機能解剖学&運動生理学

呼吸器5|呼吸中枢はどこにあるか?

延髄

こんにちは!

imok株式会社

鍼灸あん摩マッサージ指圧師の小林俊夫です!

今回の内容は、呼吸調整の仕組みについてです。

以前もお伝えしたように、「肺」自体には呼吸するための筋肉が備わっていない為、自ら肺胞を広げたり縮めたりすることは出来ません。

では何によって行われているのか?というと、横隔膜の活躍によって呼吸が行われています!

しかし、神経を介した命令が送られなければ、横隔膜も働くことはありませんので、「呼吸せよ!」と命令を下す司令塔がいるという事です。

呼吸中枢

ずばり、呼吸の司令塔は延髄にあります。

延髄は、脳幹を構成する一部で、中脳と橋と延髄を合わせて脳幹と呼びます。

 延髄の呼吸中枢には、空気を吸うための運動ニューロンに、「吸え!」と命令を送る吸息ニューロンと、空気を吐くための運動ニューロンに、「吐け!」と命令を送る呼息ニューロンがあります。

※ニューロンとは、神経を構成する細胞の事

吸息ニューロンは、心臓と同じ様に、自動的で周期的に興奮を繰り返す性質があるので、特に意識をしなくても苦しくなる前に、自然と息を吸える様に調整しています。

しかし、司令塔である呼吸中枢も更に上の中枢から修正を加えられています。

それが、「橋(きょう)」と呼ばれる場所です。

延髄にある呼吸中枢は、呼吸の司令塔ではあるのですが、橋の指令を受けて更に円滑に呼吸が出来ような調整が行われるのです。

延髄と橋

そもそも延髄や橋とはなんぞや?

と思われている方もいらっしゃるかと思います。

まず、延髄のおよその場所とはここになります。

延髄の位置VISIBLE BODYで作成

 

更に透視してみましょう!

延髄の位置の詳細VISIBLE BODYで作成

そして、橋がここになります。

橋の位置VISIBLE BODYで作成

先述の様に、延髄、橋、中脳を合わせて「脳幹」と呼び、延髄も橋も脳幹を構成する一部になります。

この脳幹部分からの発令が、横隔膜を機能させ、呼吸運動が行われるという事になります。

ちなみに、延髄から出発したニューロンは、頸椎部で横隔神経という名前に代わり、横隔膜を支配します。横隔膜はお腹にあるのに、支配する神経が首にあるのはちょっと不思議な気もしますよね?

一説によると、もともとエラ呼吸するための筋肉が横隔膜であり、陸で生活するようなる過程で、横隔膜が下がっていったため、首とお腹と距離が離れた場所にあると言われています

 水から陸へ進化する過程での変化になりますので、しゃっくりは横隔膜の痙攣として有名ですが、気管に水が入らない様にする反射とも言われております。

 解剖学や生理学は、そのままを暗記すると難しいのですが、「もともとは両生類だったから~」など、進化の過程や発生学などと絡めると、新たな一面が見え、「暗記」ではなく「理解」や「学ぶ」という事に繋がると思います。

是非なにかと関連付けて学んでみて下さい!

最後までお読みいただき有難うございました

さらに身体に関する学びを深めたいという方は、『Pilates As Conditioning Academy』もご覧ください。
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