギーとして利用できれば良いのですが、活用されない分は、肝臓で中性脂肪やコレステロールなどに変換されて、また血管に戻ってきます。血液中に余分な脂質が多くなると、「血液がドロドロの状態」になり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高くなります。

 

このように、肥満であることは様々な病気のリスクを抱えていることになりますので、肥満を解消することは、今後病気になるリスクを大きく下げます。