こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。
今日は、解糖系に引き続き、TCA回路と電子伝達系について見ていきます。
このTCA回路や電子伝達系、私が最初に勉強した時は「よくわからないな~」と思いながら、とりあえず覚えたといった感じでした。
ですが、分子栄養学を勉強するにつれて、私たちの身体にものすごく重要な代謝であり、生命活動に直結していると理解できました。
ATP、つまりエネルギーを生み出すための代謝であるため、人間が活動的に生きていくためには最重要な回路の1つです。
栄養面と一緒に見ていきましょう。
TCA回路とは
TCA回路とは、ミトコンドリア内で行われる、9段階の代謝経路です。
クエン酸回路(クエン酸から始まるため)や、クレブス回路(ドイツの科学者、ハンス・クレブスにより発見されたため)とも呼ばれます。
解糖系や脂肪酸のβ酸化によってできたピルビン酸が、ピルビン酸脱水素酵素によってアセチルCoAに変換され、TCA回路に組み込まれます。
解糖系については、コチラをお読みください。
TCA回路の役割
TCA回路では、2個のATPが産生されます。
ですが、TCA回路の役割としてはATP産生よりも、電子伝達系で使うNADHやFADH₂を生じさせることの方が大切と言えます。
「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」
・ナイアシン(ニコチン酸)の特殊な形態であり、水素を運ぶ
・酸化型と還元型があり、酸化型(NAD⁺)は水素(電子)を奪う役割を持ち、還元型(NADH)は水素(電子)を積んでおり放出しやい状態である
「フラビンアデニンジヌクレオチド」
・ビタミンB₂から誘導され、水素(電子)を運ぶ
・酸化型と還元型があり、酸化型(FAD)は水素(電子)を奪う役割を持ち、還元型(FADH₂)は水素(電子)を積んでおり放出しやすい状態である
TCA回路に必要な栄養素は、何といってもビタミンB群です。
ビタミンB₁、ビタミンB₂、ナイアシン(ビタミンB₃)、パントテン酸(ビタミンB₅)そして、マグネシウムと鉄、グルタチオンも不可欠です。
電子伝達系
ついに、エネルギー産生の最終段階、電子伝達系です。
電子伝達系もTCA回路と同様にミトコンドリア内で起こる4ステップの代謝で、34個ものATPを産生します。
ここで作られたATPを使って、私たちは身体を動かしたり、食べ物を食べたりするわけで、電子伝達系が動いていなければ、生命活動に必要なエネルギーが得られません。
そして、この電子伝達系に必要なのが、先程のTCA回路で生じたNADHとFADH₂です。
ここから電子を取り出し、4つのステップを経て、ミトコンドリアの膜間腔に電子が溜まると、ミトコンドリアのマトリックス側に一気に流れ出し、その勢いでATPが産生されます。
電子伝達系には、コエンザイムQ10と鉄が必要です。
ステップ3とステップ4を繋ぐ時に必要なシトクロームCは、鉄を抱えています。
このため、貧血や鉄が欠乏している場合には電子伝達系が動かずに、ATPをつくることができず、エネルギーを生み出せません。
ミトコンドリア機能の重要性
TCA回路と電子伝達系はミトコンドリアで行われます。
この2つの代謝が上手く回ることでATPを生み出し、私たちの生命活動のエネルギーとなります。
つまり、ミトコンドリアを動かすことが何よりも大切なのです。
そのためには、ビタミンB群やマグネシウム、鉄、コエンザイムQ10などの栄養素が必要不可欠です。
これらが不足していると、ミトコンドリアが正しく働かず、疲れがとれない、身体がだるい、やる気が出ないなどといった疲労症状を引き起こします。
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