こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。
本日は筋による股関節の安定化作用についてお話します。
内閉鎖筋と腸腰筋の協調作用とは
股関節周囲には多くの筋がありますね。
大殿筋、大腰筋、大腿方形筋、などなど・・・
まぁ、たくさんありますね!
いつも通り詳細は教科書に委ねます。
まずは、内閉鎖筋と腸腰筋による股関節安定化作用についてお話していきます。
内閉鎖筋
・閉鎖膜の内面から転子窩に付着
・深層外旋六筋の一つ
・坐骨が滑車の役割になっている
腸腰筋
・大腰筋・小腰筋・腸骨筋から構成される
・胸椎・腰椎・腸骨窩から小転子に付着
内閉鎖筋は、坐骨を後方から回り込むようにして転子窩に付着する特徴的な筋の走行をしています。
そのため、坐骨が滑車の役割をしています。
滑車作用を使えるということは、他の深層外旋六筋に比べて高い筋出力が求められている可能性もありそうですね。例えば、膝蓋骨があることで大腿四頭筋の筋出力の効率を良くしているような関係です。
上から見るとこんな感じです↓
他の深層外旋六筋にはみられない特徴ですね。
深層外旋六筋
梨状筋、上双子筋、下双子筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、大腿方形筋のこと。
さて、内閉鎖筋は後方から大腿骨頭を寛骨臼に押し付けるように作用します。
そして、腸腰筋は前方から大腿骨頭を寛骨臼に押し付けるように作用します。
このように、内閉鎖筋と腸腰筋が協調して前後から大腿骨頭を寛骨臼に押し付けることで、股関節の安定性は高まります。
Lumber-Pelvic-Hip Complex Stabilityとは
皆さん、「Lumber-Pelvic-Hip Complex Stability」というのをご存知でしょうか?
かっこつけて英語で言ってみましたが、日本語でいうと「腰椎-骨盤-股関節の複合安定性」という感じでしょうか?
つまり、腰椎と骨盤と股関節はそれぞれ協調して働いてますよ~、ということです。
具体的には、腹横筋、多裂筋、腸腰筋、内閉鎖筋、骨盤底筋群の協調性が、関節の安定への関与が大きいとされています。
どれか一つでも機能不全を起こすと、他の筋にも影響がでるということですね。
多裂筋-腹横筋-腸腰筋の関係は想像しやすいかと思いますが、内閉鎖筋と骨盤底筋群の関係について補足しておくと、内閉鎖筋の筋膜は骨盤底筋群の一つである腸骨尾骨筋と連結しています。
その為、どれか1つの筋肉単体を強化したとしても、股関節の動きが改善される訳ではなく、全体のバランスや協調性を考えてアプローチをしていくことがポイントです!
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https://pilates-as-conditioning.com/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※参考文献
福林徹:骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎.ナップ.2013.
股関節および周辺疾患の機能解剖学的病態把握と理学療法.理学療法31(9).2014.
スポーツ股関節痛ー診断と治療ー.Monthly Book Orthopaedics31(6).2018.
山嵜勉:整形外科理学療法の理論と技術.メジカルビュー社.1997.
小関博久:外来整形外科のための退行性疾患の理学療法.医歯薬出版.2010.
坂井健雄監訳:グラント解剖学図譜第6版.医学書院.2011.