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3大栄養素 | 脂質

脂質

こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。

今回は、脂質についてお伝えしていきます。

脂肪酸の種類、脂質の分類

脂質を構成する要素のひとつに脂肪酸があります。
この脂肪酸の種類によって、脂質の構造が変わります。

脂肪酸の分類方法

①二重結合の有無
二重結合の有無で、飽和脂肪酸か不飽和脂肪酸かが決まります。

②繋がる炭素数の長さ
脂肪酸は、炭素がたくさんくっ付いた構造をしていますが、その長さによって、短鎖か中鎖か長鎖かに分けられます。

③二重結合の位置(オメガ位) CH3(メチル基)から数える
端のメチル基から数えて、何番目に二重結合がきているかで、オメガ位が決まります。

 

例えば、ラードや牛脂に含まれるステアリン酸は、飽和脂肪酸で長鎖脂肪酸です。
二重結合のない飽和脂肪酸は、分子モデルで見ると直鎖状で安定します。

 

 

一方、サラダ油に良く含まれるオレイン酸は、不飽和脂肪酸で長鎖脂肪酸、さらにオメガ9系です。
こちらの分子モデルは、二重結合部分で折れ曲がっています。

二重結合部位の空席部分は不安定で、酸素と結合したがるため、不飽和脂肪酸は酸化しやすいという特徴があります。
魚に多く含まれるEPAは長鎖脂肪酸で二重結合が5個もあるため、酸化しやすい構造です。

 

 

脂質3種類

脂質には、主に3種類あります。

  1. トリアシルグリセロール(油脂、中性脂肪)
  2. リン脂質(細胞膜の構成要素)
  3. コレステロール

 

①トリアシルグリセロール(TG)
血液検査結果で見られる、「中性脂肪(TG)」という項目です。
グリセロールに、3つの脂肪酸が付いている構造です。脂肪酸については上記で説明していますが、この3つがどの脂肪酸かで、中性脂肪の性質が決まります。
例えば、オリーブオイルはオレイン酸が豊富ですので、3つのうち2つがオレイン酸で、もう1つがリノール酸といったことが考えられます。(オレイン酸とリノール酸以外の脂肪酸も含まれますので、考え方の例としてお伝えしています)

②リン脂質
私たちの細胞の内外を隔てるために重要な役割を果たす細胞膜の材料がリン脂質です。
この細胞膜の質が、炎症体質を引き起こしたり、脳神経の伝達物質の分泌に関与したりと、私たちの身体に様々な影響を及ぼします。

③コレステロール
コレステロールは悪者扱いされがちですが、必要不可欠なものです。
胆汁酸の材料であり、性ホルモンやストレスホルモンの原料ともなります。
コレステロールの構造を見てみると、六角形と5角形が合わさった特徴的な部分があります。エストロゲンやテストステロンにも同じ構造があり、コレステロールが原料であることは一目瞭然です。

脂肪酸の役割

  1. エネルギー源
  2. 生体膜成分
  3. シグナル分子(エイコサノイド)

体内のグリコーゲンが枯渇すると糖新生が行われ、さらに脂肪酸がエネルギーとして使われるようになります。
そして、脂肪酸が代謝される際にはカルニチンを必要とします。カルニチンによって代謝された脂肪酸は直接ミトコンドリア内に入るため、ミトコンドリア機能が低下している場合、脂肪酸代謝はうまくいきません。

そして、上述したように、リン脂質は細胞膜の重要な成分となります。
細胞膜は脂質二重層であり、組み込まれた脂肪酸の種類によって、働きや流動性が変化します。

エイコサノイドとは、情報伝達や細胞分裂に重要な役割を果たすホルモン様生理活性物質です。このエイコサノイドは細胞膜の脂肪酸から作られます。
例えば、リノール酸を多く含む脂肪酸から細胞膜が作られていた場合、痛みや痒みの成分であるプロスタグランジンE2がつくられ、この状態が持続することにより、炎症体質となります。
つまり、摂取する脂肪酸の質により、炎症物質が作られてしまうことがあります。

 

このように、脂質は私たちの身体にとってとても重要な役割を果たしてくれています。
油を避けるのではなく、質の良い油を摂取することが大切です。