神経系と感覚器のしくみ

扁桃体と情動|セロトニンと心理的安定

こんにちわ

前回は、大脳辺縁系の海馬についてお話させて頂きました

今回は扁桃体について一緒に学んでいきたいと思います

感情と情動と気分

扁桃体は、快、不快などの情動に関わることで有名ですが、まずは「情動とは何か?」ということからみていきたいと思います

情動とは、インプットされた感覚刺激に基づいて、一時的かつ急速に生まれる快、不快や恐怖、怒り、悲しみ、喜びなどの原始的、本能的な感情やそれに伴う身体的反応のことをさします

上記の様に考えられますが、心理学や脳科学、認知科学など、学問によって定義は異なります

 そして、人は怒ったりすると心拍数や血圧などが上昇しますが、そうした自律神経的な反応をはじめ、体内ではアドレナリンなどのホルモンの分泌などの内分泌系の反応など、生理的反応が起こります

 それだけではなく、感覚刺激に基づいて、表情の変化や姿勢の変化、走って逃げたり、掴みかかる様な攻撃的な行動を起こしたりという様な行動反応も起こる訳ですね

また、情動が中長期的に緩く続くものを「気分」と言います

情動と扁桃体

こうした情動に関わる領域の中心は「扁桃体」になり、アーモンド型をしていることから、こうした名前が付いたと言われています

ヒトの扁桃体を電気で刺激をすると、恐怖や怒りなどの情動反応が誘発されます

 また、扁桃体を損傷された人では、驚きや恐怖などの表情を判別したりすることが出来ないなどの変化が現われ、扁桃体が破壊された動物の場合、敵が周りにいたとしても恐怖を感じないなどの情動反応の低下が見られる事が、実験などから分かっています

更には、扁桃体は情動に関する出来事の記憶形成に関わると言われています

感覚情報と記憶

大脳皮質で処理をされた各種感覚器からの情報が扁桃体を中心とした大脳辺系に届けられ、同じく大脳辺縁系に存在する海馬からの記憶情報とを統合し、快や不快などの評価が行われて、情動が出力されます

上記の出力は大脳へフィードバックされると共に、間脳にある自律神経系の最高中枢である「視床下部」脳幹にある「脳幹網様体(のうかんもうようたい)」などにも出力されて、身体的な反応や情動行動などが引き起こされています

そして、情動の評価やそれによって起こる様々な反応は、前頭葉に存在する「前頭連合野」により制御されていて、その中でも「前頭眼窩野(ぜんとうがんかや)や「帯状皮質前部(たいじょうひしつぜんぶ)」が、情動の制御や情動学習の内容の書き換えや消去などに関わっています

その為、前頭葉の機能が低下をすることで、情動のコントロールが上手くいかなくなることが考えられますので、日頃から運動などを通して、前頭葉を活性化することが大切です

扁桃体の中心核は、上記以外にも、中脳、橋、延髄など様々な領域に投射をしている為、姿勢や筋の緊張、表情などにも影響をすることも考えられます

セロトニンと心の安定、攻撃性の抑制

恐怖や怒りなどの不快な情動に対する反応として、攻撃的な行動が引き起こされたりしますが、こうした攻撃的な行動を制御しているのは「セロトニン」です

 セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンを制御し、精神を安定させる働きや攻撃性を抑制する作用を持っています

 例えば、セロトニン作動薬を投与すると、扁桃体のセロトニン作動性ニューロンが活性化し、そこから視床下部のセロトニン作動性ニューロンが活性化すると共に、中脳にある中心灰白質腹側被蓋野のセロトニン放出量が増大し、攻撃行動が抑制されます

 また、マウスを4週間小さいケージに閉じ込めた研究では、セロトニンのレベルに変化は起こらなかったけれど、セロトニンの代謝速度が低下し、その結果、マウスが攻撃的になったことから、セロトニンの代謝低下は攻撃性を誘発することが分かってきています

 他にも、ヒトの研究でも、セロトニンの放出量が暴行や殺人などをはじめとした反社会的な行動と相関関係にあることが分かっています

セロトニンの生成

 セロトニンは、日光を浴びること、歩行や咀嚼などのリズム運動によって分泌されることが分かっています

 また、セロトニンを創る為の原材料として、必須アミノ酸であるトリプトファンが必要になりますので、たんぱく質を適切に摂る事と、ビタミンB6やマグネシウム、ナイアシンもsセロトニンの代謝に関わりますので、日頃から何を食べるか?も重要です

 その為、心身を安定させて、健康的な毎日を過ごす為には、基本的なことではありますが、1日3食栄養バランスのとれた食事をとり、太陽の光を浴びながらお散歩することがおススメです

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