こんにちは。
imok株式会社で活動している理学療法士の中北です。
本日は椎間板ヘルニアについてお話いたします。
椎間板ヘルニアとは「椎間板が本来いる位置から突出したり、飛び出したりしている状態」のことです。
椎間板が飛び出すことで、神経が圧迫されてしびれや痛み、筋力低下が生じます。
椎間板には血管が無い
椎間板ヘルニアの予防および再発予防のためには、椎間板の特徴を理解することが大切になりますので、まずは椎間板についてご説明いたします。
椎間板は背骨の間にある組織で、体重支持や衝撃緩和のクッションの役割をしています。
背骨は頚椎(首)から腰椎(腰)までで合計24個あり、それぞれの骨の間に椎間板があります。
※頚椎の1番目と2番目の間には椎間板はありません。
そのため、頚椎(首)の椎間板が飛び出すと「頚椎椎間板ヘルニア」、腰椎(腰)の椎間板が飛び出すと「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
椎間板は別名「人体最大の無血管組織」とも呼ばれています。
はい、血管が無いのです。
正確には外側の部分には血管がありますが、血管がほぼ無い組織なのです。
血管があることで、酸素や栄養素が運ばれ、細胞は生きていけます。
ところが、何度も言いますが椎間板には血管が無いのです。
それでは、どうやって酸素や栄養を受け取っているのでしょうか?
答えは、動くことです!
どういうことかと言うと、椎間板に圧力負荷が加わると水分が流出します。反対に椎間板から圧力負荷が減少すると水分が流入します。
例えるなら、水の中にスポンジを入れるとスポンジは水を吸い、スポンジをギュッと握ると水が出ていきますよね。
椎間板も同様に、水分の流入と流出を繰り返して栄養素を取り込んでいます。そのため、同じ姿勢で2時間も3時間もいると、椎間板の代謝が滞ります。
椎間板は20歳頃から衰えはじめる
もう一つ覚えておきたい椎間板の特徴が、「加齢とともに変性する」ということです。
椎間板は20歳頃から変性が始まると言われています。
早いですね!人生100年時代にもかかわらず(笑)
若年者の椎間板は85%以上の水分を含んでいるのですが、20歳頃から徐々に水分量が減少していきます。
前述の通り、椎間板は骨と骨の間で体重を支えるなどクッションの役割を担っています。水分量が減るということは、クッションの厚みが減るということですので、体重支持や衝撃緩和の機能も低下するということです。
椎間板は加齢とともに自然と衰えていく組織であり、さらに長時間同じ姿勢を続ける生活習慣が長くなると、余計に衰えを速めてしまいます。
そのため、適度な運動習慣や、仕事中も30分に一度は姿勢を変えるなどの工夫が大切です。
例えば、デスクワークの方は30分に一度は立ち上がるなどがおススメです。
ちなみに、日本人は世界一座っている時間が長い国民とも言われています。
椎間板への負荷
ここまでは椎間板の特徴についてお話してきました。
ここからは、日常生活動作における椎間板への負荷についてご説明いたします。
基本的には、重い物を持ったり、ジャンプなどをしたりすると椎間板に負荷が掛かります。そのような動作をする際に、背骨が丸まっていると、椎間板は強く後方へ押し出されます。
椎間板ヘルニアは1回の負荷で発症するのではなく、繰り返し負荷が加わることで発症します。そのため、重い物を持つときなどに毎回背骨が丸まっていると、椎間板ヘルニアになるリスクが高まりますので要注意です。
なお、腹筋運動も椎間板には負荷が掛かります。「腰痛予防や改善のためには腹筋を鍛えましょう!」とよく耳にしますが、腹筋のやり方や頑張り過ぎにも注意が必要です。
腹筋に限らず、何事も適度なレベルで行うことが大切ですね!
そして、姿勢によっても椎間板への負荷は変化します。
仰向けが最も負荷が少なく、次いで立位、座位の順番です。意外かもしれませんが、座位よりも立位の方が椎間板への負担は少ないです。
立位を基準の100%とすると、仰向けでは25%、イス座位では140%の負荷が椎間板にかかります。
さて、本日は椎間板ヘルニアについてお話してきました。
椎間板ヘルニアは繰り返しのストレスで発症するので、普段からの身体の使い方はとても大切ですね。そして、椎間板は自然と衰えていく組織ですので、適度な運動習慣で大切にしていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
imok株式会社
中北貴之