機能解剖学&運動生理学

運動学習③~フィードバックの与え方~

こんにちは。
imok株式会社で活動している、理学療法士の中北です。

本日は『運動学習を促すためのフィードバックの与え方』についてお話いたします。

フィードバックの種類

 運動学習の促進には、学習者へのフィードバックの与え方も重要な役割を果たしていますが、フィードバックには内在的フィードバック外在的フィードバックがあり、まずはそれぞれの特徴を理解していきましょう。

 内在的フィードバックとは、自身の感覚情報を基に与えられるフィードバックのことです。

例えば、サッカーでボールを蹴るときは自分の体幹部や足の動きを感じ、足の位置を目で確認し、さらにボールを蹴ったときの音を聞いたり、接触時の衝撃を感じたり、蹴ったボールの行方を確認します。

このように、体性感覚・視覚・聴覚など、自身の感覚情報を基に与えられるフィードバックのことを、内在的フィードバックといいます。

 一方で、外在的フィードバックとは、外部からの情報を基に与えられるフィードバックのことです。

例えば、100m走のタイムの確認、体操競技における採点結果の確認、フォームを動画で確認することなどで、何らかの手段によって外部から与えられるフィードバックのことを、外在的フィードバックといいます。

 フィードバック情報というのは運動学習を促す基礎となるもので、内在的であれ外在的であれ、何らかのフィードバック情報が与えられないと学習は進みません。

もしも1人でバスケットのフリースローの練習をしていて、ゴールが無く、シュートフォームを動画で撮影もしていなかったら、打ったシュートが良かったのか悪かったのか、良いフォームだったのか悪いフォームだったのかの判断が出来ませんよね(よほどの熟練者は別かもしれませんが)。
それでは、運動学習の促進にはならないということです。

 また、運動学習に利用される感覚情報のほとんどが内在的フィードバックであるといわれており、内在的フィードバックが脳の中で処理されなくては、外在的フィードバックがどれだけ与えられても効果がありません。

今の記録は「〇〇秒だった!」と言われても、自分がどんな状態でそのパフォーマンスを発揮したのかを理解していないと、何が良かったのか悪かったのか分からないので、学習につながらないからです。

KRとKP

 外在的フィードバックの中には、KR(Knowledge of Result)とKP(Knowledge of Performance)が含まれており、KRは結果の知識、KPはパフォーマンスの知識とも呼ばれます。

 KR(結果の知識)は、運動終了後に与えられる結果に関する情報のことで、「今のタイムは9秒だった」「今の記録は30mだった」などのように、結果に関するフィードバック情報のこと。

 KP(パフォーマンスの知識)は、運動終了後に与えられるパフォーマンスに関する情報のことで、「バックスイングが長すぎた」「肩が開いていた」などのように、動きに関するフィードバック情報で、運動学的フィードバックと呼ばれることもあります。

Frans Bosch氏は、KPはインターナルフォーカス(注意を学習者自身の身体の一部にむけること)になるため、KRの方が運動学習を促すためには効果的であると述べており、

Gabriele Wulf氏も、自身の身体に注意を向けるようなインターナルフォーカスのフィードバックを行うと運動学習が阻害され、エクスターナルフォーカスを導くフィードバックの方が運動学習を促進すると述べています。

その他にも、KRの方が運動学習には効果的であるとする報告が多くあり、運動学習を促すフィードバックの方法としては、KRを支持する見解が一般的です。

 

指導者は、運動の目的・運動の特性・運動学習の段階などによって、フィードバックの与え方を変えていくことが大切ですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

imok株式会社
中北貴之

ABOUT ME
中北貴之
中北貴之
理学療法士/健康経営アドバイザー/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして、パーソナルトレーニング指導や専門家向けのセミナー講師として幅広く活動中。