神経系と感覚器のしくみ

脊髄とは|脊髄の構造と部位

こんにちわ

imok株式会社の小林俊夫です

中枢神経は脳と脊髄によって構成されており、末梢神経は脳神経と脊髄神経から構成されています

四肢や頸部、体幹からの触覚や位置覚などの体性感覚の情報は、必ず脊髄を通って脳に入ることで認知され、運動プログラムを遂行する為の随意運動に関する指令は、必ず脳から脊髄を通して、脊髄神経が支配する筋肉に伝えられます

本日は、そんな重要な役割を持つ脊髄について、一緒に学んでいきましょう

脊髄の構造

解剖学で学んだ方も多いと思いますが、いわゆる背骨にあたる脊柱は、椎体と椎弓により構成され、その椎体と椎弓の隙間を脊柱管と呼びます

脊髄は、頭蓋底にある大後頭孔呼ばれる大きな穴から、第1腰椎のあたりまでの脊柱管の中にあり、長さ40~45㎝程度、直径約1㎝の円柱構造をしています

そして、この脊髄は脳と同じ様に、外側から硬膜、クモ膜、軟膜という3層構造の髄膜に覆われ、歯状靭帯と脊髄神経根で硬膜に固定されています

脊髄硬膜は脊髄をゆるく包み、硬膜と脊柱管の骨膜の間には、硬膜外腔と呼ばれる空間があり、そこには粗な結合組織や脂肪組織、内椎骨静脈叢が存在します

 脊髄の表面には縦に溝が走り、特に深い溝である前正中裂と後正中裂により左右に分けられます

 浅い溝である前外側溝と後外側溝からは、神経線維の束である根糸(こんし)が出ていく場所になります。運動神経の根糸は腹側から出て前根となり、感覚神経の根糸は背側から出て後根となり、その後で前根(運動神経)と後根(感覚神経)が合流して脊髄神経になります

その為、各分節には前方に1対、後方に1対の合計4本の神経根が存在します

白質&灰白質と前角、後角、側角

脊髄も脳と同じ様に、神経線維が集まる白質と神経細胞の細胞体が集まる灰白質が存在し、脳とは逆に内側が灰白質、外側が白質になります

 白質部分は、後索、側索、前索と呼ばれる3つの領域に分かれ、それぞれの索は更に、線維群ごとに神経束あるいは神経路と呼ばれる部位に区分されます

 また、末梢の感覚器などから中枢の脳や脊髄にむかって情報を伝達する上行性の線維と中枢から抹消へと情報を伝達する下行性線維の通り道になっています

 そして、細胞体が集まる灰白質では、その領域の中でも機能が異なり、それぞれ前角、側角、後角と呼ばれ、以下の様になっています

前角:運動ニューロン

側角:自律神経

後角:感覚ニューロン

 上行性の線維は、感覚を伝える経路であり、脊髄の後角から始まり、後索を通って、延髄の核に向かう経路と、前側索を通って視床に向かう経路があります。

 それに対して、下行性の線維は、運動指令を伝える経路であり、大脳皮質から側索を通って脊髄の前角に達する経路になります

脊髄の部位

脊柱が頸椎、胸椎、腰椎、仙椎と分かれているのと同じ様に、脊髄も頚髄8、胸髄12、腰髄5、仙髄1からなり、31の分節に分かれています

更に、脊髄はその高さにより、太い部分や細い部分があり、上肢や下肢の複雑な運動を制御する、頚髄と腰髄は、運動ニューロンが多く、特に膨らんでいる為、頸膨大部、腰膨大部と呼ばれます

頚髄:脳に近い第2頚髄では白質が多い円柱型なのに対し、上肢の動きと対応する第8頚髄になると、運動ニューロンが多く、前角が発達した形になっています

胸髄:自律神経ニューロンが多く、胸部や腹部の内臓に分布して、内臓の働きを制御。その為、側角が発達している

腰髄:尾側にいくほど、運動に関わる下行性の線維が減っていく為、白質の領域が減少する。下半身の複雑な動きを制御する為に、細胞体の集まる灰白質の領域が増大している

仙髄:上行性の線維も下行性の線維も少なくなる為、白質の容積が非常に少ない