神経系と感覚器のしくみ

シナプス結合と神経伝達物質

こんにちわ

トレーナーの小林俊夫です

本日は、シナプス結合と神経伝達物質についてお話していきたいと思います

ニューロンとシナプス結合

脳を構成する神経細胞であるニューロンは、感覚受容器からの情報を脊髄や脳などの中枢に伝えたり、前頭葉をはじめとした大脳で創られた運動のプログラムを、運動神経を介して筋肉などの末梢の器官に情報の伝達を行います

 どの様に情報を伝達しているか?というと、情報は電気信号(活動電位)として、軸索を通って、神経終末に伝えられます

 そして、ニューロンとニューロンの結びつきを「シナプス結合」と言いますが、このシナプス結合が起こっている部分は、完全に繋がっている訳ではなく、わずかな隙間が存在し、この隙間のことを「シナプス間隙」と言います

 

神経伝達物質とは

細胞体で発生した活動電位が、電気信号として、そのまま次のニューロンに伝わっていくのかというと、そうではなく、じつはシナプス間隙は電気を通さない絶縁体になっています

 その為、電気信号が神経終末まで伝わると、直接電気信号を伝えるのではなく、神経伝達物質という化学物質を放出する事で、次のニューロンに情報を伝えているんですね

Cross section of a synapse or neuronal connection with a nerve cell – 3d illustration

より細かく見ていくと、電気情報を伝えてきた側の細胞を「シナプス前細胞」といい、このシナプス前細胞の神経終末には、「シナプス小胞」という神経伝達物質を貯蔵しておく袋があり、そこから神経伝達物質がシナプス間隙に放出される様になっています

 そして、情報を受け取る側を「シナプス後細胞」と呼び、シナプス後細胞が神経伝達物質を受け取ると、その刺激が再び電気信号となって、情報が伝達されていきます

有髄線維と無髄線維の伝達速度の違い

 そうした情報伝達に関わる軸索の周りに、グリア細胞が巻き付いた髄鞘を持つものを「有髄線維」、髄鞘を持たないものを「無髄線維」と言います

軸索を取り巻く髄鞘は1~2㎜の長さになっていて、髄鞘と髄鞘の間には隙間があります。この隙間のことを「ランビエの絞輪」と呼びます

細胞体で発生をした活動電位は、髄鞘部分を飛び越える様に電気信号を伝えていく為、「跳躍電動」と呼ばれ、無随線維に比べて有髄線維の方が圧倒的に伝達速度が速くなります

よく神経線維の種類を学ぶ時に、太い方が伝達速度が速く、細い方が遅いというのは、この有髄線維か無髄線維かというのが大きく関わります

そして、中枢神経系の神経細胞の多くは有髄線維ですが、末梢神経系では、有髄線維と無随線維が混在していて、運動指令を伝える運動神経は、伝達速度が速い有髄線維なのに対して、一般的に痛覚と言われる「侵害受容刺激」を伝える線維は、伝達速度が速いもの(Aδ線維)と、ゆっくりとした無髄線維(C線維)とがあります

神経伝達物質の4つの種類

情報を伝える神経伝達物質には、先ずは「シナプス小胞」に貯蔵されていて、Ca²⁺などが神経終末に流入することで、シナプス間隙に放出される、モノアミン類、アミノ酸、アセチルコリンとシナプス小胞よりも大きな小胞にである「分泌顆粒」に貯蔵されている神経ペプチドが存在し、大きく以下の4つの種類に分けられます

 

代表的な神経伝達物質

モノアミン類:アミノ酸のチロシンから変換されて作られる。チロシンはカテコール基という化学構造を持つ為、総称して「カテコールアミン」という。ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなど。カテコールアミンを神経伝達物質として用いるニューロンは、「カテコールアミン作動性ニューロン」と呼ぶ。

アミノ酸:興奮性のものと抑制性のものが存在し、興奮系の代表がグルタミン酸であり、そのグルタミン酸受容体の代表的なものに、イオンチャネル型のAMPA受容体とNMDA受容体があり、代謝調節型のmGlu受容体が存在する。抑制系の代表がGABAであり、イオンチャネル型のGABAA受容体と代謝調節型のGABAB受容体が存在する

アセチルコリン:脊髄や脳幹などの運動ニューロンでつくられる物質であり、アセチルコリンを伝達物質とするニューロンは、「コリン作動性ニューロン」と呼ばれる。脳幹や脊髄から、各部位の筋肉に向かうニューロンの全てが、コリン作動性ニューロンであり、シナプス後膜の受容体に結合することで、筋の収縮が起こる。

神経ペプチド:コレシストキニンやニューロンペプチドYなど、50以上もの種類が存在する。低濃度でシナプス後細胞に作用して、作用が長く続くのが特徴。

1921年にはじめてアセチルコリンが発見されてから、多数の神経伝達物質が脳内にある事が分かってきていますが、基本的にはアミノ酸をベースとして創られている為、日頃からたんぱく質を摂るなど、神経系の機能の為には、適切な栄養摂取が大切です

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