機能解剖学&運動生理学

肩関節の機能解剖4|3つの機能学的関節とは

第2肩関節

こんにちは。
理学療法士の中北貴之です。

本日は肩関節複合体の中でも、機能学的関節についてお話します。

機能学的関節とは、いわゆる一般的な関節とは異なり、滑膜組織がなく解剖学的関節の機能を補助する関節のことで、「C C メカニズム」「第2肩関節」「肩甲胸郭関節」によって構成されています。

それでは、一つずつ確認していきましょう。

CCメカニズムとは

烏口鎖骨靭帯により、肩鎖関節と胸鎖関節の運動を調節することをC C メカニズムと言い、烏口鎖骨間メカニズムともいわれます。

C C =烏口突起(Coracoid)と鎖骨(Clavicle)のC C でしょうか?
I am Japanese なので悪しからず。

具体的には下記のような役割となります。

C C メカニズムの役割

①鎖骨外側端の挙上防止

②肩甲骨の懸垂作用

③棘鎖角の増減を制動

棘鎖角上から見た肩関節 VISIBLE BODYで作成

円錐靭帯と菱形靭帯とは

烏口鎖骨靭帯は菱形靭帯と円錐靭帯により構成されています。

烏口鎖骨靱帯前から見た肩関節 VISIBLE BODYで作成

 

菱形靭帯は棘鎖角の減少(肩甲骨の内転・下方回旋)を制動し、円錐靭帯は棘鎖角の増大(肩甲骨の外転・上方回旋)を制動しています。

棘鎖角の制動はそれぞれが行っていますが、鎖骨外側端挙上と肩甲骨懸垂は共同作用によって担います。

また、烏口突起周囲は機械受容器が豊富であり、C C メカニズムは肩関節複合体の協調運動において重要であると言われています。

第2肩関節とは

第2肩関節は、「烏口突起」「肩峰」「烏口肩峰靱帯」によって構成されている烏口肩峰アーチと、上腕骨頭により成り立ちます。

第2肩関節の役割

①肩甲上腕関節の機能向上

②腱板の押さえ込み

③支点形成力の向上

第2肩関節VISIBLE BODYで作成
肩峰下滑液包VISIBLE BODYで作成

烏口肩峰アーチによって、腱板の一つである棘上筋腱を上から押さえ込むことで、腱板の支点が形成されており、烏口肩峰アーチの直下にある肩峰下滑液包は、腱板の滑動性を高めているため、烏口肩峰アーチは肩関節の機能において重要な役割を担っています。

そのため、この辺りに炎症が起きて癒着が生じると、腱板が機能しなくなるので厄介ですね。

肩甲胸郭関節とは

肩甲胸郭関節は、肩甲骨と肋骨面により構成されており、肩甲上腕関節の土台として肩関節機能において重要な役割を担っています。

動きとしては、肩甲骨が肋骨面の上を滑走するような形になりますので、肋骨のアライメント、ひいては脊柱のアライメントが肩甲胸郭関節の機能に関与します。

そのため、胸郭(胸骨・胸椎・肋骨の総称)の評価は必須となりますが、そちらは「胸郭の機能解剖」の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

最後に、ピラティスリフォーマーエクササイズでは、胸郭のアライメント改善や、肩甲胸郭関節の安定性を向上させるエクササイズが多くあります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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※参考文献
信原克哉:肩診療マニュアル第3版.医歯薬出版.2004.
赤羽根良和:肩関節拘縮の評価と運動療法.運動と医学の出版社.2013.
肩関節周囲疾患の機能解剖学的病態把握と理学療法.理学療法30(6).2013.
肩関節インピンジメント症候群.臨床スポーツ医学30(5).2013.