機能解剖学&運動生理学

腰部の機能解剖5|腰椎分離症とは

こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。

今回は腰椎分離症についてお話します。

腰椎分離症の病態について

腰椎分離症は、椎間関節突起間部の疲労骨折とされています。

分離症の解剖イラストVISIBLEBODYで作図

疲労骨折なので、同一部位へのストレスが繰り返し加わることで生じる障害ですね。

椎間関節突起部には、腰椎の伸展時や反対側への回旋時に大きくストレスが加わるため、バレーボールやテニスなどをはじめとする、肩より上で腕を動かすオーバーヘッドスポーツや回旋系のスポーツで好発します。

好発年齢は11歳~13歳で、小学生~高校生のスポーツ競技者の発症がほとんどです。

クライアントの過去の運動歴などを聞いた時に、オーバーヘッドスポーツを行っていた場合、分離症やすべり症などを持っていないか?を始めの段階で確認すると良いですね!

分離すべり症への進展とは

そして、腰椎分離症で気をつけたいのが、「分離すべり症」への進展です。

椎間関節突起間部に骨折が生じることで、下の椎体に対して上の椎体が前方にスライドする力への制動力が低下するため、上の椎体が前方にスライドする、「すべり症」に進展することがあります。

分離すべり症のイラストVISIBLEBODYで作図

すべり症への進展の可能性は、発症年齢で分けられます。

一般的に分離症からすべり症への進展の可能性は、小学生は高く、中学生は低く、高校生はかなり低いとされます。

基本的には医師から運動制限の説明がありますが、中には素直に聞き入れないお子さんや親御さんもいらっしゃるようです。

小学生で分離症の診断を受けたら、そこで無理してしまうと「すべり症」に発展してしまうリスクが高いので、将来の為にも医師の指示に従うようにした方が将来していきましょう!

分離症の特徴とは

学生時代は気がつかなかったけれど、大人になって腰が痛いから医療機関を受診してレントゲンを撮ったら分離症でした、というケースがよくあります。

そんな時に覚えておきたいのが分離部の過可動性についてです。

現段階での腰痛の有無に関わらず、分離症があるということは分離部の過可動性が生じている可能性が高いです。

特に伸展と回旋の過可動性が生じます。

伸展では通常の1.5倍、回旋では通常の2.3倍の過可動性が生じるという報告もあります。

エクササイズを処方するうえで、回旋系のエクササイズを行う際には、慣れるまではランバーロックポジションで行うなどの配慮も必要ですね。

ランバーロックポジション

両股関節を深屈曲位、骨盤後傾位で腰椎の回旋が生じずらいポジションのこと。

ランバーロックポジションの写真

また、日常生活動作においては伸展や回旋の動作も多くありますので、少しずつ伸展や回旋に抗する筋肉も強化していく必要があります。

リフォーマーでは、仰臥位、側臥位、腹臥位、膝立て位、座位、立位、とあらゆるポジションでのエクササイズが可能ですので、抗伸展や抗回旋のエクササイズも多くあります。

「リフォーマーエクササイズ」のコンテンツでは、様々なエクササイズをご紹介していますので、併せてご覧くださいませ!

その中でもおすすめのエクササイズはこちら↓

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※参考文献
腰椎・腰部の機能解剖.理学療法28(5).2011.
アスリートの腰痛に対する保存療法.臨床スポーツ医学30(8).2013.
福林徹:腰痛のリハビリテーションとリコンディショニング.文光堂.2011.
坂井健雄監訳:グラント解剖学図譜第6版.医学書院.2011.