こんにちは。
分子栄養学認定カウンセラーの千野ひとみです。
今日は、ストレスについてのお話です。
ストレスの原因となるものはその人によって様々ですが、
人前でのプレゼン、嫌な上司や同僚との仕事、騒音や異臭、暑さや寒さといった環境的なものなど、実に多くのものが考えられます。
私たちは、ストレスを感じた時、それに対抗するためのシステムを生まれながらにして持っているんです。
ストレス時の反応
私たちがストレスを感じると、「イライラする」「緊張する」「心臓がバクバクする」といったことが起こります。
さらには、思考力や判断力が鈍り、平常時では考えられない行動をしてしまうこともあるかもしれません。
これらは、私たちの身体に備わっている「ストレスに対抗する」反応であり、心拍数の増加や血圧上昇を伴い、身体を守ります。
少し現実味がないかもしれませんが、獣や敵に襲われた時には、全力で逃げ、もしくは戦い、自分の身を守るために、上記のような反応が起こります。
現代では、「ストレス」というと、「心理的ストレス」を指すことが多いですが、脳が脅威と感じるものは全てストレスであり、体内では同じ反応が起こります。
ストレス対抗ホルモン
さらに詳しく見ていくと、ストレスを感じた時に、副腎という臓器から、アドレナリンやコルチゾールといったホルモンが分泌されます。
アドレナリンは、交感神経を刺激することで、心身共にいつでもストレスと戦える準備をします。
コルチゾールは、ストレスと戦うために必要となるエネルギーを蓄えるものです。体内に蓄えられているグリコーゲンを分解して血糖値を上げたり、免疫力を高めるといった作用があります。
このコルチゾールは、炎症を抑えるという働きももち、ステロイド系炎症薬として治療にも広く使われています。
私たちは、炎症を抑えるためのホルモンを自ら分泌することで、ストレスに対処できるようになっています。
コルチゾールが適切な時に、適切な量が分泌されることは何も問題がありませんが、ストレスが慢性化し、コルチゾールが長期間に渡って分泌されるようなことがあると、身体には様々な症状があらわれてしまうんです。
コルチゾール分泌メカニズム | HPA軸
コルチゾールは、脳からの指令によって、副腎という臓器から放出されます。
脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が出て、下垂体がその命令を受けてACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を分泌します。
それを受けた副腎がコルチゾールを出し、コルチゾールが出過ぎないように視床下部と下垂体に「もう出さなくて良いよ」とフィードバックを出すことで、CRHとACTHがバランスを保ちます。
これをHPA軸(hypothalamic-pituitary-adrenal Axis)と言います。
ストレスが慢性化することで、この視床下部、下垂体、副腎の連携が上手く取れなくなることをHPA軸機能障害と言います。
コルチゾールが出過ぎたり、出にくくなったりして、分泌異常が起こるんですね。
一般の方にわかりやすく、副腎疲労といわれることもあります。
うつ病の人は、CRHもACTHも放出されて、その結果コルチゾールも沢山分泌されてしまいます。
コルチゾールが大量に出たら、普通は、フィードバックにより、視床下部と下垂体にこれ以上刺激ホルモンを出さないように抑制しますが、うつ病ではそこがうまく機能しません。その結果、ACTHとコルチゾールが出続けてしまいます。
HPA軸の機能異常の原因
HPA軸の機能異常が起こる原因は、コルチゾールの過剰分泌です。
コルチゾールが必要な状態が慢性化してしまうことで、分泌が続き、結果としてHPA軸が機能異常を引き起こします。
コルチゾールは、ストレスに対抗する作用をもち、体内の炎症を抑制させたり、血糖値を上昇させるなどの働きをもちます。
そのため、続くストレス、慢性炎症、血糖値の乱高下が、コルチゾールの過剰分泌を招きます。
HPA軸の機能回復
HPA軸の機能を回復させるためには、下記を取り除く必要があります。
- 続くストレス
- 睡眠トラブル
- 慢性炎症
- 血糖値の乱高下
これらは、コルチゾール分泌を増加させ、HPA軸の機能障害を引き起こす原因となります。
対処方法はまた別の記事でご紹介しますが、忙しく働く現代人や肥満の方は、コルチゾールの過剰分泌が起こっている可能性が高いですので、取り除ける方法を考えていきましょう。