機能解剖学&運動生理学

胸郭の機能解剖4|胸郭出口症候群とは

こんにちは。

理学療法士の中北貴之です。

本日は「胸郭出口症候群」についてお話いたします。

胸郭出口症候群とは

胸郭出口症候群とは、腕神経叢や鎖骨下動静脈が胸郭部分で絞扼されることで、上肢の疼痛や痺れ、だるさ、頚肩腕痛が生じる疾患のことです。

Thoracic Outlet Syndromeの頭文字をとって「TOS」と呼ばれることが多いですね。

胸郭出口部分の解剖イラストVISIBLE BODYで作成

 

1999年にWilbournにより提唱された病態別の分類では、「神経型」「血管型」「混合型」の3タイプがありますが、95%以上が神経型であると言われています。

また、神経型の胸郭出口症候群をさらに分類すると、「牽引型」「圧迫型」に分かれますが、牽引型は「女性:男性=11:1」の割合で圧倒的に女性に多く、圧迫型は「女性:男性=1:2」で男性に多く見られると言われています。一般的になで肩の方は牽引型に、いかり肩の方は圧迫型に多いとされていますが、実際には混合型が多いようです。

それでは、絞扼部位ごとの詳細や評価方法を確認していきましょう!

斜角筋間隙とは

斜角筋間隙は、腕神経叢が上肢に至る最初のトンネルで、前壁が前斜角筋、後壁が中斜角筋、底面が第1肋骨によって構成されています。

斜角筋間隙の解剖イラストVISIBLE BODYで作成

前斜角筋と中斜角筋の過剰使用などによって筋緊張が亢進すると、トンネルが狭くなって腕神経叢が絞扼されます。

前斜角筋と中斜角筋は頚部の安定性に関与する筋ですので、長時間のデスクワークなどで頭部前方位が続くことで過剰に使用してしまいますね。

また、前斜角筋と中斜角筋は呼吸筋としての役割もあるため、横隔膜の機能低下によって斜角筋群を呼吸のために過剰に使用してしまうこともあります。

※呼吸と横隔膜については↓をご参照ください。

https://imok-academy.com/diaphragm/

胸郭出口症候群の評価方法:斜角筋間隙

胸郭出口症候群の評価法はいくつかあり、部位によっても異なります。斜角筋隙は以下の評価法が上げられます。

①Morley test

鎖骨上窩部で腕神経叢を圧迫し、痺れや放散痛が生じると陽性。

②Adson test

橈骨動脈の拍動を触知し、頚椎を検査側へ回旋+伸展させる。拍動が減弱もしくは消失すると陽性。

肋鎖間隙とは

肋鎖間隙は、前壁が肋鎖靱帯、上面が鎖骨、底面が第1肋骨で構成されています。

肋鎖間隙の解剖イラストVISIBLE BODYで作成

なで肩のように鎖骨が下制した状態になると、トンネルが狭くなり腕神経叢・鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が絞扼されますので、僧帽筋などの肩甲骨周囲の筋力低下が要因となることが考えられますね。

胸郭出口症候群の評価方法:肋鎖間隙

①Eden test

上肢下垂位で橈骨動脈の拍動を触知し、肩関節を伸展させる。拍動が減弱もしくは消失すると陽性。

小胸筋下間隙

小胸筋下間隙は、小胸筋と烏口突起下部で構成されています。

小胸筋下間隙の解剖イラストVISIBLE BODYで作成

上肢を挙上すると下方に向かって走行していた腕神経叢・鎖骨下動脈・鎖骨下静脈は、烏口突起下部を支点にして上方へと走行を変えるので、支点部分に負担が掛かり絞扼されます。

そのため、吊革につかまるなどのような上肢挙上位で症状が出現することがあります。

胸郭出口症候群の評価方法:小胸筋下間隙

①Roos test

肘関節屈曲90度、両肩関節外転90度・外旋90度の肢位で、手指の屈曲ー伸展(グーパー)を1回/1秒のペースで3分間行う。疲労やしびれで継続不可能なら陽性。

②Wright test

肘関節屈曲90度、両肩関節外転90度・外旋90度の肢位を1分間維持する。橈骨動脈の拍動減弱もしくは消失で陽性。

呼吸エクササイズ

以上のように、胸郭出口症候群では絞扼される部位が複数に分かれますが、呼吸の適正化はどこの部位に対しても効果的ですので、最後に呼吸エクササイズをご紹介します。

通常、呼吸は無意識的に行われているものですが、不良呼吸のパターンが長く続いていると胸郭の可動域自体が低下してしまうことも考えられますので、エクササイズとして呼吸を行うことで胸郭の可動域改善に効果的です♪

最後までお読みいただき、ありがとうございました。