こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。
分子栄養学は、オーソモレキュラー医学(医療)と呼ばれます。
分子を整合する医学であり、日本では、栄養療法や分子整合栄医学などとも言われています。
病気への対処療法的な治療ではなく、病気の根本原因にアプローチできる医学として昨今注目されています。
さらに、今までは病気と思われていなかった体調不良の原因究明や、事前に病気を防ぐといった、人々が心身ともに健康な生活を送るための医学です。
分子栄養学の誕生
分子栄養学の考え方は1950年代頃から広まり、1968年には天才科学者ライナス・ポーリング博士、精神科医エイブラハム・ホッファー先生によって、初めて学問として発表されました。
ホッファー先生は、全ての精神医薬は栄養に変えらると考えており、その考え方を受け、ポーリング博士は、「分子整合精神医学」と題した論文をサイエンス誌に発表したのです。
分子栄養学とは、「栄養を用いて細胞を元気にする医学」です。
私たちの身体は、60兆個とも言われる細胞からできており、様々な病気や身体の不調は、細胞の機能低下によるものであるから、細胞に焦点を当てるべきという考え方です。
人間は、生きていくために必要な栄養を外部から取り入れる、従属栄養生物です。
体内で作ることが出来ない栄養素がとても多く、必須アミノ酸や必須脂肪酸など、食事から取り入れることで生命活動を維持しています。
一方で、アカパンカビと呼ばれるカビは、生きていくために必要な栄養を自分で作ることができる完全栄養生物です。
自給自足が可能であり、とても成長の速い生物で、古くから遺伝学の研究に用いられています。
人間は、栄養が簡単に摂取できる環境の中で生存することができ、そのため必要な栄養を外部委託することで体内のメカニズムを軽くし、進化を遂げてきたと言われています。
進化の過程で、哺乳類はビタミンC以外を作ることができなくなり、人間はビタミンCすらも作ることができなくなりました。
(ビタミンB,D,Kは体内で作ることも可能ですが、十分な必要量を作ることはできません)
食事が基本である
西洋のことわざで、「You are what you eat.」という言葉があります。
「あなたは、あなたが食べたきた食べ物そのものである」と訳されます。
ヒポクラテスもこう唱えます。
「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」
私たちが食べるものが、病気を治す薬であることを示し、食べるものによっては毒にもなり得ることを示しています。
エイブラハム・ホッファー医師は、著書の中で現代の食事をこう表しています。
「①人工的で②死んでいて③有毒で④単調で⑤外国産で⑥食べる量が過剰である。」
現代はとても便利な社会であり、様々な種類の食べ物が手軽に手に入ります。
それなのにも関わらず、私たちには栄養が不足し、病気を引き起こします。
保存のために加熱処理、殺菌がなされ、添加物が含まれ、本来の食物に手が加えられ、見た目や味を加工している食材が数多く販売されています。そして粗悪な食品を食べ過ぎ、肥満や糖尿病などの疾患が大きな問題になっていると記されています。
飽食の時代にも関わらず、多くの人に栄養が不足している現状があります。
「ミネラルが不足しているからサプリメントでミネラルを補充すれば良い」という考えだけではなく、「なぜ不足してしまうのか?」という根本原因を考え、サプリメントが必要なくなる身体にしていくことが大切です。
個人へのアプローチのための検査
分子栄養学では、身体の状態を把握するために様々な検査を行います。
ここで大切なことは、これらの検査は病名を診断するものではないということです。
一般的な血液検査では、明確な数値基準により、糖尿病や高血圧の診断が下ります。
ですが、分子栄養学では、個人個人の症状の原因を突き止めるために、検査結果に基づき様々な要因を考えます。
食事からの摂取が不十分なのか、あるいは消化吸収の問題なのか、代謝回路が廻っていないのか・・・多くの要因を考慮しながら、改善策を探ります。
血液検査やミネラル検査、尿中有機酸検査、遅延型食物アレルギー検査などを通して、一人ひとりの身体の状態を見極め、時にはサプリメントを用いながらアプローチを行います。
昨今では、分子栄養学の考え方で、糖尿病や自己免疫疾患、アルツハイマー病等も改善が見込めるとされています。