神経系と感覚器のしくみ

皮膚と受容器と順応

こんにちわ

imok株式会社の小林俊夫です

先日は、体性感覚の伝導路について書かせて頂きましたが、今回は触圧覚を掘り下げていきたいと思います

前回の内容をご覧になられていない方は、先ずはコチラをごらんください

https://imok-academy.com/somatosensory-pathway/

皮膚と受容器

 触圧覚に関わる受容器が存在するのが、皮膚になります。皮膚は身体で最大の感覚器であり、体重の約16%を占めています。そして、表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっていて、主に真皮内に受容器が存在します

 皮膚の有毛部には、自由神経終末、毛包受容体、メルケル盤が存在し、無毛部には自由神経終末、マイスナー小体、メルケル盤が存在し、皮下組織にはパチニ小体とルフィニ小体が存在します。そして、それぞれの感覚受容器を簡単にまとめると以下の様な形になります

マイスナー小体 真皮と表皮の境界部の真皮乳頭内に存在し、繊細な触覚を感知。掌や足の裏に多く存在する。唇や舌尖にも存在。
メルケル盤 表皮の深層に存在し、繊細な触覚や表面のテクスチャーを感知。口腔粘膜などにも見られる
ルフィニ終末 皮膚の伸張を感じる。掌や足の裏に多く存在する
パチニ小体 皮下組織に存在し、圧力の急速な変化(圧刺激の開始時と終了時)だけに反応する為、振動覚として感知される。
自由神経終末 あらゆる身体部位に分布するが、皮膚に最も多く見られる。侵害受容刺激や温度、触圧、化学的刺激などを感知する

 皮膚には様々な感覚受容器が存在をする為、クライアントへの触れ方によって、どの受容器が特に反応するかが変わります

 軽く皮膚に触れるのか、奥まで圧を加える様に強く押すのか、さする様な形で振動を加えるのかによって、反応をする受容器が異なり、クライアントによって、どういった刺激が最も良い反応をみせるかも異なりますので、上記を理解した上で、刺激の種類を変え、クライアントに最も変化が見られる刺激は何か?を知っておくと良いです

例えば、振動刺激に反応が出やすいクライアントであれば、ただストレッチをするよりも、振動系のギアを使って行った方が、可動域が拡がりやすかったりしますからね

受容器と活動電位と順応

マイスナー小体やルフィニ終末など、こうした感覚受容器が刺激を受けることで、細胞膜が変形したり伸張したりすることで、細胞膜にあるプラスのイオンチャネルが開いて、Na⁺が流入することで脱分極が起き、最初に起動電位発生します

そして、起動電位が一定以上になると活動電位が発生し、いわゆる発火が起こります

また、継続的な刺激が一定時間続くと、次第に起動電位の振幅が減少して、受容器の刺激によって起こる活動電位の速度と数が減少し、これを「順応」と呼びます

順応速度によって、遅順応性の受容器と速順応性の受容器に分かれます

 遅順応性の感覚受容器は、一定の強さの刺激が持続的に加わっている間に、起動電位の振幅が減少する事がありますが、刺激が加わっている期間は、活動電位を発生するのに必要な閾値以上の起動電位が発生します

遅順応性の受容器としては、ルフィニ小体やメルケル盤、筋紡錘などが上げられます

 それに対して、速順応性の受容器は、刺激の開始時と終了時にだけ一時的に反応し、起動電位は、刺激の開始と終了の直後には、閾値以下に減少します

パチニ小体やマイスナー小体などは、速順応性の受容器になります

順応については「臭い」などが分かりやすく、部屋に入った瞬間は感じていた香りも、しばらく経つと臭いを感じなくなり、一旦外に出てからまた部屋に入ると、匂いを感じたりしますよね

あれも部屋の中にいることで嗅覚が順応し、匂いを感じなくなるというメカニズムによるものですね