機能解剖学&運動生理学

細胞の電位の変化と情報の伝達|チャネルとポンプ

こんにちわ

本日は細胞と物質の移動の基本について説明していきます

少し細かな話になりますが、先にこちらを押さえておくと、神経伝達のしくみを根本から理解することが出来ますので、一緒に見ていきましょう

細胞内と細胞外

まず私達の身体を構成する細胞というものを考えていくと、細胞にはタンパク質とリン脂質二重層により構成された「細胞膜」と呼ばれる膜があり、その細胞膜から内側を細胞内、細胞膜から外側を細胞外と言います

細胞膜は、膜を通過する物質を選択する為、「選択的透過性」があると言われ、酸素や二酸化炭素などは、細胞膜の脂質部分に溶け込むことで、細胞膜を通ることが出来ます

 そして、この細胞内の液体が細胞内液であり、細胞内液にはK⁺(カリウムイオン)が多く、マイナス荷電の状態になっています

それに対して、細胞外液には、Na⁺(ナトリウムイオン)やCa⁺(カルシウムイオン)、Cl⁻(塩化物イオン)が多く、プラス荷電の状態になっています

 これはよく、海中から進化した生物の名残と言われていて、細胞の外側に海と同じ様にNa⁺などが多い状態になっているんですね

細胞のイラスト

 また、さきほど細胞膜の選択的透過性の話をしましたが、こうしたナトリウムイオンや塩素イオンの様な電荷した物質は、細胞膜に溶け込めない為、「チャネル」を通る必要があります

 チャネルとは何か?というと、小さいイオンを通す孔のことをチャネルタンパクと言い、細胞膜にはカリウムイオンチャネル(K⁺)、ナトリウムイオンチャネル(Na⁺)、カルシウムイオンチャネル(Ca⁺)、クロライドイオンチャネル(Cl⁺)が存在しているんですね

この孔を通って、カリウムイオンやナトリウムイオンなどの物質の移動が起こっています

近年、オメガ3系の油など、食事から摂る脂の重要性を耳にする事も多いと思いますが、細胞膜は脂質によって出来ている為、日頃からどの様な油をとるかは、私達の身体を構成する、細胞膜にも大きな影響を与えます

チャネルとポンプ

こうした細胞内外における物質の輸送には、「受動輸送」と「能動輸送」の2つがあります 

 受動輸送は、拡散、促進拡散、浸透、濾過などの種類があり、ATPのエネルギーを必要としない輸送機構のこと

 このあとお話する「脱分極」を例に考えると、Na⁺が濃度の高い細胞外から、濃度の低い細胞内にナトリウムイオンチャネルを通って移動をすることで、活動電位が発生し、情報を伝達していますが、これはイオンの勾配濃度に従って、高い方から低い方にイオンが移動をする受動輸送になりますので、特にエネルギーは必要としません

 それに対して、濃度勾配に逆らって移動をさせることを能動輸送といい、こちらは濃度勾配に逆らって輸送を行う為、ATPのエネルギーを必要とする輸送機構であり、ポンプ、エンドサイトーシス、エクソサイトーシスなどの種類があります

 例えば、通常は細胞内にはカリウムイオンが多く存在しますが、更に細胞内にカリウムイオンを取り入れる為には、低濃度の場所から高濃度の場所にカリウムイオンを移動させる為に、ATPというエネルギーを使ってポンプによりくみ上げる訳ですね

 そして、ATPはミトコンドリアによって創られる為、ミトコンドリアの働きが重要になりますが、それについてはまた後日お話出来ればと思いますが、ミトコンドリアを増やす為には、玉ねぎに含まれるケラセチンという成分が効果的ということが分かっていますので、とりあえず牛丼を食べる時は、ネギダクを注文してみてください

ニューロンの情報伝達と電位の変化

神経系を構成するニューロンですが、ニューロンはどの様に情報を伝えているのか?というと、電位が変化をすること電気信号が発生し、情報を伝達しています

ニューロンが興奮していない時は、先述の様に細胞膜の内側はカリウムイオンが多くマイナス荷電、外側がナトリウムイオンなどが多く、プラス荷電の状態になっています

ニューロンの電位変化のイラスト

何らかの刺激により、細胞膜内のマイナス荷電が一定のラインを超えて強くなると、カリウムチャネルが閉まり、ナトリウムチャネルが開いて、細胞外から細胞内にNa⁺が流れ込むことで、細胞内はマイナスからプラスに変化します

これを「脱分極」といい、ニューロンの活動電位は、この脱分極によって起こるんですね。こうしたプラスとマイナスの変化が、あらゆる情報を伝達している電気信号になり、軸索を通して、次のニューロンに伝えていきます

その後、再分極といって、K⁺チャンネルが多く開き、細胞内はもとのマイナスの状態に戻ります

 今日は生理学も交えたミクロなお話になりましたが、ただ暗記をするのではなく、基本から理解をしていくことが大切になりますよね