栄養&消化&免疫

食べたものが体内に吸収されるまで | 消化機能

こんにちは。
imok株式会社の千野ひとみです。

私たちは生きていくために、たくさんのものを食べ、食事から栄養素を取り入れます。人間は、自らの体内で合成できる栄養素は少なく、食べることでエネルギーを生み出し、生きていくことができます。

ダイエットやボディメイク、健康のために食べるものを意識されている方も多いと思います。
「肌をプルプルにしたいからコラーゲンドリンクを飲む」
「筋肉を付けたいからプロテインを飲む」
「お腹の具合が良く無いけど、たんぱく質を摂った方が良いと聞いたから、お肉をたくさん食べる」
などなど・・・

このように、「○○が足りない=○○を食べれば良い」という考えを持たれますよね。
ですが、食べたものがそのまま身体の材料となるわけではないんです。その時の体調、消化管の機能や消化酵素の分泌などによって、栄養素が吸収されるかどうかはわかりません。

消化とは

例えば、豚肉を食べた場合。

私たち人間と、豚の構造は異なりますので、豚肉そのままでは私たちの身体には異物として捉えられます。だからこそ、私たちの人間に取り入れても問題ないよう細かく分解し、吸収しやすい状態にすることが必要であり、それを「消化」といいます。
消化の方法は2種類あり、咀嚼や蠕動運動により物理的に小さくする「物理的消化」と、消化酵素などによって液状や粥状にする「化学的消化」です。

消化管

食べ物の通り道、口から肛門までのルートを消化管といいます。
口腔、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、結腸、直腸)と続き、体内に吸収されなかったものは最終的に肛門から排泄されます。
この消化管は身体の中を貫通していて、胃や腸などは身体の中にはありますが、実は身体の外なんです。よく、ちくわに例えられます。


消化され、体内に取り入れられる状態になると腸の上皮細胞から体内に吸収されます。そして、吸収されて初めて私たちの身体を作る栄養素として働きます。

口腔

消化管の入り口は、口腔です。
ここでは、食べ物が咀嚼されて細かくなり、唾液により消化が始まります。
耳下腺からはサラサラとした唾液が分泌され、この唾液に含まれるアミラーゼが消化酵素として働きます。
アミラーゼは、主に糖質の消化を行い、でんぷん(多糖類)の分子をマルトース(二糖類)まで分解します。

アミラーゼ:糖質を分解

食道を通ってきた食べ物は、胃に入ります。
胃で分泌される胃酸は、食べ物の殺菌、消化を行い、たんぱく質代謝にとても重要な働きをもっています。

胃の働き

胃酸によって細菌を死滅させる
ペプシンによってたんぱく質を分解する
ビタミンB₁₂の吸収を促進させる
腸に送られるまでの食品の貯蔵

胃液に含まれるペプシノーゲンが、胃酸によりペプシンという消化酵素になり、たんぱく質を分解します。
そのため、胃酸の分泌が低下している場合、たんぱく質の消化がうまくいきません。
胃酸は年齢とともに分泌量が減少していきますので、年を重ねると胃もたれを感じ、油モノを避けるようになることが多いです。

さらに、ストレス等により交感神経優位の状態が続くと、胃液の分泌が低下します。
すると、無意識レベルで炭水化物が多い食事を摂ることが増えます。パンや麺が好きな方は、炭水化物が好きなのではなく、身体がたんぱく質を避けているのかもしれません。

現代人はストレスを抱え、胃薬やプロトンポンプ阻害薬という胃酸分泌を抑える薬を服用している方も多いです。プロトンポンプ阻害薬は、逆流性食道炎で処方されることがありますが、胃酸が出ることで食道の括約筋が収縮し、胃酸の逆流を防ぎますので、長期での服用はおすすめしません。症状がなかなか改善しない場合は、ドクターに相談してみてください。

たんぱく質(プロテイン)は、「第一の」という意味で、身体にとって最も大切な栄養素とも言えます。
ですが、胃酸が出ていないためにたんぱく質が吸収されないと、身体には様々な影響が及び体調不良へとつながります。たんぱく質が分解されたアミノ酸は、筋肉や髪の毛、コラーゲン、さらには感情を生み出す神経伝達物質にも関わります。

小腸

小腸は、十二指腸、空腸と回腸と、長さ6メートルを超える管です。ひだ状の上皮細胞にて消化とほぼ同時に、分解された栄養素が体内に吸収されます。

今まで身体の外を通ってきていた食物が、分解に分解を重ねて、ついに体内に吸収される場所です。
十二指腸は、三大栄養素全てに対応する膵液と、脂質消化のために胆汁が分泌されます。
糖質は単糖類まで、たんぱく質はアミノ酸まで分解されます。

膵液:糖質、脂質、たんぱく質を分解
胆汁:脂質の消化、吸収を助ける
小腸にある上皮細胞は、本来は1つ1つの細胞同士がぴったりとくっ付いていますが、腸内細菌のバランスの崩れにより、この細胞の隙間が空いてしまうことがあります。
すると、本来は体内に入り込まないはずの異物や未消化の栄養素が、細胞の隙間を通り抜けてしまうことがあります。こういった状態をリーキーガットシンドローム(腸もれ症候群)といいます。

腸の状態が悪ければ、プロテインをたくさん飲んだところで筋肉は付きません。

その後、腸の内容物は大腸へ向かい、便として排泄されます。

肝臓、胆のう、膵臓

肝臓、胆のう、膵臓は、食物は通りませんが、消化に重要な役割を持っています。

①肝臓
・栄養素の代謝(分解、合成、代謝)
・解毒作用
・胆汁の産生(脂質の消化、吸収を助ける)

②胆のう
胆汁を貯蔵、濃縮する

③膵臓
・膵液の産生(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素を含む)
・インスリンを産生し血糖値を調節する

 

このように、私たちが食べたものが体内に取り入れられるためには、様々な臓器が関り、数多くの工程を経ています。
普段口にするものを意識することはもちろん大切ですが、その口に入れた食べ物が、しっかりと消化されて吸収されているのかを考えることも重要です。