神経系と感覚器のしくみ

前庭感覚とは|三半規管と耳石器

 こんにちわ

本日は前庭感覚についてお話させて頂きます

一般的には、いわゆるバランス感覚と言われるものの一部ですね

内耳と前庭

先ずは前庭に関わる感覚器がどこにあるか見ていきましょう

平衡感覚に関わる「三半規管」と「耳石器(じせきき)」は、内耳と呼ばれる耳の奥にあります

 耳の奥から鼓膜までを外耳

鼓膜からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨により構成される耳小骨までが中耳

耳小骨から奥が内耳になります

 

 小学生の頃に、中耳炎などでプールを休む友達などがいたかと思いますが、この中耳の部分で炎症が起こる事を中耳炎というんですね

一番奥の内耳には、音を感じるセンサーであり、カタツムリの様な形をした「蝸牛(かぎゅう)」

卵形嚢と球形嚢からなり、加速などを感じる「耳石器(じせきき)」

頭頚部の傾きや回転などを感じる「三半規管」

の3つの器官が存在しています

そして、前庭とは、その中の耳石器と三半規管で構成された、平衡感覚に関する受容器のこと

三半規管と回転

 三半規管は、前半規管、後半規管、外側半規管(水平半規管)の3つに分かれています

 前半規管及び後半規管は、矢状面に対して45度の角度を持ち、外側半規管は水平面に対して30度傾いていることで、X軸・Y軸・Z軸の様に3次元のあらゆる回転運動を感知することが出来るのが特徴

三半規管の中はリンパ液で満たされ、クプラと呼ばれる感覚毛が存在しています。頭部の回転によってリンパ液の流れが起こり、それをクプラが刺激し、その情報が内耳神経(脳神経の8番)の一部である前庭神経を介して脳に届けることで、頭部がどの様に動いたのかを感じとります

実際の動きと絡めて考えていくと、うなづく様に頭を前に傾けると、両側の前半規管が活性化し、天井を見る様に頭を後ろに倒すと、両側の後半規管が活性化

首を右に回旋させると、右の外側半規管が活性化し、左の外側半規管が抑制されます

その為、いわゆるローリングなどの寝返りのエクササイズを行う事は、三半規管を活性化させるエクササイズにもなっているんですね

 

耳石器と加速

耳石器は卵形嚢と球形嚢が存在し、直線加速度や重力の方向を感知している

卵形嚢と球形嚢

卵形嚢:加速などの感覚を電気信号に変換する有毛細胞が約30,000個存在し、水平方向への直線加速度および重力方向を感知する

電車の中で目を閉じていても、電車が動き始めたり、止まったのを感じられるのは、卵形嚢によるもの

球形嚢:約16,000個の有毛細胞があり、垂直加速度を感知する

エレベーターなどが動いているのを感じるのは、球形嚢によるもの

 

 耳石器があることで、どこに向かっているのか?を脳は理解出来る

動きやエクササイズと絡めて考えていくと、スクワットを素早く行う場合は、垂直方向の加速動作になる為、球形嚢が刺激され、ダッシュなどを繰り返す場合は、水平方向の加速動作になる為、卵形嚢が刺激される

平衡感覚の向上とエクササイズ

 いわゆる平衡感覚を高める為のバランストレーニングというと、バランスパットやバランスボールなどの、不安定なものの上で行うイメージが強いかと思います

 もちろん、平衡感覚には深部感覚や表在感覚、視覚なども大きく関わり、具体的なトレーニングを考える際には、支持基底面やボディポジション、サーフェスなど、様々な要素が考えられます

 それと同時に、平衡感覚において特に重要な前庭を刺激する為に大切なのは、回転や加速を組み合わせたトレーニング

例えば、フォワードランジを行う際に、下半身の筋力強化として行うのか?前庭を刺激するトレーニングとして行うのか?

やっていることは同じでも、考え方は大きく異なりますよね

マットピラティスなどでは、どうしても、その場で動くエクササイズが多くなりがちですので、前庭への刺激を加え、平衡感覚を高めていこうと考えた場合、意識的に以下の様な加速や回転を加えたエクササイズがおススメです

 

ローリングライクアボール

ローリング

スクワット

 

動画ではゆっくりと行っていますが、より球形嚢を刺激する為には、慣れてきたら、より加速させる為に、素早く行ってみてくださいませ

さらに身体に関する学びを深めたいという方は、『Pilates As Conditioning Academy』もご覧ください。
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