こんにちは。
imok株式会社で活動している、健康経営アドバイザーの中北です。
本日は、経済産業省が推進している「健康経営」についてお話いたします。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
従業員等の健康増進や労働衛生等への取り組みにかかる支出を、経営的な投資として行うことで、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。
健康経営が求められる背景
2007年、日本は人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が21%を超え、超高齢社会へと突入しました。そして、その後も高齢化率は上昇を続け、2016年の高齢化率は27.3%にまで上昇しています。
今後の高齢者人口は、ほぼ横ばいになると予測されていますが、少子化の影響で高齢化率は上昇を続ける見込みです。
そこで問題となるのが、「社会保障費の増加による財政の圧迫」「生産年齢人口の減少による労働力の低下」「介護離職による更なる労働力の低下」です。
経済産業省はこれらの問題に対処すべく、「国民の健康寿命延伸」に関する取り組みの一つとして、健康経営の推進を行っています。
※健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと
具体的には、2014年からの「健康経営銘柄の選定」の開始や、2016年からの「健康経営優良法人認定制度」の創設など、各種顕彰制度を設けています。
しかし、下図に示す通り、「平均寿命と健康寿命」にはまだ大きな開きがあります。
これらの背景から、企業も従業員の健康管理に積極的に取り組むことが求められる時代となりました。
健康経営のメリット
健康経営が普及することで社会が豊かになることはもちろんですが、「生産性の向上」「社会的評価の向上」「企業ブランドの確立」など、企業側にも多くのメリットがあります。
健康と労働生産性という観点では、体調不良に伴う労働生産性の損失額を調べた研究があります。これによると、健康リスクレベルの低い従業員の損失額は年間平均59万円であるのに対し、健康リスクレベルの高い従業員の損失額は年間平均172万円にも上り、約3倍もの損失コストが発生していることになります。
体調不良によって会社を休むことを「アブセンティーイズム」、出勤はしているものの体調が優れずに生産性が低下している状態のことを「プレゼンティーイズム」と言います。
プレゼンティーイズムの原因としては、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛、頭痛、花粉症などのアレルギー症、生活習慣病などが挙げられます。例えば、花粉症で目のかゆみや鼻づまりの症状があると、仕事に集中できずに効率が低下し、結果として生産性が低下して企業の損失につながります。
このような、プレゼンティーイズムやアブセンティーイズムは大きな損失となるため、従業員の健康管理は企業にとっては、非常に大切な投資であると言えます。
また、健康経営度調査の評価結果上位20%の企業の株価時価総額は、TOPIX(東証株価指数)を上回る水準で推移しているという、厚生労働省の報告もあります。
次に、社会的評価の向上という観点では、各種顕彰制度が設けられるなど、健康経営を支える仕組みが整い始めています。
「健康経営銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が共同で行っている大企業向けの認定制度で、投資家にとって魅力ある企業として紹介されます。
「健康経営優良法人認定制度」は、大企業だけではなく中小企業も対象とした顕彰制度で、従業員、求職者、関係企業、金融機関等に対して、企業のイメージを向上させる効果が期待できます。
健康優良法人に認定されると、金融機関からの融資優遇や、自治体からの奨励金や補助金など、様々なインセンティブを得られます。
このように、健康経営に取り組むことは生産性の向上や社会的評価の向上につながります。経済産業省が推進していることからも、今後ますます注目を集めていきそうですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
imok株式会社
中北貴之