こんにちは。
分子栄養学認定カウンセラーの千野ひとみです。
今日は、お酒を飲んだ時の睡眠状態、アルコールと低血糖についてのお話です。
お酒を飲むと、眠りが浅くなる
「お酒を飲むと眠れる」という話も聞きますが、実際に寝てみると、夜中に目が覚めてしまったり、眠りが浅かったり、翌日にも疲れが残っている、といった感じで、実際はよく眠れていないような気がしませんか?
アルコールを飲んだ時、どうして睡眠が浅くなるのか、私たちの体内ではどんな反応が起きているのかを見ていきましょう。
眠りが浅くなる理由
まず、飲酒後でなくても、「眠りが浅くなる理由」について考えていきましょう。
心理的や環境的な問題も考えられるため、ひとつに絞ることは難しいですが、栄養学的な観点から考えていくと「低血糖状態」であることが考えられます。
私たちは、血糖値(血中のグリコーゲン量)を一定の範囲で保つことが重要ですが、夜間は血糖値の維持が難しくなります。
なぜならば、もし血糖値が下がった場合、日中ならばお腹が空く等の症状が現れて、食品を食べることで糖を補給することができるのですが、夜間はそうはいきません。
食事によって、外から糖を摂り入れることができませんので、体内に貯蔵してある糖を分解して、血中に送りこむ必要があります。
この、体内の糖を分解して糖をつくり出すことを「糖新生」といいいます。
アルコールは、この糖新生の反応を抑制してしまうため、眠りが浅くなると考えられます。
https://imok-academy.com/hypoglycemia/
アルコールは糖新生を抑制する
アルコール代謝
アルコールが分解される時に、肝臓細胞内で、NADHという物質が増加しますが、このNADHが増えることで、糖新生が抑制されてしまうんです。
まず、アルコール分解についてみていきましょう。
アルコール⇒アセトアルデヒド⇒酢酸⇒水、二酸化炭素の順で分解されていき、最終的に尿として排泄されます。
https://imok-academy.com/alcohol-metabolism/
この経路の途中でNADHという物質がうまれます。
NADHの増加が糖新生を抑制する
先程の、アルコール分解過程でうまれるNADHが、糖新生とは逆の反応で使われるため、糖新生を抑制させてしまうんです。
糖新生とは、解糖系を逆行して、糖をつくりだす経路です。
糖新生では、リンゴ酸からオキザロ酢酸、さらに乳酸からピルビン酸への換が必要になりますが、この真逆の反応でNADHが必要とされるため、アルコールの摂取量が増えてNADHが増えてしまうと、糖新生が抑制されてしまいます。
つまり、寝ている最中に糖が不足し、血糖値が低下してしまうことが考えられます。
お酒を飲んだ後、「締めのラーメン」が食べたくなることありますよね。
これは、実は低血糖状態だからなんです。
アルコールを摂取することにより、血糖値が下がる、さらにアルコールの利尿作用によって脱水状態が起きているため、糖質、水分、塩分が摂れるラーメンを欲するんですね!
このように、アルコールは、睡眠の質を悪化させる原因の一つになります。
もし、睡眠の悩みを抱えている方は、まずはアルコール摂取を減らしてみることをおすすめします。
お酒は、適度に楽しみつつ、飲みすぎには気を付けていきましょう。