機能解剖学&運動生理学

消化器とは④ 〜たんぱく質と胃の働き〜

胃

こんにちは!

柔道整復師

imok株式会社の池田倫大です。

今回は、「胃」の働きについてご説明していきます。

胃とは

胃とは、食道の先にある袋状の器官で、胃が空っぽの時には50mlくらいのサイズですが、食後満幅の状態では、1.5lくらいまで膨らみます。

 食道から繋がる胃の入り口を「噴門(ふんもん)」、十二指腸へと繋がる胃の出口を「幽門」と言います。

 胃の内容物の排出は食べ物の影響を受け、脂質が多い食事、いわゆる脂っこい食事を摂ると、胃腸の蠕動運動が抑制されて、長く食べ物が胃の中に滞留します。

 そして、胃には大きく以下の4つの作用があります。

  1. 食べ物&細菌の殺菌作用
  2. 食べ物の貯留
  3. たんぱく質の消化&脂質の消化
  4. ミネラルのイオン化

詳細については、後で見ていければと思います。

 また、日頃、巷で耳にすることがあるものについて言及しておくと、胃は伸縮性に富むため、ダイエットで「胃が小さくなった!」は勘違いです。

 そして、胃がんは死亡数や罹患数が多い怖い病気であり、ピロリ菌との関連性が高いと考えられます。

 最近では、プロテインドリンクがコンビニなどでも販売をされ、お肉やお魚などの「たんぱく質」を摂る事の重要性が広く認識される様になってきていますが、胃液がしっかりと分泌をされなければ、たんぱく質を分解することが出来ない為、食べているけれど吸収が出来ないといったことが起こりやすくなります。

 例えば、日頃からストレスフルで緊張モードが続いている、いわゆる「交感神経優位な状態」では、胃液の分泌などが低下をする為、たんぱく質を上手く消化・吸収出来ていないことも考えられます。

 そして、カフェインなどは、胃酸の分泌を促進することが分かっています。

 更には、水を摂る事の重要性を耳にする機会も多いかと思いますが、食事の際にお水を飲み過ぎてしまうと、胃の中で胃酸が薄まってしまい、消化吸収が上手くいかないこともありますので、食事中に何リットルものお水を飲むなどは控えると良いですね。

胃液の作用

 胃はPH1~2の「強酸」となり、高い殺菌&消化作用を持ちます。

 例えば、唾液はPH約7,0の中性、膵液はPH8,5のアルカリ性ですが、胃液はPH約1~2。お酢などがPH2~3程度ですので、かなり強い酸性であることが分かります。

 PHとは、酸性、中性、アルカリ性を表す尺度になり、0~14で表記されます。真ん中の7よりも上であればアルカリ性、低ければ酸性となります。

 ちなみに、身近な酸性製品は「スクラビングバブル 強力バスクリーナー」や「サンポール」で、主に水垢や尿石などの汚れ落しに効果的なようです(笑)

 胃の主な作用は、胃の消化酵素でもあるペプシンによる、たんぱく質の分解になります。胃が分泌をするペプシノゲンは、胃液の塩酸によってペプシンというたんぱく質の分解酵素に変化をして、たんぱく質を分解します。

 ちなみにペプシコーラは、消化不良の治療薬がルーツのようで、この胃の消化酵素であるペプシンからきているようです!

 胃酸は他にも、細菌やウィルスを殺菌する作用もあり、体の防御システムとしての一面もあります。

 例えば、「基礎酸分泌」と言って、空腹時でも胃酸は少量分泌されていて、胃の中の細菌が増殖するのを防いでいます。更に、この「基礎酸分泌」は夜間に増加をし、睡眠中に雑菌が胃を通過して血液に入り、全身に影響しない様に守ってくれているんですね!

 しかし、そんなに強力な胃酸が、なぜ自分自身の胃を溶かさないのか不思議ですよね。

実は、胃液の構成は3つからなります。

胃液の構成

胃は3つの成分で構成されます。

・ペプシノーゲン(「たんぱく質」の消化に関わる、ペプシンを作る元になります)

・塩酸(ウィルスなどを退治してくれます)

・粘液(胃の表面を保護します)

 上記の3つが主な構成要素ですが、「粘液」のおかげで協力な胃酸から胃を守ることができているのです。

ちなみに胃潰瘍は何かしらの原因で、胃を守るための粘膜が弱まり、胃酸によって胃にダメージを与えてしまう病気になります。

胃とビタミンB12と悪性貧血

ビタミンB12は、動物性たんぱく質に付着していて、胃はビタミンB12の吸収を助ける、「内因子(ないいんし)」という体タンパクを分泌している為、胃液の分泌が低下をしたり、手術などによって胃を切除していると、ビタミンB12の不足に繋がります。

 更には、ビタミンB12が不足をすると、血液の中で酸素を運んでくれる赤血球の元となる赤芽球が、赤血球に変化をする際に、「脱核(だっかく)」というものが起こるのですが、その「脱核」が起きずに、赤血球のサイズが大きく成り過ぎてしまい、末梢の毛細血管を通ることが出来なくなり、末端に酸素などが運ばれにくくなってしまいます。

こうして起こる貧血を「巨赤芽球性貧血」もしくは「悪性貧血」などと言います。

まとめ

・胃は強酸性であり、食べ物の殺菌をしてくれる

・胃はペプシノーゲン、塩酸、粘液の3つで構成される

・ペプシンの作用により、たんぱく質が分解をされる

・食事中の水分の摂り過ぎは、胃液を薄めてしまう為、要注意

・粘液は胃酸から胃を守る

・粘液の分泌が弱まり、胃にダメージを与えてしまうのが胃潰瘍

・ピロリ菌は胃潰瘍や胃癌との関連性が強い為、胃潰瘍を何度も繰り返す場合はピロリ菌検査などもおススメ

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

imok株式会社

池田倫大

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