機能解剖学&運動生理学

膝関節の機能解剖5|可動域制限となる組織

こんにちは。
理学療法士の中北です。

今回は『膝関節の可動域制限となる組織』についてお話いたします。

ご存じのように、膝関節は脛骨と大腿骨により構成される「脛骨大腿関節」と、膝蓋骨と大腿骨から成る「膝蓋大腿関節」に分かれており、それぞれの関節が適切に動くことで膝関節全体の動きが生じます。

膝関節には多くの軟部組織が関与していますが、特に介入対象となりやすい部位をいくつかピックアップしてご紹介いたします!

膝蓋下脂肪体

膝蓋下脂肪体のイラスト運動器超音波機能解剖より引用

まずは膝蓋下脂肪体。

膝蓋下脂肪体は膝蓋靭帯の裏にある脂肪組織で、膝関節の運動に伴って形態を柔軟に変化させ、膝関節内の内圧調整に関与しています。

なお、痛覚受容器である自由神経終末が豊富に存在しているので、炎症や硬化によって変性すると痛みの原因になりますし、可動域制限の主因子にもなる組織です。

リリース時のポイントとなるのが、膝伸展位で行うこと。

膝蓋靭帯の裏にある膝蓋下脂肪体は、膝関節屈曲に伴う膝蓋靭帯の圧迫を避けるように深部へ移動するため、膝関節伸展位で行った方がリリースをしやすくなります。

前述のとおり、自由神経終末が豊富に存在しているので、痛みに注意しながら介入していきましょう。

膝蓋上包とprefemoral fat pad

膝蓋上包のイラスト運動器超音波機能解剖より引用

続いての膝蓋上包は、膝関節から近位約7~8cmまで広がる滑液包で、いわゆる「膝に水が溜まった」という時に、関節水腫が貯留する部分ですね。

膝蓋上包の表層には大腿四頭筋が、深層には「prefemoral fat pad」と呼ばれる脂肪体が存在しているため、膝蓋上包とprefemoral fat padは合わせて治療対象となることが多い部分です。

どちらの組織も大腿四頭筋の筋収縮に伴い滑動するので、一般的によく行われているQuadriceps Setting(通称:クアドセッティング)は可動域改善に効果的な介入の一つです。

その際、大腿四頭筋の収縮が強いと、筋に圧迫されて両組織が十分に滑動できないため、軽度な収縮で反復すると効果的です。

腸脛靭帯

腸脛靭帯のイラスト運動器超音波機能解剖より引用

腸脛靭帯は大腿部外側を走行しており、様々な組織によって構成されて股関節や膝関節の安定性に関与しています。

臨床解剖研究会によると、腸脛靭帯の解剖は以下のように報告されています。

腸脛靭帯の解剖

【腸脛靭帯近位部】
 ・浅層
  大臀筋表層線維の腱膜

 ・深層
  中臀筋表層筋束や筋膜、大腿筋膜張筋の表層と深層

【腸脛靭帯遠位部】
 ・浅層
  主に大腿筋膜張筋と臀筋表層線部由来の線維が、膝蓋骨の表層と側方に付着

 ・中間層
  大腿筋膜張筋と大臀筋中層部由来の線維が、Gerdy結節前方に付着

 ・深層
  臀筋群の深層部由来の線維と外側大腿筋間中隔線維が、Gerdy結節後方に付着

なお、外側大腿筋間中隔は外側広筋と大腿二頭筋を隔てており、腸脛靭帯が大腿骨に付着するために移行している組織です。

腸脛靭帯そのものは強靭な組織なので、腸脛靭帯に付着している臀筋群や大腿筋膜張筋、大腿外側筋群の柔軟性や滑走性改善が介入方法となりますね。

本日は、膝関節の可動域制限となる組織として、膝蓋下脂肪体・膝蓋上包・腸脛靭帯をピックアップしてお話いたしました。

そもそも、これらの組織が硬くなる原因として、膝関節周囲での炎症はもちろんですが、膝関節に負担を掛けている根本原因が、足部からの上行性運動連鎖や、体幹や股関節からの下行性運動連鎖だったりするので、それらの機能改善も同時に考えていくことが大切ですね。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。