こんにちわ
imok株式会社の小林俊夫です
本日は、運動の制御において重要な役割を担う「小脳」について、皆で学んでいきましょう
小脳の位置と特徴
まず小脳はどこにあるかというと、脳幹の後ろになります
脳幹にあたる、中脳、橋、延髄とは、「小脳脚(しょうのうきゃく)」によって繋がり、中脳と連結しているのが「上小脳脚(じょうしょうのうきゃく)」、橋と連結しているのが「中小脳脚(ちゅうしょうのうきゃく)」、延髄と連結しているのが「下小脳脚(かしょうのうきゃく)」になります
そして、この小脳の容積は脳全体の10%程度ですが、ニューロンの数は神経系の50%以上と言われ、その為、エネルギー消費が大きいのも特徴です
更には、求心性の線維が多い事が分かっており、様々な情報が集まる場所でもあります
小脳の構造
小脳の構造を見ていくと、左右に張り出す様に膨らんだ「小脳半球」と中央の帯状で細長くなっている部分を「小脳虫部」といい、小脳半球の内側部で、小脳虫部に隣接する領域を「傍虫部(ぼうちゅうぶ)」と呼びます
そして、小脳の表面には、ほとんど平行に走る多数の溝=「小脳溝(しょうのうこう)」があり、それらの間にある細長くて狭い高まり=「小脳回(しょうのうかい)」、更には深い溝である「裂(れつ)」が存在します
こうした裂などによって部位が分けられ、第一列より前方を前葉と言い、小脳の下面にある片葉と小節を合わせて、「片葉小節葉(へんようしょうせつよう)」、それ以外を「後葉(こうよう)」と呼びます
発生学による分類
小脳を系統発生学的に考えると、古い順から原小脳、古小脳、新小脳と分類できます
原小脳は、部位でいうと片葉小節葉にあたり、内耳にある耳石器や三半規管などの平衡を司る前庭器からの入力を受ける為、前庭小脳と呼ばれます。頭部と眼球運動の調節やバランスの制御などに関わります
次に古い小脳虫部と傍虫部は、古小脳と呼び、脊髄や肩関節や股関節をはじめとした近位部の筋、腱、関節からの入力を受ける為、脊髄小脳とも呼ばれ、四肢や体幹の筋緊張を調整し、姿勢の制御などにも関わります
そして、最も新しい部位が小脳半球であり、大脳皮質の運動野からの入力を受け、身体の細かな制御や四肢末端のコントロール、更には大脳が司る認知などにも関わることから大脳小脳と呼ばれます
簡単にまとめると以下の様な形になります
形態的分類 | 系統発生的分類 | 機能的分類 |
片葉小節葉 | 原小脳 | 前庭小脳 |
小脳虫部、傍虫部 | 古小脳 | 脊髄小脳 |
小脳半球 | 新小脳 | 大脳小脳 |
小脳の入力&出力と機能
小脳は全身の体性感覚受容器から、もの凄い量の情報を受け取りますが、その情報の大部分は、筋肉や関節、皮膚の機械受容器から、脊髄小脳路、楔状束小脳路、三叉神経小脳路を介して、主に小脳虫部と前葉の傍虫部に投射されています
背側脊髄小脳路:下肢の筋の筋紡錘やゴルジ腱器官からの弁別固有感覚や皮膚の小さな受容域からの外受容感覚の情報を伝える
吻側脊髄小脳路:上肢の固有感覚と外受容感覚を伝える
三叉神経小脳路:顎関節、咀嚼筋、外眼筋などからの情報を伝える
また、主な機能として、平衡の制御、姿勢と筋緊張の制御、随意運動における協調が上げられますが、部位によって主な働きが異なります
前庭小脳:三半規管や耳石器から頭部の位置や傾き、回転、加速などの情報を前庭神経を介して、下小脳脚を通り、片葉小節葉にて受け取ります。また、眼球や頭部の運動、体幹の抗重力筋の制御に関わります
脊髄小脳:名前の通り脊髄との強い繋がりがあり、位置覚や運動覚をはじめとした、全身の深部感覚や触圧覚などを脊髄を介して受け取り、主に運動の実行中に姿勢の維持や四肢の運動の協調を支えています。また下半身の深部感覚は脊髄側索を通り、上半身の情報は脊髄の後索路を通ります
大脳小脳:大脳皮質の連合野から主な入力を受け、主な出力は運動野に送られます。熟練を要する一連の運動を学習して、記憶する事。言い換えると運動のプログラム化に主に関与しています。また最近では思考などにも関わり、大脳と同じ様な働きをする事も分かってきています
小脳半球外側部と歯状核の活動は、運動の実行を最終的に指令をする大脳の運動野の活動よりも前に起こっていたり、小脳は発信された運動プログラムと、実際に起こった運動により得られた感覚フィードバックとの差を感じ取って一次運動野にフィードバックし、次回の運動プログラムを修正するなど、運動や姿勢、筋緊張のコントロールに深く関わっています
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