神経系と感覚器のしくみ

姿勢反射とは|前庭脊髄反射、前庭頸反射、前庭動眼反射

 こんにちわ

imok株式会社の小林俊夫です

 前回は「反射」について書かせて頂き、代表的な「伸張反射」や「屈曲反射」を学んでいきましたが、本日は姿勢の制御に関わる反射について、代表的なものをご案内させて頂きますね

https://imok-academy.com/movement-and-reflex%ef%bd%9cstretch-reflex-flex-reflex/

姿勢制御と反射

姿勢を良くする為に、「腹筋や背筋を鍛えましょう」という言葉を耳にする事もあるかと思いますが、基本的に姿勢というのは、反射によって制御をされていますので、特定の筋肉を鍛え、筋肥大をしたり、筋力が向上したからといって、良くなる訳ではありません

日常の中で、階段を上り下りしたり、ベッドから起き上がったり、椅子に座るなど、様々な動作を行いますが、バランスを失って転倒をしたりすることは少ないですし、意識をして、特定の筋肉に力を入れ、耐えている訳でもありませんよね

なぜかというと、姿勢反射と呼ばれる反射運動によって、無意識に姿勢が制御されているからです

ちなみに、前回お話させて頂いた伸張反射や屈曲反射は、脊髄が反射の中枢になりますが、姿勢反射の多くは、脳幹が主な中枢になります

https://imok-academy.com/location-and-function-of-the-brainstem/

姿勢反射とは

姿勢反射とは何か?というと、以下になります

姿勢反射とは

姿勢反射は体位反射とも言われ、身体中に存在するセンサーである感覚器に加えられた刺激に対応して、反射的に筋が適切に緊張及び収縮することで、身体の位置や姿勢、平衡を維持するもの

そして、姿勢反射には、様々な反射があり、代表的なものとして前庭に関わる「前庭脊髄反射」や「前庭頸反射」、「前庭動眼反射」などが上げられます

また、前庭脊髄路や網様体脊髄路、視蓋脊髄路など、脳幹から脊髄への運動性下行路は、姿勢反射や立位姿勢、運動動作などの基盤となっています

前庭脊髄反射とは

前庭脊髄反射とは何か?というと、街中で段差につまずいたりした時に、地面に足をダンッと力強く付き、倒れない様にこらえた経験はないでしょうか?

これが前庭脊髄反射によるものです

前庭脊髄反射

頭部の位置や加速度の変化に対して、頸部や体幹の筋緊張を制御して、安定した姿勢を維持するのに働く反射のこと

 

段差につまずいて、転びそうになったことで、頭頚部の位置が一瞬で変化し、三半規管や耳石器に強い刺激が加わります。耳石器からの情報は、外側前庭脊髄路で前庭神経核の外側核を中継して脊髄を下行し、同側の四肢や体幹の伸展筋群を緊張させます

それによって、転倒しない様に自然と踏ん張る訳ですね

前庭頸反射とは

それに対して、前庭頸反射とは以下になります

前庭頸反射

頭頚部や上半身の位置が地面に対して大きく傾いた際に、三半規管がそうした頭部の傾きを感知し、その情報が内側前庭脊髄路で前庭神経核の内側核を中継して、頸部筋群の運動ニューロンに送られ、頭部が地面に対して垂直になる様に維持される反射のこと

前庭脊髄反射も、前庭頸反射も前庭神経核にて中継されますが、前庭脊髄反射は外側核にて中継され、前庭頸反射とこの後お話させて頂く、前庭動眼反射は内側核にて中継されます

前庭動眼反射とは

歩きスマホという言葉がありますが、僕らが歩きながらでもスマホで記事を読んだりすることが出来るのは、この前庭動眼反射があるからなんですね

前庭動眼反射とは

前庭動眼反射とは、頭部が動いた時に視線を一定に保つ反射のこと

例えば、私達が首を右に回転すると、首と一緒に顔は右を向く為、眼球も同じ様に右に動くはずですが、それだと視線もズレてしまう為、首を右回旋した際に働く、右の外側半規管からの情報が前庭神経核を経由して、外転神経核と動眼神経核へと指令を送り、眼の動きをコントロールする外眼筋に働きかけて、眼球を動かすことで視線を保つ様に出来ています

僕らは、こうした様々な反射があることで、自然と姿勢などを一定に保つことが出来ている訳ですね

さらに身体に関する学びを深めたいという方は、『Pilates As Conditioning Academy』もご覧ください。
https://pilates-as-conditioning.com/