機能解剖学&運動生理学

足関節・足部の機能解剖5|背屈制限を改善するアプローチとは

こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。

本日は「足関節の背屈制限と改善アプローチ」についてお話いたします。

日常生活や運動に必要な背屈可動域

足関節においては背屈制限が問題となる事が多くあります。例えば、日常生活や運動においては以下の背屈角度が必要です。

・歩行:約10度

・走行:約30度

・フルスクワット(しゃがむ動作):約42度

これらの動作時に背屈制限があると足部を外反させて代償しやすくなるため、安定性が低下することはもちろんですが、繰り返されることで扁平足や変形性足関節症につながることも考えられます。

それでは、背屈制限が生じる原因を機能解剖学的な観点から探ってみましょう。

距骨の動きと背屈制限

足関節(距腿関節)は脛骨・腓骨・距骨によって構成されており、脛骨と腓骨が造るトンネルに距骨が嵌まり込むような動きをしています。

距骨は後方に比べて前方が約5mm広い構造をしていて、足関節背屈時には脛骨と腓骨が構成するトンネル内に、距骨前方の広い部分が嵌まり込むような状態になります。距骨の広い部分がしっかりとトンネル内に嵌まり込んで骨の安定性が増加するため、足関節背屈位は”締まりの位置”となるわけですね。

反対に、底屈時には脛骨と腓骨のトンネルには距骨の狭い部分が嵌まり込んでいるような状態になります。距骨の狭い部分がトンネル内に嵌まり込んだ状態では骨の安定性が低下するため、足関節底屈位は”ゆるみの位置”となるわけですね。足関節の捻挫のほとんどは底屈位での受傷となりますが、このような骨による安定性の違いも一因となっています。

さて、本題に戻ります。足関節を背屈する時、脛骨と腓骨のトンネル内に距骨が上手く嵌まり込むような動きが阻害されてしまうと、背屈が制限されてしまいます。

距骨の動きの阻害因子

それでは、距骨の動きを阻害する因子にはどのようなものがあるのでしょうか?

下腿三頭筋が制限因子として挙げられることが多くありますが、下腿三頭筋以外にも後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋も距骨の後内側を走行しており、距骨の後方への移動を阻害するために制限因子となりやすい筋です。

後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋の解剖イラスト後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋 VISIBLE BODYで作成

 

また、アキレス腱下脂肪体や距骨前方の脂肪体などが硬くなって滑走性が低下することも、距骨の動きを阻害します。

これらの組織が距骨の動きを制限して足関節背屈制限になることが考えられますので、改善アプローチをご紹介いたします。

足関節背屈制限の改善アプローチ

今回はセルフで行える後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋・アキレス腱下脂肪体の滑走性を改善するアプローチをご紹介いたします。

①椅子座位で、右脚を上にして足を組みます。

②左手で右足のつま先を持ち、右手は右アキレス腱の遠位外側部分を押さえます。

③足関節底屈位、足趾屈曲位にした状態で、左手を使って右足部の内転-外転の動きを大きく繰り返しましょう。右手は常にアキレス外側を押さえておきます。

アキレス腱のセルフリリースの足部内転時の写真アキレス腱のセルフリリースの足部外転時の写真

④20~30回繰り返したら、反対も同様に行ってください。

※痛みがある場合は無理に動かさないでください。

 

今回は、軟部組織の滑走性低下に伴う足関節背屈制限に関する改善アプローチをご紹介いたしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※参考文献
坂井健雄監訳:グラント解剖学図譜第6版.医学書院.2011.
入谷誠:入谷式足底板.運動と医学の出版社.2011.
片寄正樹:足部・足関節理学療法マネジメント.メジカルビュー社.2018.
足関節・足部疾患の機能解剖学的病態把握と理学療法.理学療法31(2).2014.