こんにちは。
分子栄養学認定カウンセラーの千野ひとみです。
今日は、腸、そして腸内細菌の役割についてお伝えしていきます。
腸の役割
腸の役割とは、食べ物の「消化」と「吸収」、そして「解毒」です。
消化と吸収
私たちは食事をすることで、食品に含まれている栄養を摂り入れています。
ですが、お肉や魚などの食品は、私たち人間にとっては「異物」であり、「非自己」のものです。
そのため、異物の中でも、有用だと判断したものは「自己」のものとして受け入れられる状態になるまで、細かく分解するんです。これが「消化」ですね。
例えば、ご飯などに含まれる糖質はブドウ糖に、お肉などに含まれるたんぱく質はアミノ酸に、そして脂質は脂肪酸にといった形です。
こういった形になってはじめて、腸から「吸収」することができます。
そのため、よく噛まずに食べたり、仕事をしながら片手間で食事をしたりすると、うまく消化ができません。交感神経が優位な状態で食事をしても、胃酸分泌量は低下し、消化が不十分で、体内に吸収されません。
さらに、私たちの身体に異物となるものは、体内に入れないように、腸にはバリア機能も備わっています。
例えば、腐った食品を食べた場合、下痢や嘔吐の症状を起こすことがありますね?
これは、腸が「異物」と判断した結果、一刻も早く身体から排除しようとする働きであり、腸がしっかりと役割を果たしてくれている証拠です。
このような働きが、私たちの身体に備わっている「免疫機能」です。
解毒
解毒とは、体内に入ってきた有害物質を体外に排出することです。
私たちは、食べ物などと一緒に、発がん物質や環境ホルモンなどの有害物質を摂り込んでしまっています。
こうした物質は、先程の腸のブロック機能で排除されて体外に排出されます。
そのため、毎日の「排便」も腸の大切な役割です。
毎日の排泄が、1番のデトックスですね。
腸内細菌の役割
では、腸の中にいる「腸内細菌」とは、いったいどんな役割を持っているのでしょうか。
私たちの腸には、およそ200種類100兆個ともいわれる細菌が生息しています。とんでもない数ですよね。
食べ物の消化吸収の働きを助ける
例えば、野菜に多く含まれる食物繊維、私たちの腸ではこれは消化できません。
これらを分解して、そこから必要な栄養素を合成してくれているのが腸内細菌たちなんです。
ビタミンを合成する
人間の場合、ビタミンは体内で合成できないものが多いのですが、一部、腸内細菌の働きにより、合成することができます。
糖質の分解に欠かせないビタミンB₁、貧血予防に重要なビタミンB₁₂や葉酸などを合成しています。
このように、私たちは腸内細菌による恩恵を受けながら生活しています。
腸のエネルギー源 短鎖脂肪酸
私たちの健康に大切な役割を果たしてくれている腸、この腸の働きを高めるために必要なものを見ていきましょう。
腸の健康には「短鎖脂肪酸」という成分が重要です。
短鎖脂肪酸は、食物繊維を腸内細菌が発酵することでつくられ、味噌や醤油などの発酵食品にも含まれます。
短鎖脂肪酸は、大腸の蠕動運動や粘液の分泌をサポートしてくれます。
大腸から粘液が分泌され、便をコーティングし、蠕動運動により便を押し出しながら排泄します。
さらに、腸の上皮細胞の新陳代謝を促す働きも持っています。
食事で摂り入れられる食品は、必ず腸を通ります。
腸を健康に保つことで、身体の免疫機能が適切に働き、異物は体内に摂り込むことなく、私たちの身体にとって有益な物質だけを吸収することができます。
ですが、食生活が乱れることにより腸内の環境が乱れると、本来は排除すべき異物が摂り込まれ、それが血液に乗り全身に回って、様々な病気や体調不良の原因となります。