ボディワーク&エクササイズ

姿勢改善1.0

骨盤の傾き

こんにちわ。

トレーナーの小林俊夫です。

今日から「姿勢の制御」や「姿勢の改善」ということについて、いくつかの観点から考えていきたいと思いますが、その前に過去に主流となっていた「姿勢の評価」や「姿勢改善法」について、簡単に振り返ってみたいと思います。

「姿勢改善1.0」について

前回記載をさせて頂いた様に、「姿勢改善1.0」とでも言うべき過去の姿勢改善というのは、形態的なアライメントや骨のランドマークに基づき、大きく以下の様に分類をするのが一般的ですよね

上位交差症候群

下位交差症候群

フラットバック姿勢

スウェイバック姿勢など

そして、上位交差症候群であれば、大胸筋や小胸筋などの胸部筋群が短縮し、肩甲骨を内転方向に引っ張る菱形筋や僧帽筋中部線維が伸長

下位交差症候群であれば、骨盤を前傾方向に引っ張る大腿直筋などの股関節屈曲筋群や脊柱起立筋群が短縮し、骨盤を後傾方向に引っ張る大殿筋などの股関節伸展筋群や腹筋群などが伸長

骨盤が後傾し、脊柱の生理的弯曲が失われ、フラットな状態になっているフラットバック姿勢では、下位交差症候群の逆となり、スウェイバック姿勢では、腹筋群と大殿筋群が弱化している為、それらの筋肉を鍛えて改善しましょう。といった感じの考え方ですね

実際に上記の様にアプローチを行うことで、その場での変化が見られることもありますが、「持続的な変化が得られるのか?」というと、論理的に考えるだけではなく、自らの現場経験においてもそうではないと考えられます

骨盤の傾きに関する評価の落とし穴

更には、下位交差症候群や上位交差症候群と分類する際に、骨盤の傾きを評価する訳ですが、この骨盤の前傾、後傾を決める際に、ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)の高さの差を用いることが一般的ではないでしょうか?

骨盤の傾き

ASISとPSISの高さの差が2.5横指程度を標準とし、3横指以上の場合を骨盤の前傾=下位交差症候群とし、2横指以下であれば骨盤の後傾および腰椎の屈曲=フラットバック姿勢と分類をしていたかと思います

しかし、最近の研究では、以下の様な報告が見受けられます

骨盤の前傾角度が同じでも、ASISとPSISのライン傾きは0~23度の幅がある(Preece SJ,2008)

その為、ASISとPSISの傾きだけでは骨盤の前傾、後傾を評価することが出来ないという考え方になってきており、上記の評価から筋の短縮を予測し、アプローチをしたとしても、そもそも評価が誤っている可能性も高いと考えられます

医科学が進歩をする中で、過去に信じていたことが覆される様な事実に出会うことは往々にして起こり得ます。

だからこそ、お客様や選手、患者さんに対してより良いものを提供する為に、プロとして常に学び続けることが大切なのではないでしょうか?

imok株式会社

小林俊夫